第56話 稲妻

【前回のあらすじ】

胸の内を語ってくれたアントニオ。

平山と石上は彼を保護しようとしたが、なんと彼の背中から、アントニオの姉が出てきたのであった。

アントニオの姉は、アントニオの保護を拒んでいるようだ。





「で、でも、彼は今の現状が辛いらしい。

どうか、保護させてほしい。じゃないと、彼の精神が!」


平山が必死に説得するが、アントニオの姉は聞かない。


「どうせ私たちを動物実験か、刑務所へ連れて行くのだろう。

それとも生物兵器として、戦争へ送るつもりか?

どっちにしろ私たちにプラスは無い。信用できるか」


「で、でもそこは…!」


「ダメだ。私が許さない。アントニオは絶対に渡さない」



「(この姉の顔……どっかで見た事あるな…)」


石上はどこかで見た事があるらしいが、そんな事は無いと考え直すと、目の前の事に集中した。


「わかった、実験にも刑務所にも連れていかない!約束する」


「なぜそれで私たちが、はいそうですか と信用しなきゃならないんだよ。

私たちにだって思考がある。騙されていると考える事だってできるわけだ。

お前の言っている事なんて、毛ほども信用してないよ」



彼女はアントニオの襟を離すと、そっと言った。



「私が守るから安心して。絶対に離れるなよ?」

「う、うん……ひっく」


「さぁ、アントニオを奪えるもんなら奪ってみな!

この私、ロッシュが阻止し、お前ら全員○してやっからなぁ!」




鍋が浮遊し始め、いきなりロッシュが、赤い稲妻を振る!!


「⁉︎」




ブシャァァァァァァァ!!


「石上!!」




稲妻の攻撃を喰らった石上の顔には、まるでのような切り傷があった。

そしてそのひびか、枝分かれし、どんどん広がっていく。


「ゔっ⁉︎……なんだこれ…」


「私の稲妻の斬撃は、お前らの肉と骨を、ひび割り続ける!

その内、お前の眼球を裂くだろうねぇ。楽しみ」



石上は銃を撃った!しかし、ロッシュによって弾かれる。

やはりというか、隙が無い。

ロッシュがアントニオに言った。


「アントニオ、お前は平山って警察を倒してこい。

私はこの石上の相手をする」


「え、やだ」


「やだじゃない、やらなきゃダメ。

エリザベスにだって言われてたじゃないか。○してくるんだろう?」

「…………」


「いざという時になったら、私が助けてやるよ」

「え、それh」

「だから早く攻撃しろ」

「はい」



ロッシュは稲妻を振るう!石上は後ろにジャンプして避け、なんとか直撃を免れた!


そして彼は、キッチンの影に隠れ、様子を窺う。

ロッシュはニヤリと笑った。



「そんくらいで、私の攻撃を避けれると思うなよ!!

血雷轟轟けつらいごうごうでこの辺を破壊しよ)」


ロッシュは稲妻を回転しながら振った。


斬撃が、一瞬にして周囲に分散し、キッチンのいたる所を切り刻む!


ズバァァァァァァァァァァァァン



「ぐっ⁉︎」

ブシャァァァァァァァ


石上の胸と掌の部分に亀裂が走った!

幸い貫通はしなかったものの、激痛が走る!!


そして、隠れられる部分がほとんど破壊されてしまったようだ。



「(あの斬撃の速度…おそらく間合いは関係無いな…)」


彼はコンロの上に乗り、調理器具を投げまくり始める。


ロッシュは飛んでくる器具を全て切り落とした!

しかし石上はそれでもなお投げ続ける。


「(あんだけ投げて、どうするつもりなんだ?)」







バァァァァァン


「ゔぐっ⁉︎⁉︎」



ロッシュの胸に銃弾が直撃した!


なんと石上は、器具を投げながら、彼女ですら視認できないほどのスピードで銃を撃ったのだ!



「(あの警察官、確実に私たちを倒すつもりだな。ならば容赦はしない)」

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