第36話 脅威の斬撃シューティング

【前回のあらすじ】

雪だるまを追って田中の元へやって来た救助隊。

彼らはネットシューターで田中を捕獲しようと試みるが、雪だるまもろとも、一蹴されてしまう!

この後どうなる⁉︎⁉︎




雪だるまの斥力で飛ばされた救助隊は、突然壁を突き破って、壁や床を削っていく三日月に驚いた。


「なんですか、あれは!」


「え………何あれ」


青い三日月は部屋の壁を崩して、田中と直通となった。

救助隊は崩れた瓦礫のそばから、中の様子を見た。


白い人が胡座をかいて、何かしている。


「奴もアルビノの生物兵器のメンバーですかね」


「おそらく。捕獲体制に入るぞ」


隊員たちはネットシューターを用意する。

一方、田中はプラモデルを作るのに集中していた。



「なんとか簡単に捕まえられそうですね」


「そうだな。これで給料も上がるぞ!」


その時、突然血を流して倒れている隊員が、手を上げた。


「⁉︎」「⁉︎」「「え⁉︎」」「お」「わっ⁉︎」「ん」「⁉︎」「⁉︎」


血を流して倒れている隊員は、指を動かして、何かを必死に伝えようとしている。

掠れた声で、何か言おうとしていた。


「……!……紙に書け!伝えたい事を」


1人の隊員が、紙とペンを用意し、その隊員に渡した。

隊員はゆっくりと、力の出ない腕で細々と書いた。


「……三日月の斬撃?」


「……何か気をつけた方が良さそうだな」



恐る恐る、ネットシューターの射程範囲へ向かう隊員たち。


「(よし、長野ながの隊員、撃つぞ?)」


「(はい、ばっちりOKです)」


長野隊員が、シューターの引き金を引いた!




網は、床に置いてあるプラモデルにかかった。


「「え?」」


「長野隊員!岩波いわなみ隊員!逃げて!」


突然、部屋の外にいた隊員が声を上げた!

木下きのした隊員だ!



長野と岩波が前を向くと、田中が部屋の端で立っていた。

両手には包丁を1本ずつ持っている。


「いい加減にしろよぉ」


田中が喋った。


「俺はプラモ作るのに忙しいんだよ。

敵が来たから警備しろと、エリザベスに言われたが、そんなん知らん。

確かにここが見つかったのは俺のせいだが、あれは過去の話。

俺は今を生きるのに大変なんだよ。過去の事なんて思い出す暇無い。

だからなぁ、とっととくたばれクソ野郎共!!!!」


田中は包丁を振るうと、その包丁から青い三日月が、床を削りながら飛んできた!


量が多く、スピードも速い!


「長野!ジャンプしろ!飛び越えるんだ!」


「やってみます」



長野は迫り来る三日月を飛び越えた!

三日月は人と同じ大きさくらいで、彼らにとっては、割と普通に飛び越えられるようだ。

特殊な訓練を受けているからである。


彼に続いて、岩波もジャンプで避ける!

床は三日月が通った箇所に、傷がついていた。



「……なんであの斬撃避けれんだよ。

俺も遊んでいるつもり無いから、本気で○すぞ」



田中は斬撃を繰り出す!

今度は2つの人の倍以上の大きな斬撃と、複数の小さな斬撃だ。


岩波は横へバク転で回避し、ネットシューターを撃つ!


シュルルルルルルルルルルルルルルルルルル!



逃げられないほどの大きさと広さを誇る網が、田中に向かって飛んできた!


しかし田中は当然のように網を切り裂く!



「(あの包丁をなんとかする必要がありそうだな)」


岩波はそんな事を考えながら、普通の銃を撃つ!


ズバァァァカキーーーーーーーン



田中はあの速度の銃を包丁で弾いて、岩波の目の前に一瞬で来た!


そして………!



ドドドドドドドドドドドドドドドドドド


前方に、複数の小さい斬撃を纏った大きな斬撃を3つ飛ばした!


「(しくじった!)」


一瞬で目の前へ来てから、斬撃を飛ばすまで、瞬き1回で済むほどの速さ。

岩波はその一瞬を見る事ができず、避けるほどまでいかなかった!


「岩波さん!」



長野はネットシューターを岩波に撃った!

「は⁉︎」



シュルルルルルルルルルルルルルルルルルル!


岩波は網ごと吹き飛ばされ、なんとか斬撃を喰らう事はなかったようだ。

代わりに網に捕まったが。


そしてすぐさま長野は銃を田中の頭に撃つ!



ブシャァァァァァァァ


なんと銃弾は田中の頭に命中した!


「⁉︎……!」


彼は斜めに包丁を振り、斬撃を斜め上から飛ばした!


長野は一瞬で見極め、バク宙で次々と来る斬撃を後ろに向かって回避した!

木でできた床に割れ目が入る。


田中はまた斬撃を長野に向かって飛ばすが、それに気を取られて、背後の岩波に気づいてなかった。


彼は棒を持ち、背後からゆっくりと迫る!





「(おりゃぁぁ!)」


カキーーーーーーーン



棒は田中の包丁でしっかりと受け止められる!


しかし岩波は棒を振るのをやめない!

田中も包丁を振って棒を受け止めた!


長野も咄嗟に田中の背中に銃を撃った!


ドォォォォォォォン



田中は大きくバク転して、部屋の真ん中から、端に行った!

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