第29話 大型コラボ 2

 

 わちゃわちゃと仲良く開始したコラボは、車を模したカートのパーティーゲームでどんどん盛り上がる。

 なんというか……。

 

『いやァァァァァア! どこよコレェ! 助けて助けて、誰か〜!』

『ギャハハハハハハハ! アッハッハッ、アッハハハハ! ひぃーーー、ひぃーーーーっ!』

『ちょっとアリス笑いすぎなんだけど!? アンタ教えるって言ったじゃない! ぎゃああああ! また落ちたー! もうコインないんだけどぉー!? いやぁぁぁ! また落ちたぁぁもういやぁぁぁぁぁ!』

『まら茉莉花さん、落ち着いてください! ゆっくり、ゆっくり走ってみましょう! みんなゴールで待ってますから!』

 

 ……茉莉花のゲーム下手が炸裂しすぎである。

 魔戒アリスと肉球コロロが笑いすぎて台パンしながら過呼吸みたいになっているほど。

 魔戒と肉球は普段ここまでゲラ笑いするライバーではないから、そっとこの二人の枠を見にいくとチャット欄が『アリス笑いすぎて草』『茉莉花姐さんwww』『ゲラ笑い助かる』『切り抜き不可避』『神回』と珍しがっているな。

 茉莉花のチャット欄は困惑と笑いで埋め尽くされている。

 主に『こんな下手だったんだ』『新しい茉莉花』『クソかわ』『たすかる』『草』『笑いとまらん』っていう感じ。

 ちなみに夜凪は開幕早々茉莉花とともに逆走三周ゴールをかました。

 当然、茉莉花同様未ゴールである。

 

『ヒナタくん、私は今どこを走ってるのかな?』

『逆です、逆! 夜凪先輩反対、今来た道を戻ってください!』

『え、でも元に戻るし……』

『Uターンしないで!』

 

 明星は完全に夜凪の介護じゃねぇか!

 

『茉莉花さん、Bボタンでジャンプです!』

『ひぃ……ひぃ……』

『落ち着いてくださいね、ゆっくり進んでください。無理にコインとか取ろうとしなくていいので、そのまままっすぐ……』

『きゃぁぁぁあああぁ!』

『ああああああっ!』

 

 アマリと織星は茉莉花の介護に回る。

 二窓して茉莉花にルートを走り方を指示。

 織星に真っ直ぐ、と言われたので本当に真っ直ぐゆっくり進んだら、今度は勢いが足りず崖を飛び越えられなくて落下していった。

 チャット欄、もはや祭り。

 アマリと織星の悲鳴が綺麗に被る。

 半泣きの茉莉花とマジでずっと笑いが止まらない魔戒と肉球。

 

『夜凪先輩、そこは助走をつけてジャンプです!』

『助走ってどうやるの――あー』

『あああぁぁあ……!』

『ぶっははははははは!』

 

 夜凪、お前もか。

 

『あー、タイムアップだ』

『ひぃー、ひぃ……ひぃっ』

『んもおおお! こんなに難しいゲームだなんて聞いてないわよぉ!』

『茉莉花、八つ当たりはよくない。私たちがマジで下手なだけだから』

『ううう……』

『いやもう、でも最高に面白かったから……ハァハァ……無理、ホント無理……マジ面白すぎる……水飲む……はぁ』

『アンタは笑いすぎよ!』

 

 魔戒、マジで呼吸困難じゃん。

 

『茉莉花と夜凪ちゃんがこんなにカートできないとなると、ゲーム変える? 一時間ももたないよね、これ』

『ええ……アタシ茉莉花のマスカまだ見てたい。ハァハァ』

『さすがに可哀想やて。夜凪ちゃんが』

『私も可哀想でしょ!?』

 

 う、ううん、確かに茉莉花と夜凪の下手っぷりは二回目キツいな。

 肉球が気を遣って他のゲームを提案するが、魔戒はよほど茉莉花のプレイが気に入ったのかまだ笑っている。

 

『だって後輩ちゃんたち困惑してるじゃん。完全に介護だつたし。まあ、茉莉花と夜凪ちゃんがダメダメだった場合はこっちのゲームやろうって話してたんやでー』

 

 と、肉球が半笑いになりながら一度待機画面に戻る全員。

 そこから『人狼』のゲームが開始された。

 すでにどの窓のチャット欄も『ヤベェwwwwwww』『大草原不可避』『これは茉莉花姐さん……』『織星くん終了のお知らせ』『人狼たすかる!』『人狼好き!』『ヤベェ』『草』『キターーー』と祭り継続。

 最初に笑いを抑えた肉球が丁寧に人狼ゲームのルールを説明していく。

 俺は人狼ゲーム初めて見たから助かる。

 

『人狼ゲームやったことある人ー』

『初めてだよー』

『私も』

『わ、私も初めてです』

『俺も初めてです!』

『お、おれも』

『ちょっと待って、りゅうせいぐん☆組全員初めてなの!? あっふぷぷぷ……!』

『やばいってええぇ!』

 

 オイオイオイオイ、うちの『りゅうせいぐん☆』全員初めてかよ!

 まずはお試しで一周やってみよ、と肉球が進行を行い、全員が役職を振り分けられて開始。

 全窓開けていると誰が人狼なのかわかる。

 今回の人狼は経験者の魔戒だ。

 

『ひひひひひ……茉莉花ヤッちゃうよー』

 

 魔戒がによによしながら茉莉花を始末する。

 翌日、村人が集まり茉莉花が殺されたことで会議が始まった。

 ネズミという占い師の役職になったアマリが、魔戒を指差したことで満場一致の追放。

 魔戒が『うせやろ〜〜〜〜〜〜!』という断末魔にチャット欄が大爆笑の渦。

 は、早すぎる!

 

『待っ、は、はや、早すぎんだけどおおおお』

『あひ、アヒッ、ヒッ、アヒッ……!』

『甘梨ちゃんナイス〜〜〜!』

『もうヤバいって! “ばか”混ぜよう!』


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