第48話 血の手

【前回のあらすじ】

見事、すしに勝ったマイクは、寄生虫を入れられ、洗脳されてしまう寸前まで追い詰められてしまった!

そしてエリザベスは、自分の部屋へ向かっているところだった。





「リストキャット!!」


彼は自分の部屋へ避難させている、リストキャットの名を叫んだ。



バタッ


扉を勢いよく開け、恋人の名を叫ぶ!!





そこにいたのは、リストキャットを袋の中に入れようとしているツーヨーインの社員だった。


「……チッ、なかなか入らない……ん?ペンギンが来た……」


「!…助けてエリザベス!」

「リストキャット!!」


エリザベスの体から大量の長い棒が飛んできて、社員を壁に突き刺した!


グシャァァァァァァァァァァ



「ゔぉぇぇ…だずげでぇ……」

ブシャァァァァァァァ



エリザベスの翼が矢印のように尖り、彼の心臓を突き刺した。

血が噴き出し、部屋を赤く染める。

リストキャットはエリザベスの腹に頬を擦りつけて、泣き叫んだ。


「わぁぁぁァァァァァァァァァん、怖かったよぉぉぉーー!」


「怖い思いさせてすまない。もう安心しろ。

悪い奴らはお前以外が倒してくれる。でも、絶対俺の元から離れるな?」


「うん、約束する」


「では、逃げるぞ」

「はい」



2人は熱く手を握り締め、部屋を出た。






しかし………。

















「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


「………………」





部屋の前で出待ちしていたツーヨーインの社員に、リストキャットは心臓を刺されてしまった!!

飛んだ血がエリザベスの顔を濡らし、次の瞬間には社員は骨すら残らなかった。



ボトッ




「り……リストキャットォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」



床にゆらゆらと落ちていき、彼女は力無く言った。


「……え、エリザベ…ス。私、破壊されちゃった、心臓」


「リストキャット!

まだ○なないでくれ!耐えてくれ!頼む!すまない!

俺が守ると言った直後、こんな事になってすまない!!

リストキャットォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」



「……最後に、言わせて……」



リストキャットは小さく、頼りないが、美しい声で………。



















「………………愛してる」


「!!」


「だから、私の元へ来ないで……。

生きるって、素敵なんだよ。まだ、まだ私の元へ来ないで……」






と言い残し、消滅していった。



「ァァ…ァァァ…ァァァァ……」


エリザベスは血の涙を流していた。





「……………ぐっ、ツーヨーインの社員は全滅させたとタブレットと箱人間から聞いた……。

なのに、部屋に行ってリストキャットを守れと指示したはずのタブレットはいない。

そして、ツーヨーインの社員はいた……」



彼の体の表面から、血管が浮かび上がってきた。

迷路よりも入り組んでいて、長い血管だ。

そしてそれと同時に、血も少し垂れてきた。

















「何をしている!

箱人間!!!!!!タブレット!!!!!!」


ズバァァァァァァァァァァァァン




彼は怒鳴ると、上へジャンプした!




その頃、箱人間とタブレットは、物騒空間の浴場でツーヨーインの社員と戦っていた。

ツーヨーインもヨーワーインと同程度の技術力を持っており、なかなか長丁場と化している。


箱人間は掌から、箱をミサイルのように飛ばし、攻撃していた。

タブレットが叫ぶ。



「ヤバイデス!エリザベス様ガ……、接近中デス!!」


「は⁉︎⁉︎……もしや嘘がバレたか⁉︎⁉︎

でも仕方ねぇじゃねーか!俺はこんな殺戮なんてしたくないんだよぉぉぉ!」


「ソーイエバ、エリザベス様ノ部屋ヘ行ッテイマセン!!」


「は⁉︎⁉︎……それも原因だよぉ!」



ブシャァァァァァァァ!!



突然箱人間の腕が吹き飛び、湯船へ落ちたッ!!



ジャポーーーーーン!


「⁉︎……来たか⁉︎」

「エ……」




「………テメェら」





背後には、エリザベスがいた。箱人間の腕を飛ばしたのはもちろん彼。

2人とツーヨーインの社員たちは戦慄した。


しかし箱人間は諦めずに、反論したのだった。



「待ってくれ!俺とタブレットだけじゃ、こんなに敵の数が多いと勝てねぇって!」


「ソーデスヨー!!ダカr」



タブレットは画面中央を切られ、湯船に小石のように落ちていった。

社員たちはまた戦慄した。

でも箱人間はまだまだ反論する!いや、抵抗した!!



「(戦って勝てるわけないけど、抵抗しなきゃ○されるッ)」


彼は掌から箱をミサイルのように飛ばす!!

さらに部屋の上側に箱を大量に召喚し、落とした!!




が、すでに目の前にはエリザベスがいた。


「⁉︎⁉︎」

「その程度の攻撃で俺を倒そうとしたか。舐められたものだ、愚の骨頂」



ブシャァァァァァァァ


箱人間の両方の足が切られ、逃げられなくなってしまった……。



「ふぐっ……ち、チクショーーーー!!」



彼は残った腕から箱怪物を次々と生み出すが、その腕も吹き飛ばされ、とうとう手段が消えてしまった。

箱怪物もエリザベスに攻撃するが、一瞬で全滅……。




「え………え………え……」

↑箱人間


「…………貴様にしたい事は、わかったか」

↑エリザベス




突然エリザベスの口から、真っ赤な腕が伸び、鋭い手が箱人間の首元を掴み、壁へ押し付けた!!



ズドォォォォォォォォォン


「ゔっ……ぐるじいぃ……」


「貴様にしたい事はただ1つ、これだ。

俺の猛毒の血で作った手で、お前を絞め○す事……。

それはもう とてもとても残酷に、そして惨めに……全て貴様が悪いという事を、体で思い知らせる」


「ゔっ、ゔっ(意識が遠のく……)」


「終わりを終わらせよう」



ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!



箱人間はエリザベスの血の手で握り潰されてしまった。

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