第13話 『なまか』


 名探偵赤血小次郎は、いまだ、開業中である。


 依頼は、まあ、たまにある。


 探し人、探し物が多数である。


 なかなか、連絡手段はないが、『探偵用かい依頼ポスト』を、いくつか配置していたのだ。


 回収に歩き回るし、運動にもなる。

 

 報酬は、食糧と、飲料水がいちばん、ありがたい。

 

 お金をもらっても、しょうがないのである。


 しかし、お金が通じる世界も、いまだに、残ってはいた。


 世界征服市場、である。

 

 地球が、ぎたぎたになったのを便りに、世界征服事業の起業をしたいという人が増えていた。


 政府は、ほぼ、存在しない。


 あっても、なかなか、見えない政府である。


 荒川放水氏は、そのための、アドバイザーを稼業としていた。


 もともと、大資産家である。


 自前の『低軌道荒川衛星 X-DP』を使う、衛星電話を活用する。


 その報酬は、お金である。


 かれは、労せず、『なまか』に、新世界の経済支配を狙っていたのだ。


 

 『窮すれば通ず


    白い猫でも青い猫でも


      鼠を捕るのが良い猫だ。』




 しかし、赤血小次郎は、違っていた。



 『探偵食わねど


         高楊枝。


     犯罪には手を染めずなり。』



 赤血小次郎は、プライドが高かった。


 いつも、きちんと、あらかわで、洗濯し、水浴びもした。


 いつも、ネクタイをして、暑くなければ、きっちりと、スーツを着ていた。


 すてきな、ステッキを常用していたが、これは、様々な役に立つ。


 ま、最近は、冬でも、30℃に近くなる、暑い日がある。



 『天地と共に


      終えぬと思いきや


        意外にはてぬ


          われ、哀れなり。』



 赤血小次郎は、探偵グッズをしっかりと維持していた。


 商売道具である。


 太陽光発電で、小さな電源は維持できる。


 無線装置もあるが、下手に使うと盗まれるから、用心が肝要だ。


 赤血は、相棒だった、和戸 尊を、探していた。


 和戸は、超爆弾が、各地で爆発したあの日、房総方面に出張したまま、行方知れずである。


 さて、で、赤血小次郎は、荒川放水氏を発見したので、攻撃用ドロンを飛ばすことと決めた。


 これは、自ら判断し、バリヤーを張り、空中戦もこなす、優れものである。


 

        🛩️


        

 


 

 

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