7話 ちょい騒動
「おい、あれどういうことだよ?」
「なんで、九条さんがあそこに?」
「あの4人って仲良かったっけ?」
次の日の昼休みになると、クラスの中は軽い騒ぎになっていた
昨日の約束通り、九条さんと話をするために俺達4人は一緒に昼飯を食べる事になった
「あちゃー。そりゃ皆騒ぐよねー」
「そんなの分かってただろ?健吾」
「そりゃ分かっていたけど、なんか面白くてさー」
「それは、わかる」
九条さんが普段と違う行動を取るだけでこれだけ騒ぎになるのだ、少しおかしく思っても仕方ないだろう
「すみません。皆さんに迷惑をかける事になってしまって」
九条さんが申し訳なさそうに言うので、俺は否定しようとしたら
「それは咲が気にする事じゃないわよ」
―――先に文香に言われてしまった
ん?というか
「あれ?文香、九条さんを名前で呼ぶようになったんだ」
「ええ、昨日秀樹が忘れ物を取りに帰ってる時に仲良くなったのよ」
「なるほどねぇ」
と俺と文香が話していると
「おい!秀樹!文香!なんで俺抜きで先に仲良くなってるんだよ!」
「ああ、ごめん。昨日誘おうとした時にはもう健吾帰ってたし・・・」
「そうね、いなかった健吾君が悪いわ」
「まじかよ~」
本当は放課後に俺と文香がこれからについて話し合っていたからなのだが、実際に昨日健吾は放課後に速攻帰っていたので仕方ない
「えっと・・・」
しまった!九条さんが話に入って来れてなかった!
「あ、これが健吾でいつもつるんでるメンバーなんだ」
「あ、えっと九条咲です。よろしくお願いします」
「あ~、鈴木健吾だよ。鈴木でも健吾でも好きなように呼んでくれ。これからよろしく」
「はい、よろしくお願いします。鈴木君」
これで顔合わせは終わったかな?
「そういえば、九条さんはお昼ご飯お弁当?」
「はい!お弁当ですよ。今日のお弁当はおいしくできたと思うので食べるのが楽しみです!」
「え!?九条さんがお弁当を作ってるの!?」
驚いた。お弁当の人は少なくないけど、自分でお弁当を作ってる人はあまり見たことが無い
「ええ、両親が朝弱いので朝食ついでにお弁当も作ってるんです」
「すごいわね。私は料理できないのに・・・」
そういえば、文香は全くというほど料理が出来ない。というか、
「なにかしら?ヒデキクン?」
「エッ、ナニモナイデス」
「なによ、ちょっと食材が黒くなるだけじゃない・・・」
そう、文香が料理をすると全部木炭になる
卵が木炭になったときは本当に錬金術を疑ったものだ
「なんだ、文香は料理が出来ないのか?」
「ええそうよ!そういう健吾君はどうなのよ!」
少し涙目になりながら健吾を問い詰めるがやめた方が良いと思う
だって―――――
「俺か?出来るぞ?店でもたまに俺が作ってるし」
「これだから実家が居酒屋のやつは!うらやましい・・・」
そう、健吾の家は居酒屋で健吾自身も両親の手伝いとして料理を作ったりしているので普通に料理が上手い
「そんなに言うなら教えてやろうか?」
「え!?いいの!?」
文香の様子が暗いのを見た健吾が驚きの提案をした
文香も誘いを受けて目を光らせていた・・・のだが
「いえ、やっぱりやめておくわ」
どうやら好きな人に自分の失敗を見られたくないらしい
それを見た九条さんが何かを文香に伝えたそうだが、健吾を見て言いずらそうにしている
その様子を見て
「健吾、飲み物買いに行こうぜ」
「うん?いいぞー」
よし、なんとか健吾の誘導が出来そうだ
「あら、それなら私も行こうかしら」
なんで文香さん(当の本人)もついて来ようとするのかな?
「いや、どうせだったら俺達で二人の分も買ってくるよ」
「え、それは流石に申し訳ないです」
「九条さんも気にしないで、そんなに高い物でもないし」
そういって、なんとか男子と女子で分かれる事が成功した
健吾と飲み物を買いにいつもの自販機に向かう
「え、お前九条さんにも野菜ジュースを進めるのかよ」
俺が野菜ジュースを2個買ってるのを見て、一つが九条さんあてだとわかったらしい
ちなみに、健吾と文香にも勧めた事があるけど、1度おごったらそれ以降買ってくれない
トホホ・・・
「いいんだよ、九条さんもこれ好きなんだから」
「そうなのかー。ん?なんでお前知ってんだ?」
「昨日偶々ここであって、その話をした」
「なるほどなぁ」
なんか納得してるけど、俺は少し気になる事があったので健吾に聞いてみる
「そういえば、健吾が文香に料理を教えようとするなんて珍しいな」
「ん?そうか?」
そう、健吾は料理は出来るが、前に俺が健吾に料理を教えてもらおうとして時は断られたことがある
「そうだよ。前俺が頼んだ時は断ったくせに」
「あ~、まぁ、なんというか」
なんだか歯切れが悪いな
「最近文香の事が気になってて」
「うん?」
サイキンフミカノコトガキニナッテテ?
なんかとんでもない告白を受けた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そのころ、女子ーズ
「文香さん、良ければ私が料理を教えましょうか?」
「え?いいの?」
「ええ、といっても和食がメインになりますけど」
「全然いいわ!教えて!咲!」
「では、今度のうちでお料理教室をしましょうか」
文香の隠れお料理特訓が決まっていた
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