第67話 衝撃波
【前回のあらすじ】
胴体を切断され、絶命寸前のハルと、洗脳されているであろうマイク。
彼はハルに言われた言葉に、デジャヴを感じていた。
諦めんのかぁー⁉︎そこで!
「ヨク、言ワレテイタヨウナ、気ガスル」
「ほう、誰からだい?」
「ロッ………誰ダ?ココカラ先ハ、全ク覚エテナイ」
「ロッ…?もしかして、ロッキー?」
「!!!!!!!!」
突然マイクは銃を手から滑らせて、地面に落とし、体が震え始めた。
ハルはそれを瞬時に拾う!
「(なんだ…?)」
マイクは強張る手で、自身の喉を掴んだ。
そして強く握りしめた!
ハルがそれを止めようと呼びかける!
「何してるの⁉︎⁉︎」
「中ニいル…俺を操っタ、寄生虫が!!」
「⁉︎⁉︎」
「アああ、あアあアああアあ………ァァァァァァァァァァァァ………ァァァァァァァァ!」
彼は胃液と共に、口から白い長いものが飛び出てきた!
ハルが絶叫すると同時に、マイクは白い長いものを潰した!
その白い長いものは塵のように消えてしまった。
グチャッッ
「………え、え……え?い、今の白い奴は?」
↑ハル
「アニサキスだと思う。おそらく、以前戦った寿司の術だ。
ところで、ロッキーの事を知ってるのかい?君は」
↑マイク
「えぇ……まぁ、さっき知り合った。
エリザベスに、一瞬で凍らせられたけどね」
ハルは指を、瓦礫の向こう側にいるエリザベスに向けた。
「あいつが!……許さない…許せない!」
「でも少し待って。警察と連携しよう」
「え?」
ハルはエリザベスが あくびをした時を狙って、口の中へ銃弾を撃ち込んだ!
ズバァァァァァァァァァァァァン
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァ
「ぐふっっ⁉︎⁉︎」
↑エリザベス
「エリザベスが吐血した事を叫んで!」
「え⁉︎」
「良いから早く!」
「Elizabeth vomited blood!!」
その声を聞いた石上は、ミニエリザベスと戦いながら、何かに気づく。
遠くでエリザベスが血を吐いて、跪いているではないか!
翼を地面につけているため、すぐに動けるような体勢じゃない!
「(今ならいける!)
長野さん、木下さん、ミニエリザベスを頼む!
本体が固定された!今の内に、黒木さんと倒しに行く!!」
「OK!」「わかった」
「石上さんよ、行くぞ!」
「はい!」
しかし、マイクの声を聞いたのは、エリザベスも同じ。
ハルたちの存在に、彼は気づいた!
「貴様ァァァァァァァァァ!」
遥か上空から、2人めがけて大量の
マイクはそれら全ての霰を、ハルを抱えて避け、銃をエリザベスに撃つ。
エリザベスは翼で弾を切り落とし、今度は大量の氷柱を降り注いだ。
「(霰の方が速度が速いな!)」
マイクは緊張しながらも、軽々と氷柱を避けていく。
しかし、いきなりそれらの氷柱の軌道が変わり、横向きになった!
「⁉︎⁉︎」
横からミサイルの如く飛んでくる氷柱を躱したかと思いきや、今度は避けた氷柱がUターンして戻ってきた!
「ハァ⁉︎⁉︎」
ズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォンズドォォォン
氷柱の謎の軌道に惑わされながらも、ハルが拳で避けるのが困難な氷柱を割ってくれたおかげで、なんとか凍傷だけで済んだ。
そして、銃を撃って応戦する!
マイクはエリザベスに向かって叫んだ。
「重力操ってたなぁ?全てお見通しなんだよぉ!!」
「ふっ、ならば、爆発でもしとけ」
エリザベスがかなり高くジャンプした!
「⁉︎⁉︎」
マイクは上を向く!
その直前に、エリザベスが空から落ちてきた。
ズドォォォォォォォォォンズドドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
エリザベスの着地と共に、瓦礫と火花が真上に飛び、彼らの周辺が大爆発を起こした!!
両足が爆散し、歩く事は愚か、立てなくなってしまったマイクは、銃を上に向けて投げる。
エリザベスはその銃に、顔のついた冷気で銃撃し、上空で凍らせた。
そして、翼を竜に変え、ハルたちに襲いかかる!
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ
竜が2本同時に吹き飛んだ!エリザベスが怒鳴った。
「誰だ今度はァァァァァァァァァ!」
「俺だァァァァァァァァァ!」
石上はエリザベスの嘴を掴んで、握力で潰す!
エリザベスは触手を全て、目の前の石上に向けて、逃げ場無く囲むように伸ばした!
ブシャブシャブシャブシャ
突然、視界が真っ赤になり、全ての触手が切れる!エリザベスは驚いて、辺りを見渡した。
なんと少し離れた所で、黒木が銃で全ての触手を、ほぼ同時に撃ち落としたのではないか!
視力や嗅覚の良いエリザベスですら反応できなかった。
「クソぉ、なんだあいつ!
全員○ねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
エリザベスは石上の手を内側から破裂させる。
そして口から、今まで聞いた事も無いような大音量を出した!
その瞬間、付近の全てのものが、粉状に粉砕してしまった。
ついでに、稲妻が複数放たれ、周辺のもの全てを切り刻む!
石上は、この衝撃波を目の前で受けてしまったため、目と鼻と耳が潰れてしまった。
さらに右腕が粉のように粉砕してしまう。
ハルとマイクも肉体の形状を維持できず、砕け散ってしまった。
黒木は運良く肉体を崩壊させる事は無かった。
しかし、気絶してしまった。
かなり遠くにいた、長野と木下も、ミニエリザベスと共に吹っ飛んでいった。
そして周りのビルも、ペットボトルのように飛んでいってしまう。
本当の意味で、物騒要塞どころか、関東が真っ平になったのである。
その衝撃波は、高橋にも伝わった。
「いでぇぇ!!」
威力は少し低くなったものの、傷が全身に入る。
存在を消しているはずなのに、存在を通り抜けて、衝撃波が届いたのだ!
ペンギンは少しも怯む事はなかった。
そして、少し焦りながら、高橋に言った。
「あの
建物や地面を粉砕し、喰らって運が良ければ、気絶で済むレベル。人が喰らうと体が粉状に粉砕してしまう。しかも光や音も凄まじいため、見るだけで失明、聞くだけで耳が消し飛び、大陸が移動するほどの威力。
また、それと同時に稲妻を複数放ち、狙撃も可能。触れたもの全てを切断するほどの威力を持つのだ!
つまり、日本がさすがに危ないわけだ!早く奴を止めなければ!」
その気配を感じ取ったのか、エリザベスは口の中で何かエネルギーを溜めた。
ペンギンが叫ぶ!
「屈め!!」
「え⁉︎⁉︎」
ズバァァァァァァァァァァァァン
エリザベスの口内から発射された、氷の玉が地面に着弾し、辺り一面を氷の世界に包み込む!
高橋は全身に凍傷が入った。
「ゔっっ⁉︎⁉︎…痛い!痛い痛い痛い!
体がぁぁ!耐えられない!!」
「耐えろ!俺が止めに行ってくる」
ペンギンも珍しく、余裕が無いようだ。
その証拠として、体が少し凍りついた。
高橋を守るために、盾代わりになっていたようだ。
おそらく彼がいなかったら、今頃高橋は、氷塊となっていただろう。
エリザベスは付近の敵がいなくなった事を確認すると、Uターンをし、全速力で走り始めた!
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