第11話 『せっけん』


 『なにゆえに、


    こんなにひとがいるの


      と、思いつつも


        せっけんで


         綿密に手を洗う


         コロナ禍の


          スーパーさんよ。』



 赤血小次郎は、ふと、そんな光景を思い出していた。


 そんなに、昔ではない。


 あの時は、代理戦争から、なぜか、世界戦争が始まり、みな、真剣に 核戦争を心配していたが、実際に使われたのは、『超爆弾』だった。


 ウルトラ・スーパー台風クラスの気象現象を生み出す。


 もちろん、直接に放射線被害は出さないが、原子力発電所などは、大抵、あっさりと、吹き飛んでしまう。

 

 誰が作り、使ったのかは、いまだに、解らない。




 『いわしろの


     岸が松の枝


       結びたくば


        いまなるぞ。


          帰りてまた


            みたければ。』



 赤血小次郎は、ふと、思ったが、そんな薄情なことは出来ない。


 ビッグマムーシも、約束を守っているのだ。


 人間が約束を無視してどうする。


 

 そのとき、赤血小次郎は、対岸の崖の上に、ちら、と光るものをみた。


 双眼鏡で見てみれば、ふたりいる。


 『あれは、荒川放水である。ならば、あとは、やんちゃ娘か。ははあ。あの怪物は、やつの創作か。』


 赤血小次郎は、にんまりとした。



        🖼️

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