第55話 ひび割れる亀裂…影の存在

【前回のあらすじ】

巨大化し、警察を一蹴しようとしたアントニオ。

しかし平山と石上が粘る!これ以上被害を出すな!2人共!

………ヒーローアニメっぽい。




「お前ら、いい加減にしろよォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

なんでぇぇ、こんなに俺らに被害を出すゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

↑アントニオ



「くっ……被害を出してるのは、お前の、方だろう」


平山が息切れしながらも、そう答えた。

アントニオは怒鳴る。


「黙れ!!俺は、何も!し!て!ない!!!」


「でもこんなに被害者を出しておいて……!」


「それはお前らが攻めてきたからだろォォォォォォォォォォォォォォォォォォ⁉︎⁉︎」


「!」




確かに、アントニオは別に元から何かをしたわけではない。

最初に手を出したのはアメリカ人。


………いや、ヨーワーインという会社なのか?



「(俺らのせいなのか?)」











「おりゃァァァァァァァァァ!!」


石上が溶けかけの手錠を持って、アントニオの顔へぶん投げた!


ブンッッッッッ


「ゔっ⁉︎」


「(一瞬だけど隙ができた!)」

↑石上



彼は床に倒れている警察官の警棒を取ると、アントニオの胸へ投げつける!

さらにキッチンに散乱している調理器具などで、アントニオを叩く!



「おいやめろォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!お前らのせいだぁ!おまえらのせいだぁ!おまらえのせいだぁぁぁぉぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

↑アントニオ


「(いける!このまま攻撃すれば!)」

↑石上



「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァん!!!

酷いよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!

やめてよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」


「⁉︎」「⁉︎」



アントニオはなんと、突然泣き始めた!

大粒の涙が、燃え上がる炎を消化する……。

そして声が部屋中に響いた!鼓膜が破れる!


そして床をぶん殴った。



ドォォォォォォォン!

ドォォォォォォォン!

ドォォォォォォォン!!


ズドォォォォォォォォォン!!



「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……なんでェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ」


「(泣き始めた⁉︎……でも、今がチャンス!)」


石上が包丁を彼の胸に向かって振り下ろす!!







「やめろぉぉ!!」


ガチッ



なんと振り下ろされる包丁が、止まった。

平山が抑えたらしい。石上は怒鳴る。



「離せ!ここでこいつを○さないと、日本が危ない!」


「待て!一旦落ち着け!警察が殺意を湧いちゃダメだ!」




いつのまにか、元の大きさに戻っていたアントニオ。

ひれ伏せ、泣き喚ている。甲高い声が、少し申し訳なさを感じた。


石上は包丁をテーブルに置き、ため息をついた。



「クソぉぉ……なんでぇぇ!俺マジでなんもしてないのにぃィィィィィィ!

俺だってあんまり殺戮なんてしたくないんだよぉぉ!エリザベスに言われたんだよぉぉ!

頼むよぉ、助けてぇぇ……俺、辛い……色々」



「………彼は我々で保護しよう。おそらく精神的に追い詰められている。

とりあえず、上に連絡した方が良さそうだな」


平山が静かに言う。石上はうなづいた。


「わかった」


「よし、じゃあ、僕、少し俺らについて来てほしい。良いか?」


「ぐすん、うん……」











「いやダメだよアントニオ!」


「「⁉︎」」



突然どこからともなく声がした。誰のだろう?

周りに彼ら以外、誰もいないし、アントニオでもない。


しかし、アントニオは冷静に答えた。


「え……なんで…」


「もう少し粘れんかねぇ」





すると、なんと彼の背中から、誰かが出てきた!


「⁉︎」


一瞬で危険を感じた石上は包丁を、背中から出てきている途中の何かに向けて振るう!!















ドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン



砂埃と爆音が舞う。周りの器具が吹っ飛んだ。







「……………ゔっ⁉︎」


石上の頭に傷がつく。背後にいたのは、赤い髪の女だった。

アントニオの襟を掴んで、巨大な鍋に馬乗りしていた。

頭の上には鍋を被っており、手には赤い稲妻を持っていた。


「………⁉︎」

「(反応速度が……目のついた木や、あの子供の比じゃねぇ)」




「アントニオ、お前、何諦めてんだよぉ。

お前は人間を信用してなかったと思うんだが、違うかい?アントニオ………」


「……ご、ごめん、姉ちゃん」





「「(姉⁉︎⁉︎)」」


2人は驚く!アントニオの背中から出てきたのは、アントニオの姉だったのだ!



「さぁーてと、お前ら」


姉が静かに呟く。




「私の弟を可愛がってくれたじゃん。ありがとうね。

でも、怪しい方向へ誘うのは、やめてほしいねぇ。

例えば、刑務所みたいな所はねぇ!!!!」

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