第22話 『アリゲーターぱんくまらと、ビッグマムーシの一騎討ち』 その3


 シンガリソングライダーの、ふみたい5世は、かつての、館山付近に上陸した。


 彼女の先祖は、警察官であったが、そうした時代は、もはや、はるかな彼方に消え去った。


 いまは、公共の警察はない。


 場所によっては、自警団がある。


 シンガリソングライダーとは、この世の終末に、オールラウンド反重力モーターバイクに乗り、世界中を走り回るもののことである。


 一種の終末サバイバルである。


 確認されているのは、三人であるが。


 経済の束縛から、基本的には解放されたこの世界には、だから、法律らしきものは、もはや、ない。


 しかし、モラルが無くなったわけではない。


 一部には、物々交換も含めて、経済が生きている分野もあることは、すでに話した。(ように、思う。)


 それは、たぶん、人間の最低文化である。


 

 『ばいくよ


     あれが


        野島崎の灯ぞ。』




 ふみたい五世は、愛機に告げたのである。


 野島崎の灯台は、いまだに、灯りを灯していたのである。


 それは、驚異的であった。


 まさに、それは、ある地元の1人の努力により、支えられていたからである。



         🕯️!




 ふみたい五世は、ひさしぶりに、故郷の大地に上がった。


 とはいえ、平野部はほとんどがなくなり、残っているのは山ばかりである。


 


『養老川


   川よどさらず


      たつきりに


        おもいすぐべき


          こいもなかりしに。』



 ふみたい五世には、故郷にも、また、国自体にも、良いおもいでは、なかったのである。


 破壊されたばらばらの街に、ケモノとすれすれに暮らす人間たち。


 しかし、思わぬ山の中の洞窟で、このバイクに出会ったのだ。


 もと所有主は、バイクの傍らで、果てていた。


 一通の遺言と共に。



 『そのきがあらば


     あなたにまかそう


       流星5号。


     気は荒いが、乗りこなせれば


       世界はあなたの手中だ。



    このばいく


      つわものどもの


         ゆめのかすみ。』



        🏍️


 

 アリゲーターぱんくまらと、ビッグマムーシは、白昼の天にある月にむかって、吠えた。



 『高すぎる、月に向かいて


     かつて、やましんは叫んだ


    高すぎて、われ、なにも買えず。


     いまや、その怨みはらさんとて


       我らは、天とたたかう‼️』




        🤪タカッ!



 



 




 

 

 


 

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