第30話 『終末』 その2
荒川放水の娘は言った。
『父よ、これは、最終型終末超核弾頭『XXXX』ではないか。上昇中の自爆機能さえもなく、不規則な軌道を飛ぶため迎撃はほぼ不可能で、一発発射したらおしまい。一発で、大量の核物質を地球全体にばらまき、地球を完璧に致死レベルの放射線物質でまるまる覆う、とかいう、仕組みは、わけわからん兵器。爆発地点以外では、ちょっと時間はかかるが、結果的に、だれも、生き残れないとか。核大戦最後の時期、やけになった、アチャミト・コンドリア共和国により開発されたが、結局、使われなかったという、意味不明、狂気の爆弾。』
『むむ。たしかに、おかしな飛びかただ。伝えられる終末信号といわれるデータを出している。間違いなかろう。』
『ならば、終わりです。』
『むむ。パーフェクトだ。』
『宇宙をも
はつるとききしこのごろに
うつせみのいのちなど
いみはなかりき。』
『このゆうべ
核のさ枝のながれこば
やなはうたずて
とらずかもあらむ』
『いにしえに
やなうつひとのなかりせば
ここもあらまし、
核のえだはも。』
『なに、言ってるんだ、あの連中は。和戸尊、聴いているか?』
赤血小次郎は、無線で尋ねた。
『あのですね、どうやら、だれかが、終末爆弾『XXXX』を、ここらあたりに向けて発射したらしい。』
『あらま。どういう理屈かよく分からないが、コンドリアの天才科学者、ドライシュタインが作ったと聴いた。全世界に、絶望致命的な放射性物質を降らせるという兵器が、実際にあったとは聴いたがな。万事休すか。』
赤血小次郎にしても、荒川放水にしても、手の打ちようがない。
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