第65話 朝

【前回のあらすじ】

石上と彼の近くの警察官たちが、エリザベスの重力操作によって一箇所に集められ、隕石を宇宙から引き寄せ、そこへ落とされている状況です(絶望)。





そしてもう頭上には巨大隕石が!


石上は目を瞑った。































ズシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!


「…………?」



爆音が聞こえたが、特に何も変わってない模様。

石上は周りを見た。




なんと、救助隊員の長野が、車で地面に触れるギリギリの隕石を抑えていた!

猛スピードで隕石に突っ込み、石上たちに当たるのを防いだのだ!


「あ、あんたは⁉︎」

↑石上


「あなたはまだ戦える!あの鳥を早く!」

↑長野


今にも隕石で潰れそうな車から、長野はペットボトルを渡し、石上たちに水を飲ませた。

復活した彼らは、エリザベスへ向かう!



「(は?…あの車が隕石シューメーカーレヴィを受け止めただと?警察は皆んな無傷?なんでだよ。

だがなぁ、俺はここで終わるほど弱くない)」


エリザベスは向かってくる警察官たちに向けて、触手を時計回りにぶん回した!!


その瞬間、石上の前を走っていた警察官たちが次々と倒れていった。


「⁉︎⁉︎⁉︎…下がれ!」


石上は足を止めると、背後へ下がった!

彼は戸惑いながらも、エリザベスの様子を窺う。


高橋はペンギンに尋ねた。


「あ?それはなぁ……。

あの触手を全て一斉に同じ方向にぶん回すことで、毒の風を発生させる事ができるんだ。

この風は、触れただけで触手に当たったのと同じ効果になってしまう。風なので視認して避ける事ができない」


「あの触手って毒あったんですか⁉︎⁉︎」


「なぜあってはならない。強い分解酵素の毒があった方が、良いに決まってんだろ」

「そ、そうですね」




エリザベスは触手を時計回りに振り続けた。


石上でも、風なので視認できない毒を勘で避けるのは困難。

彼は一時退却した。


しかしやはり、大人しく逃すエリザベスでは無い。

彼の周りに2つ、帽子を被った砲台が現れた!

人よりも大きく、顔は若干エリザベスのようだ。


「⁉︎…なんだあれ…」



その砲台の帽子から、冷気がビームのように発射される!!


「⁉︎⁉︎⁉︎」


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン

ドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン



地面やビルが凍り、辺り一面が氷の世界と化した。


「⁉︎」


石上の靴が凍ってしまって動けない!

そして、エリザベスの元からヘルメットが2体空を飛んできて、体当たりし始めた。


「(くっ、こいつら!!)」


彼は靴を脱ぎ、ほぼ同時にヘルメットを消し飛ばした後、警察が大勢いる所へ戻る。


「大丈夫か石上!」

↑平山


「あぁ……あの鳥…隙が無い」



「(あいつ…敵前逃亡とは…愚かな!!

あの人間ッッッッッ!許さん、許さん…許さァァァァァァァァァん!)」



エリザベスはなんとその警察官が大勢いる場所へ行き、攻撃し始めてしまった!

まともに動けない人がいるので、ここで暴れられては、もう彼を止められる人はいない!


「⁉︎⁉︎」「え、鳥⁉︎」「ヤバi」


ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



掠っただけでも致命傷となる触手を狭い前哨基地で振り回され、警察も救助隊も半壊してしまった。

それに加えて、地面から大量の血の手が生えてきて、逃げ惑う人々を捕まえる。

石上と平山は瓦礫の下に隠れてやり過ごそうと試みるが、エリザベスはまた触手を振り回した。


その時同時に血を触手の先から垂らしている。

高橋は咄嗟に叫んだ!!


「皆さん逃げてェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」



その直後、地を這う薄い血の波がエリザベスを中心とした全方向へ放たれた!!

高さ500mの血の波が、尋常じゃない速度と量で半壊した警察を襲う!


