第8話 大王戴冠式の料理ガガガ

 赤色人兵士達の熱狂の中、あれよあれよと戸惑っている内に、モジャス王から何かの鉱石を散りばめた赤いじょうが渡された。

 赤色人兵士達や集まった住民達の『大王様』シュプレヒコールの中、略式戴冠式りゃくしきたいかんしきが終わり僕は大王に就任した。


 僕は一応緑色人の王でもある。

「アット王代理に、赤色人緑色人同盟を僕が纏める大王になったと伝えてくれ」

「あっ……了解しました!伝言を終え直ぐに戻って来ます!」

 控えていたジョップに命令し、滑空車をグリンピース王国に向け送り出した。

(ジョップ、何か言いたそうだったが?……まさか赤サソリの解体が心残り?直ぐ帰って来るとは、サソリ肉食いたかった?)



 簡単に終った戴冠式の後、ソリスに連れられ厨房に来てる。

「裸王様、赤トカゲをここに出して頂けませんか?」

「あぁ良いよ」

 収納から大トカゲを出した。

「「「おぅ!!流石大王様!」」」

 厨房に居た男達が感激してた。

 無限収納は誰一人使える者が居ない、と言うか存在しない能力だそうだ。


 豪華な料理が並び、式典が開かれてる。

「どれも旨そうだ!」

「赤色人はバルス世界一の美食家を誇っています」

 美食家?旨そうだが、迂闊うかつに鑑定すると恐ろしい結果になりそうで、食べるのを躊躇ちゅうちょしてる。


 と言うのも飲み物として、例の濁酒どぶろくっぽい物が出されてる、よせば良いのに咄嗟とっさに確認の鑑定をしてしまった。

 結果コリコリぺっの酒と判明、げんなりして食欲が失せてしまった。


「ささ!大王様が撃ち落とされた黒鳥の蜂蜜焼き、美味ですぞ!」

(この世界の旨いは信用出来る、旨いのだろうがあの巨大な鳥が食えるのか?…コリコリぺっの濁酒に濃厚絞り糟の粕パン、やけくそで美味しく飲み食いしてる…今更何を躊躇する!!)

「旨い!」

 蜂蜜の甘さにピリ辛ソース、この組み合わせソースならば狸肉でも狐肉でも美味しく喰えるだろう。

「旨いでしょう、黒鳥を食べるのは10年ぶりで、皆大王様に感謝して居ります」


 国を守った事より、黒鳥肉が食える事に感謝かよ。

(限られた資源食べられる物は何でも食べて、食べられない物は工夫して食べる…これはサソリ出すと大騒ぎされそうだな、無限収納の肥やし決定)


「コリコリぺっ酒旨い!ぺっぺパン旨い!赤トカゲ肉は本当に旨い!!黒鳥甘ピリ辛焼き最高!!!」

 僕はちょっと壊れた?


「うっ!臭ぁ!!」

 黒っぽいドロドロの料理が出てきて、辺りを異臭が漂った。

「この臭いのは……まさか?」

「裸王様、これは滅多に食せない珍味です」

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