第60話 本物との再会
【前回のあらすじ】
アントニオに、誰だお前は!!と言われて、何かを決断したロッシュ。
彼女は、ニヤリと笑いながら言った。
「私の名前?…少なくともロッシュ・キラキャラではないね。
それに、中身も、ロッシュじゃないし……。
まぁさすがに、ここから先の話はわからないと思うけど、君の姉さんはねぇ」
ロッシュは息を大きく吸って、吐いて、言った。
「私が吸収したよ」
「⁉︎」「え⁉︎」「……」
「ロッシュ・キラキャラ……良い奴だったなぁ。私とは大違いの性格で、優しい奴だった。
逃亡中に偶然出会ったもんでな、私のような奴を、家に泊めてくれたんだ。
んで、気に入った私は、彼女を吸収し、そっくりの姿を手に入れたわけ。
そしたら、君のような弟が彼女にいた事を知ってね。しばらくの間、なりすましてもらったよ」
「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎………え、姉ちゃんは……?」
「もうこの世にはいない。残念だったね」
「ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
アントニオは包丁を、ロッシュに向かって投げた!
ロッシュはいとも容易く、その包丁をキャッチし、足下に捨てる。
「君の背中は安全だから、よく中で過ごさせてもらったよ。ずっと寝ていたね……。
エリザベスたちとの生活は中々楽しいものだったな。
いやぁ、姉を吸収し、警察の目を掻い潜れる姿をもらっただけでなく、まさか安全な住居までくれて、アントニオ…君には感謝してるよ」
アントニオの目から涙のように血が流れ出した。
そして、怒鳴った。
「んだと、返せよ!!ロッシュをよ!!!!」
「奪えるもんならなぁぁ!!」
ロッシュは稲妻を振り、広範囲に斬撃を発生させた!
それに対して、アントニオは巨大化し、掌から巨大なフライパンを生み出して投げつける!
石上と平山は避難しながら、彼らの戦いを見ていた。
「平山…どうしようか」
「うーん……そっと見守っとこう」
アントニオは電子レンジを生み出すと、その中から機雷を大量に放出させた。
その複雑に配置された機雷同士が、放電し合って、ロッシュの行動を制限する。
「(鍋たろーが今いないから、浮遊できねぇ!
だが相手はアントニオだ。余裕で勝てる)」
機雷を破壊しながら、ロッシュはアントニオの間合いを詰め、視認できないほどの速度で、彼を稲妻で連続で突き刺した!
それに対抗すべく、アントニオは浮遊し、ナイフとフォークで稲妻連続で突き刺す!相殺するつもりのようだ。
どちらも譲る気は無さそうである。
さらに上昇したアントニオは、巨大な蛇口から、超巨大な水塊を連続で、遥か上空へ発射させる!
水塊は雨のように降り、ロッシュを襲い始めた。
アントニオは水塊の不規則な降り方で惑わし、死角から攻撃するつもりらしい。
そして時々、彼はロッシュに向かって おたまを伸ばした。
「(あの おたま は武器を奪えた気がする…確か。当たったら終わりの技。
とゆうか、盤面が制圧されてんなぁ…なら、斬撃で埋め尽くせば良い)」
ロッシュは右手の稲妻で、彼女を踏み潰そうと動き回っている巨大な角砂糖たちを破壊し、左手で炎の海にしている巨大なフライパンたちを全て切り裂いた!
そして瞬きする隙も無く、口から稲妻を発射し、放電している巨大な電子レンジを破壊したッ!
さらに、少しジャンプした後、蹴りで落ちてくる全ての水塊を破壊。
そしてそのまま、超高速でアントニオの元へ迫る!!
「ふぇ⁉︎」
「さらば!」
ズバァァァァァァァァァァァァン
「⁉︎」
なんと、ロッシュの力強い斬撃を、アントニオは掴んで受け止めていた。
亀裂は再生能力の高さによって、無効果されている。
「石上!」
「わかってるよ」
ズドォォォン
石上はロッシュの腕に向かって、まだ熱で溶けていない残った銃を撃った!!
ブシャッ
「ふぐっ⁉︎⁉︎⁉︎」
腕に銃弾が命中した衝撃で、彼女の腕はズレ、斬撃が一瞬止まる。
その一瞬を、アントニオは見逃さなかった。
「おりゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!
○ねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
彼は包丁でロッシュの心臓に向かって突き刺した!
「⁉︎」
「!!」「……マジか!」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
「⁉︎………チッ」
ブシュッッッッッッッッ
「⁉︎………」
そしてロッシュも、アントニオの心臓を、稲妻で突き刺した。
「⁉︎」
「…………」
「⁉︎」「⁉︎……え」
2人とも、無言で地面へ墜落し、呆然としていた。
どうやら2人ともお互い、確実に心臓へトドメを刺しているようだ。
やがて、アントニオが口を開く。
「今からそちらへ向かうかも、姉ちゃん。
エリザベスには悪いけど、負けてほしいかな」
ロッシュの方を少しも見ずに、彼は消滅していった。
しかしロッシュは、アントニオの事をじっと睨んでいた。
「(あの警察官共なら○せたんだ。だがこいつ、アントニオが邪魔してきやがった!
クソっ!せめてあと一撃でも与えてやりたい!
鍋たろー や稲妻は、力が保てなくてすでに消滅したが、ぶん殴る事ぐらいならできるはず)」
消滅しかけている彼女は、石上と平山の元へ、這いずりながら近づいてきた。
「あのれぇぇ、待てぇぇぇ、私に殴らせろぉぉぉ……」
「無駄無駄無駄無駄」
↑石上
「⁉︎………は?………は⁉︎」
ロッシュは困惑しながら、やっと完全に消滅した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます