第18話 『アリゲーターぱんくまらとビックマムーシの一騎討ち』 その1


 アリゲーぱんくまらと、ビックマムーシは、川を渡り、対岸の切り立つ丘に上がろうとしていた。


 どろんと、ドロンは、まだ、ぶつかり合いをしていた。


 そこは、荒川の険しい峡谷の上である。


 むかしは、都心のど真ん中だったが、いまは、見る影もない。



 『あらかわの


   切り立つ崖は


     強者どもの


       夢のあと。


        すべてはかなく、

      

          消え去れり。』




 アリゲーターぱんくまらが崖の途中で言った。



 『白昼の月は


      儚きビルのかなたかな


       すべて 崩れて、

    

           断崖となれり。』





 『きみ、ビルって、見たことあるの?』


  ビッグマムーシが、尋ねた。


 『まさか。』


 『だよね。でも、向こうの海の中には、まだ、あるらしい。』


 『わ、それ、みたいです。』 


 『うん。この闘いが片付いたら、見に行こう。』


 

 そんなこととは、露知らぬ、赤血と、荒川たちである。


 


 『兵士の想いを


     大将は、まるきし、しらず。』




 『いわやどに


     舞い上がるドロン、


       汝みれば


        昔の人を


        逢い見る如し。』




 





 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る