「⁉︎」「ヤバi」ブシャァァァァァァァ


平山は血の波に触れた右腕を切断され、吹っ飛んでしまう。

それをエリザベスは見逃さなかった。


「(ノーカイパーベルトで周辺ごとぶち壊す!)」


ズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバズバッッ


エリザベスの足下から地面がひび割れ、前方に巨大な渓谷を生み出した!




「⁉︎」


「平山ァァァァァァァァァ!!」





遅かった。

平山はパトカーや他の警察官と共に、深い谷底へ落ちていってしまった。



「⁉︎………………………」


石上はあまりの衝撃に黙っていた。

状況の整理が追いついてない。目の前で平山が消えた。


自分がここへ戻ってきたから、エリザベスを誘き寄せてしまったんだ。

あのまま戦い続けていれば良かった。


「(…………)」


「後は残り少ない人間を○せば、全て収まる。

さぁ、先のお前だ」


エリザベスはショックで気を平山に取られている石上に言った。

黒木が銃を撃って応戦しようとするが、緊張感のあまり、引き金が引けない!


「(あの石上という警察はエリザベスに気づいてない!早くしないと彼もやられる!

早く、攻撃しろ……でも上手く撃てない!

下手に撃ったら俺がやられる。だから、確実に慎重に!)」


手が震えて標準が合わない。今までこんな事はあまり無かった。

しかし、今 的が動いてない時に狙わなくて、いつ狙う?


エリザベスの拳が青く染まる。ヤバいと思う。


「(早く…早く狙え!)」


「狙うだけで良いんだよ…狙うだけで)」


「⁉︎」


突然背後から、声がした。振り向いてみると、木下がいた。


「木s」

「待った」


黒木の口を押さえ、木下は言う。


「お前、何年こんな仕事してきたんだよ…何を今更。

俺らで必ず倒そう、あの鳥を」


「お、おう」



黒木は歯を食い縛り、銃を撃った!!


ズドォォォン




ズバァァッッン


弾がなぜか空中でいきなり砕かれ、エリザベスは灰色の針を16本出現させた。

そしてその針を、2人の方へ飛ばす!


「「!」」












ズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッズシャッッ………


針が目の前で壊れたかと思うと、長野がいた。


「⁉︎」「⁉︎」


「早く倒すんですよね⁉︎早く!」


長野は遠くで車に乗っていたため、エリザベスによる襲撃を受けなかったのだ。

そして銃を奴に向かって撃つ!




しかし、その銃の弾も空中で砕かれた。


「⁉︎⁉︎」


エリザベスはほくそ笑みながら、彼らに種明しをする。


「俺の周りに破壊判定がある。銃弾が触れた瞬間消えるからな」


「………」


「もう終わりだ、人の歴史は」


エリザベスは攻撃しようとした直後……。











ブンッッッッッ


ブシュッッッッッッッッッッ


「くはぁぁ⁉︎⁉︎」


「いい加減にしろよ、ゴミ鳥」



突然、隣にいた石上にぶん殴られた。


「ぐっ!…(な、なぜ破壊判定があるのに……。

もしやこいつ、破壊判定に判定される前に殴ったなぁ⁉︎それほどの速度を出せるこいつの打撃…おかしい。

このゴミ野郎!!)」


意味無いと思い、判定を消したエリザベスは、触手を石上たちに向けてふり回す!!



とその時、突然東の空が明るくなった。



「⁉︎」

「!」「え」

「朝…」


「あ、朝……」

「朝だな。時間をかけすぎた」



太陽が、広場と化した物騒要塞を明るく照らす!


「(まずい…時間をかけすぎた。こんなに被害を出してもまだこの鳥は弱っていない!

早くしないと、朝になって住民が起きてしまうだろう。そしたらもっと被害が出るに違いない。

ならば、早く倒すか捕獲しろ!)」

↑石上


「(まずい…時間をかけすぎた。こんな人間共なんかに!

早くしないと、朝になって応援が来るだろう。

ならば、逃げるしか!!)」

↑エリザベス

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