6話 やくそく
「えっと、俺達の会話に参加するっていうのは、文香と健吾と俺の会話に参加するってこと?
「はい、そうです」
当然の事ではあるけれど、流石にいきなりすぎて確認せざるを得ない
「迷惑でしたか?」
少し不安そうに九条さんが質問してきたので俺は否定をしめす
「いや、迷惑とかではないけど、いきなりだったから驚いた。というか、良いのか?俺達と関わって」
「というと?」
「いや、今まで九条さんがいたグループとかあるだろ?俺達3人はどこのグループにも属していなかったりするから、かなり浮くと思うんだけど・・・」
「それなら大丈夫です。元から私はどこかのグループにずっといるということは無かったですし」
「そうなんだ。まあ、俺は良いけど文香たちはどうだろう?」
俺達3人の問題にもなるので流石に俺の一存だけで決定は出来ない。元より俺は別にリーダーというわけでもないし
「それなら、文香さんには許可を取りましたよ?鈴木君には文香さんから連絡するそうです」
「あ、そうなの?」
九条さんから、文香の許可を得ていることを聞いたタイミングで俺のスマホが鳴る
「あ、今文香から連絡来たわ。健吾からも許可を得れたって」
「あ、そうなんですね。ということは混ざってもいい感じですか?」
「もちろん!明日からよろしくね!」
他の2人も良いというなら俺が反対する必要もない
「はい!よろしくお願いします!」
俺が改めて挨拶すると彼女は嬉しそうにほほ笑んだ
その笑顔に俺は不覚にも見惚れてしまった
「あの、佐藤君どうしました?」
いきなり固まった俺に疑問を感じて彼女は俺に訪ねてくる
「いや、なんだか改めて挨拶するのが気恥ずかしかっただけだよ」
「あ、そうなんですね。確かに気恥ずかしいですね」
(なんとかバレなかったけどこれから交流が増えるなら、気を付けないと)
「と、とりあえず帰ろうか」
「そうですね。あたりも暗くなってきましたし」
互いに少し気恥ずかしくなった俺達は再び帰路につくことにした
「そういえば、文香とは他にも何か話したの?」
「ええ、まあ。色々お話ししましたし・・・」
なんか、間があるんだけど、もしかして・・・
「仲良くなっちゃいました♪」
「そ、そうなんだ。それは良かった!」
てっきり気まずくなったのかと思ってしまった
「今度の休日に一緒にスイーツを食べに行く約束もしちゃいましたし!」
「ああ、確かに文香は甘いものが好きですからね」
昔から、ケーキやプリンなどのデザート類が家の冷蔵庫にあると、文香が遊びに来た次の日には無くなっていたりしたものだ
そのおかげか、俺は文香があまり好きではない、酒のつまみみたいなお菓子が好きになってたりする
「佐藤君は甘い物好きですか?」
「俺ですか?いやぁ、昔は好きだったんですけど、今は少し塩っぽい物の方が好きですね」
「そうなんですか、今度文香さんと食べに行くときにもし良ければご一緒にと思ったのですが」
「ははっ、それは文香と二人で楽しんでください!」
明日から同じグループで話すのであれば、女子同士の仲が深まるのは良い事だろう
男子には相談できない事だってあるだろうし
「私は佐藤君とも遊びたかったのですが・・・」
九条さんはこっちが申し訳なくなるくらい残念そうな顔をしていた
それを見て焦った俺は
「だったら!違う機会に一緒に遊びに行こう!」
と誘ってしまった
(しまった!つい勢いで誘っちゃった!)
「本当ですか!ぜひ行きましょう!どこに行きたいかは佐藤君が決めてくれて良いですよ!」
自分では不自然に誘ってしまったと思ったが、彼女は特に何も思わなかったそうで安堵する
「え?俺が決めるの?」
「はい!佐藤君が興味ある事に興味があります!」
なんというか、某作品の「私、気になります!」並みに勢いがある表情で言われた
「う~ん、だったらどこか有名どころの神社に行かない?」
「神社、ですか?」
「そう、実は俺御朱印帳を持ってるんだけど、あまり集めれてないし、行ったときに参拝の仕方とか色々教えて欲しいなぁって」
「なるほど・・・」
俺が言ったことはほとんど本当ではあるけれど、ちょっと違う
本当は九条さんが神社の話をしているのを見たいのだ
昨日、知識を教えてもらったときもそうだけど、九条さんは神社神道の話をしている時はさっきスイーツの話をしていた時並みに話に力があるのだ
それをまた見たいと俺は思ってしまった
「わかりました!では、佐藤君とはどこか神社におでかけしましょうか」
「やった!よろしくね!」
「はい。よろしくお願いします」
そんなことを話していると駅につき、ちょうど電車が来たので乗り込む
それから、最寄り駅まで、俺達は他愛もない話をしなが過ごしていた
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