第26話 『アリゲーターぱんくまらとビッグマムーシの一騎討ち』 その5


 ふみたい五世が、旧東京湾を走り抜けようとしたとき、中継を見ていたクーラー・キーンが言った。


 『和戸尊というひとが、『偉大な師』を通じて、コメントを寄せました。』




 『かしこしと


     ものいふよりは


       酒のみて

  

         粟又にちっ居す


           和戸尊あり。』


           



 『さきほど、ビッグ・マムーシの雇い主の、赤血小次郎探偵には、和戸尊という、ふんけいのともがあるが、館山で行方を絶ったとか、荒川放水の娘さんが解説で言っていました。粟又ならば近し。つれてゆきませう。』


 『はあ? あんた、やけに、サービス精神あるね。あたしは、どうでもいいけどな。まあ、どこであれ、流星5号ならひとっ走りさ。』


 ふみたい五世は、ハンドルを切り、五井あたりから、粟又に分け行った。もともと、電車が走っていたから、道筋はわかりやすい。


 猛スピードで飛ばして、あっという間に、粟又の滝に到着した。


 『和戸尊、出て参れ!』


 ふみたい五世が、拡声器を使って呼ばわった。 


 すると、ちょうど、尊師の小屋にいた和戸尊が、顔を出した。



 『いわむすべせむ


     すべしらに


      きわまりて


        和戸尊は


        酒にしあるらし。』




 『あんた、和戸尊かい。洒落てる場合じゃない。これから、荒川に行く。来るかい?』


 『千載一遇なり。』


 和戸尊は、師匠に一礼して、その巨大バイクに飛び乗った。


 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る