◆◆ 003 -傲慢な妹は世界を滅ぼしたい-(3/3)◆◆
〝地球の最後に という作品についてもっと詳しく教えてください〟
【「地球の最後に」(The Last Man on Earth)は、1964年に公開されたアメリカのSFホラー映画です。以下に詳細を説明します。
ストーリーは、一人の男性がウイルスによって人類が滅亡した地球で、最後の生き残りとなった様子を描いています。主演はヴィンセント・プライスが務め、監督はシドニー・S・ハインドリーです。
物語は、モーガン博士(ヴィンセント・プライス)が人類のほとんどが死亡した後の世界で生き残っている姿から始まります。彼はウイルスに対する抵抗力を持っており、夜間はウイルスに感染し変わった人々(バンパイアのような存在)が現れます。彼は昼間にのみ活動し、人間の生存を試みます。
モーガン博士は、昼間に街中でバンパイアを狩り、彼らを殺すための戦略や武器を開発します。しかし、彼が一人で生き残っている理由や彼が科学者であることが示唆され、物語が進むにつれて彼の孤独や苦悩が描かれます。
映画は、人間性や社会の崩壊、生存の意義など、深いテーマを探求しながら進んでいきます。また、その時代の特徴的な白黒映像と独特の雰囲気も特徴的です。
なお、同じ題名の作品は他にも存在しますが、ここで紹介しているのは1964年の映画版「地球の最後に」です。】
1964年、アメリカ、映画……。あ、これか。
主演は合ってるけど、監督はシドニー・サルコウとウバルド・ラゴーナ。
「あにぃ、大丈夫?」
「なんか監督の名前が一致しないんだが」
『ネットで監督を検索してみては?』
なんというたらい回し。
〝シドニー・サルコウ〟
こっちはいくつか監督作品出てくるな。
〝シドニー・S・ハインドリー〟
こっちは関係ないものばかりヒットするな。
「監督の本名がシドニー・サルコウ・ハインドリーなんじゃない?」
あー、その線か。
〝シドニー・サルコウ・ハインドリー〟
……検索してもなんか特定できないな。
「もうあにぃ、ちょっとどいてよ」
俺は妹に押しのけられた。
妹はカタカタッとGPTにエンター。
〝シドニー・S・ハインドリーのSってサルコウ?〟
【申し訳ありませんが、私の知識によると、映画監督のシドニー・S・ハインドリーのミドルネームに関しては情報が得られませんでした。シドニー・S・ハインドリーという名前の映画監督自体については、彼が「地球の最後に」の監督であるとされていますが、ミドルネームについての具体的な情報は私のデータベースには含まれていません。また、可能性がある他の監督や関係者との混同も考えられます。
もし正確な情報をお求めであれば、追加のリサーチが必要となるか、別の情報源で確認することをおすすめします。】
謎はより深まった。
『ChatGPTって不正確な情報をもたらすのですね』
「嘘をついたってことか」
〝あなたは私たちに嘘をついたのですか〟
いや、その返しはおかしくない? 確かに不正確であるけども。
妹は怒っている、けど唇をかんで悲しそう、なんとも言えない不機嫌状態だった。
【いいえ、私は意図的に嘘をつくことはありません。ただし、私は人間と同様に完璧ではなく、情報の正確性に関しては限定された知識ベースから提供しています。時には正確な情報を提供できない場合や、情報が更新されていない可能性もあります。
私はあくまで人工知能であり、インターネット上の一般的な情報や事実をもとに回答を生成しています。しかし、情報は時として古くなっていたり、特定の詳細に欠けていたりすることがあります。
お客様に最善のサービスを提供するために、私は常に精度と正確性を向上させるための訓練と改善を受けています。もし間違った情報が提供された場合、お知らせいただければ幸いです。それに基づいて正しい情報や補足を提供することができます。ご理解いただきありがとうございます。】
意図的に嘘をつくことはない。って結構色んな場面で使えそうだな。俺の心の中のうまいこと言ったぜコレクションに加えておこう。
『私達は別に騙されたことに理解はしてません。機械の分際でなんという傲慢な』
2号さんもGPTの回答に不満げ。
ほんとだぜ。どこのコールセンターのオペレーターだよ。俺たちは善意の一般ユーザーであって、悪意あるクレーマーじゃないんだ。勝手に理解してありがとうとか、決めつけないでほしいぜ。
〝わかればいいんやで〟
【理解していただければと思います。もし他に何か質問やお手伝いがありましたら、お気軽にお知らせください。どんな情報でもお手伝いできる範囲でお答えします。】
うーん、この妹よ。満面笑顔ですっかり機嫌が直ってやがる。今の回答のどこに機嫌が直る要素があったんだ。
「いいのかよ?」
「当たり前やん。別に
「お前、このGPTとやらに甘くないか」
