第43話 ヒーロー
【前回のあらすじ】
吹っ飛ばされた先ですしと対峙したマイク。
彼はすしが繰り出した水の檻に捕まり、幽閉されてしまった!
そんな中、どこからか、ロッキーの声が聞こえてきたのだ。
「(やはり心の声か、なんだ………。
結局、無理か、無駄か、不可能k)」
「諦めんのかぁー⁉︎そこで!
ヒーローになりたいんじゃねーのかよ!」
「……………」
昔、ロッキーによく言われた言葉だ。
仕事が下手だった彼を、ロッキーがよくフォローしてくれた。
「(俺とロッキーは名コンビだと勝手に思っていたが、今思うとただロッキーの足を引っ張っているだけにすぎない。
俺がロッキーの後をついて行っているだけだ。
だから突風に吹き飛ばされた。このドームが今の俺の気持ちのようだ。
暗い、寒い、………星はあるが、俺の心には無いな)」
「らしくないなぁ。いつも陽気じゃねぇか!鬱になるなぁ!
語尾は伸ばすタイプだろぉ?お前はよぉ!
諦めんのかぁー⁉︎そこで!ヒーローになるんじゃねぇのかぁ⁉︎」
ロッキーの声がどんどん大きく聞こえてきた。
マイクの体が震えてくる。
「(……そ、そこまで言われたら……)」
「お前は、ヒーロー、だろ?」
「………………」
すしはスマホを出すと、電話し始めた。
「もしもし、エリザベスさん?
アメリカ人は僕が始末しました。
…………え、最後の晩餐として、こっちに来てほしい?
あ、はい、餌ですね。わかりました。
では今からそちらへ向かいます」
すしはドームの入り口の扉を開こうとした。
その時!
ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァ
「ふぐっ⁉︎⁉︎…いやマグロですよ僕は!」
慌てて彼は振り向くと、後ろにはびしょ濡れのマイクが銃を構えて立っていた。
「……ファ⁉︎な、なんでぇ⁉︎⁉︎
もしや、水の檻を抜け出したんですか⁉︎
(まさか、あれを破るほどの力がまだ残っていたとは)
と、とにかく敵には攻撃です!」
すしのネタがアワビに変わり、そこからビームが放出されたッ!
「(俺はヒーローだ…俺はヒーローだ!
ヒーローになるじゃない、もうすでにヒーローだ!)」
マイクはビームを受け流した!すしは驚く。
「え⁉︎⁉︎な、なんでよ⁉︎
ビームって受け流せるんですか⁉︎」
マイクは汗を垂らしながらも、銃を撃った!
すしは高速移動で弾を避けながら、彼を翻弄する!
「(先ほどよりも随分と動きが速くなっている………。
これはそろそろ本気を出さなければ!
皿キャノンで的を逸らせ!)」
すしの側面から、皿が次々と飛んできて、マイクの周りを飛び回った!
「(翻弄する気だ。そんな作戦に乗るか!)」
マイクは皿に注意しながら、そんな事を考えていたが、咄嗟に背後を向く!
ズドカァァァァァァァァァァァァァァン
ジャキッッッッッッッッッッッ
「………なんですかその反応速度は。
そして銃を上手く使って、斬撃を受け流しているようですね」
マイクの銃に、すしが持っている2枚の扇子が刺さっていた。
「お前の扇子は、切れ味が良いらしいなぁ。
日本はもっと謙虚で清楚で素晴らしいぜぇ?
そんな殺傷能力の高い文化ではない」
「ふっ、日本食の王にそんな事言うとは、なかなか煽るのが得意なようで。
僕もそろそろ黙るのをやめます」
一瞬でマイクと距離を取ったすしは、巨大なタコの触手を2本伸ばす!
マイクは彼に向かって走りながら、触手を避けた!
「(あの巨大な触手の攻撃速度が……ヤバい。
だけどぉ、俺はぁ、諦めないからなぁ!!)」
突然上から、大量のきゅうりが降ってきた!
グサグサと地面に刺さるが、マイクは避けきれないものだけを銃で撃ち抜き、あとは全て走って回避した!
「(やはり、先ほどとは比べられないほど強くなってる!
なら、術で埋め尽くせば良いんです!)」
すしの姿がイクラ巻きになると、周囲にイクラを撒き散らした!
「⁉︎」
突然マイクの足元に降ってきたイクラは、大爆発を起こした!
ズドカァァァァズドカァァァァァァァァァァズドカァァァァァァァァァァァァァァンァァァァンァァァァァァァァズドカァァァァァァァァァァァァァァンァァン
イクラが次々と爆発していく!
彼は爆発に巻き込まれないよう、できるだけ体勢を低くして、直撃を免れた。
爆発が止むと、辺りの床が爆発で黒くなった。すしは見渡す。
「(あれ、あのアメリカ人はどこへ行ったのでしょう?
でも、イクラボムに視覚を与えれば、その場所を見る事ができますからね。
見つけたら任意のタイミングで爆発させれば良いだけです。
……そうだ、物騒空間中にイクラボムを大量に設置しておけば、敵が今どこにいて、どんな状況かわかるじゃないですか!
我ながら頭がi)」
ブシャァァァァァァァ!!
突然のマイクの襲撃に、すしは戸惑った。
「……え、いつからいたんです⁉︎
全く、どこへ隠れていたのですか」
「それは内緒だよぉ」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン
マイクは視認できないほどの速度で、すしを撃った。
が、すしの方が若干早かった。
「………爆散したし」
彼は上を向くと、大量のシャリが、宙を舞っていた。
シャリからすしの声がする。
「アメリカ人さん、今どんな気持ちですか〜?www
悔しいですか?それとも悲しいですか?
どっちにしろ無駄なんですがね。まぁ、気持ちくらい聞いてあげますよ。
あなたの銃弾が当たる直前に、1800個の米粒に分散して良かったです。
では、さよなら〜」
シャリは、次々とドームから出て行き、坂のような廊下を飛んでいった。
「………逃すわけないだろぉ?」
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