第46話 心変わり
【前回のあらすじ】
エリザベスと高橋、箱人間メイド、すし、マイクは、宇宙空間へと直接繋がっている月の間という部屋へやってきた。
床が突然光り出すと、巨大な鳥が現れた。どうやらエリザベスの親らしい。
彼の名前はペンギン。彼はエリザベスに、高橋を○せと脅した。
「エリザベス、エリザベス」
ペンギンはエリザベスと連呼した。エリザベス本人は頭を下げたまま、何も喋らない。
「(エリザベスさん何て答えるつもりなんだ?)」
↑高橋
「(いつまで待たせんだろ……)」
↑すし
「(エリザベス様………)」
↑箱人間メイド
「(どうしようか、逃げても無駄…戦っても無駄な気がする)」
↑マイク
「私は…………私は…………
↑エリザベス
あの日本人を、信用をしているのかもしれません」
エリザベスの声が部屋中に響いた。
その場にいた皆んなが驚いた。
「ほう」
ペンギンは呟く。まるで当たり前かのように。
「心変わりでもしたか。おい、エリザベス。
貴様は昔から何も成長していない。
一度決めた事はやり続けろ。人間を憎むと決めたなら、憎み続け。違うか?」
長い舌を伸ばし、膝まずくエリザベスを舐め回すペンギン。
舌がぶつかった箇所から、血が流れ出ていた。
あの舌はとても鋭利で、触れたものを削れるようだ。
「うぐっっ……す、すみません」
エリザベスは血が目に入り、体が小刻みに震えてき始めた。
「では、今後の行動は自分で考えろ。俺は寝る」
彼は言いながら、舌をしまうと、光に包まれ、そして消えた。
エリザベスは吐血しながら、立ち上がった。
「ゔっ…ゔっ、ゔっ」
「エリザベスさん!」
「エリザベス様!」
高橋と箱人間メイドはヨタヨタと歩くエリザベスへ駆け寄った。
「大丈夫ですか⁉︎……エリザベスさん!」
「……だ、大丈夫だ。お前ら、早く逃げろ」
↑エリザベス
「い、いや……その、まだ謝ってなくて……」
↑高橋
「………………しつこい」
「「………⁉︎⁉︎」」
「もういい加減良いから、早く逃げて、働け。そして、社会に、貢献しろ。
全て俺らが解決する……箱人間メイド……高橋を頼む。
そうだ、ツーヨーインの社員は全滅させたと、箱人間とタブレットから聞いた。
だから安心しろ」
エリザベスは止血すると、光の速度で、部屋を出ていった。
高橋と箱人間メイドは、そこで取り残された。
「………しつこすぎたかもしれないですね。わかりました。
僕も会社に戻ります……ご迷惑おかけしました」
高橋は箱人間メイドに呟き、1人、月の間を出ていこうとする。
「待って!!」
「………?」
箱人間メイドの声が部屋中に響いた。
高橋はそっと振り向く。
「エリザベス様は……嬉しかったと思いますよ。
今はただ気が立っているだけですよ。多分。
謝るのはまた今度にします……に、変更しませんか?」
「……………」
「……玄関まで案内しますよ」
箱人間メイドは、彼の手をそっと取り、こう言った。
暖かい手だ。寛容性しか感じられない。
高橋はいつのまにか、息をするのを忘れていた。
「…………ありがとう、ございます」
「では、こちらです」
2人は部屋を出ていった。
すしとマイクだけが取り残された。
「…………さて、お前を○すまで、俺は追いかけるぜ?寿司よ」
「………そうですか、寿司…ではなく、すし……ですよ」
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