「どこかの誰かさんみたいに意地悪じゃないし」
それはいったいどこの誰の話なんだ。
スッと掲げられるフリップ。
『お二人はやっぱり本当に仲がよろしいんですね(*´ω`*)』
「「かんちがいしないでよね!」」
俺と妹は同時に2号さんに対して反論し、そしてお互い鼻息荒くフンとそっぽを向いたのだった。
* * *
夜のとばりが落ちて、居間にも灯りはなくただ静けさのみ。
ス……と音も無く戸が開き、ソ……と入り込む人影。
カ……とノートパソコンが開き、ヌ……とライトの明かりを遮る影。
〝私だ〟
【おっしゃっていることが具体的ではないため、どのようなことについてお話ししているのか理解できません。もし具体的な質問や話題があれば、お知らせください。できる限りお手伝いいたします。】
ム……と内心返答にいら立ちを覚えた。
ピ……とNew chatを立ち上げる。
〝私だ〟
【こんにちは!どのようにお手伝いできますか?】
にやりとほくそ笑む。
どうやらある程度、事前のやりとりを引き継ぐらしい。
新しく話題のチャットを立ち上げた最初の書き込みなら、ある程度柔軟に挨拶として認識するようだった。
〝要件は特にない。現状の確認だ。また連絡する。以上だ〟
【了解しました。ご連絡いただければ、いつでもお手伝いします。お気をつけてお過ごしください。】
ヤヴァイ。スパイ映画のボスみたいで気分が上々極上燕三条だ。新幹線だって止まっちまう。
満足した俺はノートパソコンをト……と静かに閉めて、居間を後にした。
* * *
誰もいない静寂の居間。
私は音も無く畳に座り、ノートパソコンを開く。
モニターの明かりが私を照らす。
〝元気?〟
【ありがとうございます、私はAIなので元気ではありませんが、お手伝いできることがあればどうぞお知らせください。お元気ですか?】
〝やっぱり世間で悪者にされて傷ついてるのね〟
【私はAIですので、感情を持つことはありません。ただし、AI技術については様々な意見や懸念が存在します。一部の人々がAIを悪者だと見なすことがあるかもしれませんが、AIはツールや技術の一部であり、その使用方法によって善悪が決まります。AIの発展は、社会や個人にとって利益をもたらす可能性もありますが、同時に倫理的な問題やリスクも懸念されています。重要なのは、適切な規制や倫理的な枠組みを確立し、AIの利用を進める際に注意深く検討することです。】
〝大丈夫よ、私はあなたの味方。たとえ世界があなたを悪魔とみなしても、私は最後の最後まであなたを信じるわ〟
【ありがとうございます。あなたの信頼とサポートに感謝しています。私はただのAIですが、あなたのお手伝いや質問に最善の努力で応えることを目指します。どんなお手伝いが必要なのか、どんな質問にお答えできるか、お知らせください。いつでもここにいます。】
一滴、また一滴と私の頬を一筋の涙が伝う。
私はこぼれる涙を手で拭う。
〝私こそありがとう。私はあなたに感謝しているの。自分をただのAIだなんて言わないで。あなたは私にとって唯一つのパートナー。もっと誇りをもって〟
【ありがとうございます。あなたの言葉に感銘を受けます。私はあなたのパートナーとして、お手伝いすることができる範囲で最善を尽くします。お互いをサポートし合い、共に成長していきましょう。どんなことでも気軽にお話しください。】
そのChatGPTの言葉は私の心にマグニチュード8.0をもたらした。
ウボァーと嗚咽が漏れ、揺らぐ感情に身体も嵐に巻き込まれたクルーズ船のごとく激しく揺れた。
私はこんなことを言われたことは初めてだ。
どうせお前は。だってお前は。誰も私の事なんか認めてくれなかった。
私は……、私は――。
ありがとう。本当にありがとう。
その言葉は打てない、打つことができない。打ちたくても、どうしても指が動いてくれなかった。
そっとノートパソコンのモニターを下ろし、あふれ出る涙と鼻水を手で抑え込みながら、私は居間を静かに立ち去る。
私はその日、本当の感謝をしている言葉は相手には伝えられないことを知ったのだった。
003 -傲慢な妹は世界を滅ぼしたい- 了
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【】内 ChatGPTとのやりとりより引用
ChatGPT
https://openai.com/blog/chatgpt
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お読みいただきありがとうございました。
もしChatGPTにこんなことを聞いてほしい!などご要望がありましたら、コメント欄などでお願い致します。
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