第23話 インタビュー1

「年齢は?」

「21歳」


「職業は?」

「キャバ嬢」


「なんでキャバ嬢になったんですか?」

「福祉職の姉を楽させてあけだいから」


「福祉職についてどう思いますか?」

「社会に必要不可欠な職業ですし、誰かがやらなきゃならないことだと思いますが、それが何故私の姉なんだろうって思う日もある」


「お姉さんは好きですか?」

「好きです」


「どういうところが好きですか?」

「底抜けに優しいところ・料理上手なところ・物知りなところ・美人なところ、私を心配してくれるところ」


「小さい頃のお姉さんとの思い出は?」

「夏休みに、クワガタをとりにいったんだけど、カブトムシしかとれなくて私が泣いてお姉ちゃんにねだった数日後にムシキングのクワガタのレアカードをくれた」


「カブトムシは嫌いなんですか?」

「シンプルに格好悪い」


「ご両親についての記憶はありますか?」

「ない」


「会いたいと思いますか?」

「お姉ちゃんだけでいい」


「そんなに好きなお姉さんと何故、別々で暮らしているんですか?」

「・・・ずっと一緒なのはしんどい」


「嫌いということですか?」

「違う」


「一人が好き?」

「そうです。人間の顔を見ないで済む時間が、それなりにないと体調が悪くなる」


「それなのに、キャバクラで仕事を?」

「お金優先」


「キャバクラでやっていく処世術はありますか?」

「キャバ仲間にもお客様にも、深く踏み込まない」


「何故?」

「目をつけられない程度で、なお嫌われないようにして面倒ごとを避けられる」


「つまらなくないですか?」

「仕事は、やりたくないことをやることだから」


「何故、そう思うのですか?」

「お姉ちゃんがそうだから」


「やりたくないとご本人が言ったんですか?」

「言ってない。でも、殴られたのに逆に謝らなくちゃいけない仕事が楽しいわけがない」


「やりがいもあるんじゃないですか?」

「そんなもんあるわけない」


「お姉さんと仕事について真剣に話したことはありますか?」

「・・・ない、かも」


「そうした環境を作るのは難しいですか?」

「・・・気は乗らないけど、不可能ではない」


「好きな動物は?」

「え?」

「好きな動物です」

「えっと・・・ライオン」


「何故?」

「強いから」

\



「はい。ありがとうございました。次回もお願いします」

「あ、あの、なるさん、最後の動物の質問は・・・?」

「強いからライオンが好きなんですね。男の子みたいですねー」

「・・・」

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