第66話 マイク

【前回のあらすじ】

エリザベスと戦っていた石上、木下、黒木、長野。

平山はエリザベスが開けた谷底へ落ちていってしまう。

そして、その戦場である物騒要塞に、朝がきた!!

エリザベスは人間側の応援が来る事を想定して、逃げの手に出たのである!!




エリザベスは突然、拳を翼に戻して、前に突き出すと、一回り小さいエリザベスが現れた。

そっくりである。


石上たちは警戒心を増した。


↓エリザベス

「このミニエリザベスは俺と同じ程度の強さを誇る。

さらに戦闘の記録をリアルタイムで本体である俺に送れるのだ!

酸素さえあれば無限生成も可能だ」


エリザベスは彼らに叫んだ直後、回れ右をして、西の方角へ、猛スピードで走り始めた!


「(⁉︎)」「逃げた⁉︎」「え」「は⁉︎」



ズドォォォォォォォォォン


地響きが鳴るほどの速度で逃げるエリザベスは、ビルや瓦礫を吹っ飛ばしていく。

石上は追いかけようとしたその時!



「⁉︎」

ズバァァァァァァァァァァァァン



そのミニエリザベスという分身が動き始めた。

この分身で警察を足止めし、時間を稼ぐつもりなのだ。


ミニエリザベスは翼を巨大化させた後、地面が抉れるほどの速度で振り回した!!


ズシャッッ


さらに、隙を埋めるために、口から血の手を生やし、警察へ襲いかかる!


「⁉︎⁉︎」

「!!」


「(早くしないと逃げられてしまう!でもどうすりゃ……)」






エリザベスは、物騒空間を破壊した事によって飛び散った瓦礫の山の中を進んでいた。


そして、追撃が来ない事を確認すると、足を止める。


「ふぅ…なんとかあの警察共は、俺の分身に手を焼いているようだな。

……俺の体力もほとんど残ってない。だから、分身を使おう」


彼の周りにミニエリザベスが、約20体ほど一気に現れた。



「20体の内、10体はヨーロッパ、5体はアフリカ。

そして残りの5体はアメリカを侵略して来い。

俺はアジアとオーストラリア周辺をぶっ潰す」


分身たちはそれぞれ、指示された場所へ、でんぐり返しで飛んでいった。

彼は、でんぐり返しすると、空を飛べるようだ。



その様子を、胴体を切られ、絶命寸前のハルが、瓦礫の隙間からこっそり見ていた。


「(あの鳥、まだピンピンしている…逃げている途中か?

どうにかして、奴を固定させれば……でもどうすれば……)」



彼女は何か利用できるものは無いか探した。






なんと、すぐ近くに銃があった!


ハルは精一杯、手を伸ばして、銃を掴もうと試みる!






その時……。



「⁉︎」

カチッッ



ズキューーーーーーーーン



突然誰かに銃を横取りされ、腕を撃たれた!


「ぐっっ!」

ブシュッッッッッッ



顔を上げて見てみると、撃った奴はなんとマイクだった。


「(に、人間⁉︎)」


「イタ。排除スル」


彼はまるで操られているかのようだった。

エリザベスによるものか?



「(こんな時に!)」

「○ネ」


ズバァァァァァァァァァァァァン


一切躊躇う事無く、彼はハルの頭を撃ってしまった。



「ゔっっっ!!!!」


幸い直撃はしなかった。

吐血し、もがき苦しむハルは、まるで自分を鼓舞するかのように叫ぶ。


「諦めるもんかぁ!!私は絶対に、幸せになるんだからなぁぁ!」



「無駄ダ、何ヲシテモ、無駄。助ケナンテ、来ナイ」


「くっ…………でも諦めるわけにはいかない。

不倶戴天ふぐたいてんの敵 エリザベス。ロッキーの仇は必ず取る」


「……諦メロ。何ヲシテモ、無d」


「エリザベスよ、見ているか!お前が改心するまで、私は幸せを求め続ける!!!」


「黙レ!!!」



ズバァァァァァァァァァァァァン



マイクは彼女のポニーテールを撃ち落とした。


「最後マデ顔 残シテオイテヤル。次ハドコ撃ッテホシイ?」


「好きにしろ…私は諦めないぞ!」


「ナゼソコマデ……負ケヲ認メナイ?

諦メノ悪イ、醜女シコメダ」


「お前はなぜそんなに諦めさせれるんだい。

諦めんのかぁ?そこで」



ハルはマイクに聞いた。もうそろそろ体が限界であろうハルは、まだ汗をかいている。


彼は言った。



「ソノ言葉、ドコカデ、聞イタ事アルゾ。

誰ノ言葉ダッタダロウカ?」

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