第2話 はじめの一歩
とりあえず、芽子ちゃんにSNSについて教えてもらった。
正直よくわからないけど、なんか色んな人とネットで交流できるサービスらしい。
そこで面白い文章を書いたり、上手な絵、歌、ダンスなんかを投稿すると、『バズ』って『インフルエンサー』ってやつになり、オフパコできるんだって。
凄いね。私、インターネットってヤフーキッズで天気予報を見れるくらいしか知識なかったから、こんな進化しているなんて思わなかった。
「じゃあ、そのアカウント? を作ればいいの?」
「うーん、それも大事だけどさ、そもそもどうやって有名になるのかが一番重要じゃない?」
「確かに」
「お姉ちゃんは顔が良いから有名になりやすいんだよね。でもそれだけじゃキツイ。そこで、お姉ちゃんさ、高校生までピアノやってたでしょ?」
「うん。いまでもたまに、部屋のキーボードで演奏するよ」
「それを利用しよう。作曲して、ボキャロに歌わせよう!! 難しいけど、ハネたら化けるよ」
「ボキャロ?」
ボーキャロイド、っていう歌ってくれる機械があるらしい。
「作曲か……確かに中学生のころ、少しかじったけど」
「簡単な曲でいいんだよ。肝心なのは耳に残り、面白い歌詞であること。どのみち、最初の曲なんか絶対ウケないし」
「う、うん。わかった、やってみる。……ちょっと質問」
「なに?」
「SNSにはいろんな人がいるんでしょ? だったら、私にみたいに女性と繋がりたい人を捜せば……」
「麻薬売られるよ」
「え!?」
「そういう人、麻薬売ってくるよ」
「そ、そうなの!? こわ〜」
「てか普通にそれじゃつまらん」
……なんかそっちが本音な気がする。
と、とにかく、作曲頑張るぞ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんなこんなで二週間後、どうにか一曲完成した。
本当に単調な曲で、歌詞だって、日常の嫌なことを韻を踏んで書いただけ。
けど、肝心のボキャロに歌わせる段階はまだできていない。
ていうか私には無理だ!!
芽子曰く、知り合いに頼んだらしいけど。
「んでお姉ちゃん、完成した動画がこれ」
芽子がパソコンの再生ボタンをクリックした。
すると、なんということでしょう!! 私が作った曲が、ちゃんと歌になっているではあーりませんか!!
機械の声だから少し聞き取りづらいけど、凄い!! しかも可愛いイラストまでついてる!! なんかもうこれだけで満足しちゃった!!
「す、すごいんだね!! この機械!!」
「正確にはボーキャロイド『明日歌ナウ』。他にもいろんな種類のボキャロがいるんだけど、とうぶんこの子を使う予定」
「こ、この絵はどうしたの?」
「絵は私が描いた。明日歌ナウをちょっと私なりにアレンジしたの。本当はもっと上手い知り合いがいるんだけど、とりあえず最初はね」
「えぇ〜!! 芽子ってこんな才能あったんだ。感動〜〜!!」
クリエイティブな知り合いもいるみたいだし、私の妹って実はマジで凄い人?
コネと僅かな能力だけで日本を牛耳ったりできる子なのかな。
私なんてどれだけピアノを練習しても合唱祭の演奏でしか注目されなかったのに。
「これを動画サイトに投稿します。お姉ちゃん、ハンドルネームは何が良い? あぁ、ネット上での名前ってことね」
「え、じゃあ、白井美々美子080-XXXX-OOOOはどうかな?」
「は?」
「だって、すぐに連絡できたほうがいいでしょ?」
「リテラシーの無さがスマホ買いたて老人と一緒じゃん。ダメだから、個人情報載せるのは」
「ご、ごめん。じゃあ『オフパコ大歓迎音楽クリエイター』は?」
「欲求が全面に出過ぎでしょ」
「で、でも、音楽クリエイターは基本的にすぐファンに手を出すってテレビで言ってたよ?」
「そりゃまあそうだけども」
「あ!! 『令和のモーツァルト』ってどう!?」
「モーツァルトってほど才能ないでしょ」
ぐさっと心臓に言葉の刃が刺さったよ、芽子ちゃん。
「き、決められないよ……」
「うーん、本名が美々美子だから、『
可愛い名前!!
ネーミングセンスまであるんだ芽子は。
さすが町内一のモテ女。
「いいね!! それ!!」
3み子。
3み子!!
これが私のもう一つの名前!!
「言っとくけど、すぐに結果はでないからね。まずこれは誰の目にも入らないものだと考えて」
「はい!!」
けど、この動画からはじまるんだ。
私のオフパコドリームがっ!!
------------------------------
※あとがき
てなわけで、ここから本格的にプロジェクトがはじまります!!
ついにネットの世界に飛び込んだ美々美子ちゃん。彼女に待ち受けるのは様々な……闇!!
よろしければフォローやら☆やら♡やら、お願いしますッッ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます