第15話 『どろんの戦い』


 赤血小次郎は、『どろん』を飛ばした。


 早い❗


 あっという間に川を渡り、対岸の丘の上にいた、荒川放水氏とその娘に襲いかかった。


 しかし、荒川たちは、それはすでに、察知していたのである。


 だから、荒川工作所特製の『ドロン』が、迎え撃ったのだ。


 激しいバトルとなった。


 赤血氏のどろんは、ピンク。


 一方、荒川氏のは、緑色である。


 どちらも、重力モーターで、駆動している。


 しかしなが、赤血は、自分の『どろん』が、荒川工作所製とは知らなかった。


 そんな記載はどこにもなかったのである。


 こうしたことは、昔の輸出用ラジオなんかには、あったことである。

   

 理由は知らないが。


 


 そのころ、和戸尊は、こう言った。



 『トウキョウなる


      ふるきみやこに  


        君をおきて


       おもいつつあれば


        生けるともなし。』



 そんなこととも、つゆしらず、赤血の『どろん』は、荒川放水氏の『ドロン』に躍りかかった。



 『どろんなる


      ふるき しかけに


         たよらずば


        はかなきいのちと


          われはしる。』



 すると、荒川氏が答えた。



 『ドロンなる


      ふるきしかけは


        たまゆらの


         みをけずるなりと


           われはしる。』




 『悪魔め鬼め❗』 (1)


 赤血小次郎は、そう唄った。


 『恋人か女房があれば?』


 と、荒川放水が、からかった。


 『恋とはどんなものかしら?』


 放水氏の娘が唄った。


 『風のなかの羽のように』、双方のドロン(どろん)は、舞い躍りながら、ぶつかり合ったが、どちらも、落ちない。


       🚁


 


 参考(1)……以下、『オペラ』の、アリアを参考にしています。

 


 


       



 

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