第37話 黒い田中

【前回のあらすじ】

岩波、長野は田中と戦っていいる最中、田中は部屋の端へ飛んのだった!



岩波は棒を持って、彼に向かって走る!


突然、田中は包丁を持った腕を広げて、包丁を横に向けると、包丁そこから渦のような斬撃が放たれた!


「⁉︎」


円斬旋回えんざんせんかい かい!」


田中が叫んだ直後、渦から大量の斬撃が、全方向へ放たれた!!


ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン


ズババババババババババババババババババババハバババババババババババババババババババババババ


床や壁がどんどん削れて、むしろ傷が無い場所の方が少なかった。


「(避けれない!)」


岩波は咄嗟に後ろへ飛んだが、右足と右腕を切られてしまった!

棒も先を切断されてしまい、射程が短くなった。


長野はかなり離れた所へ逃げたため、なんとかノーダメージで済んだが、岩波は全身血だらけ。

とても見てはいられないほど、傷がついていた。


「(今の攻撃を避けるとは、なかなかやる奴じゃん。

イラつくなぁ、早くプラモ再開したいのに!

そうだ、俺も頑張れば、使えるようになるかな?)」


田中は少し離れた所で倒れている岩波に向かって、渦のような斬撃を放つ!


「(円斬旋回えんざんせんかい!)

岩波さん避けて!!!!」


長野は力を振り絞って、岩波を大きな声で呼ぶ!


「……」



ブシャァァァァァァァ!!




岩波は胴体を横に切断され、上半身と下半身が吹き飛んでしまった。


「⁉︎⁉︎……」


長野はその瞬間、呼吸する事すら忘れていた。

おかげで全身の血が止まり、疲労と共に胸が苦しくなった。



田中は岩波を見ながら、長野に言葉を放った。


「プラモの時間を、邪魔するなぁ!

俺も暇じゃないし、身を守らなきゃならない。

だから、後はよろしく頼んだ」


「えっ⁉︎」


田中の目の前に、黒い田中のような影が現れた。

彼と同じ包丁を持っている。


「(……⁉︎……ス、スタ○ド⁉︎)」


田中はその場で座ると、プラモデルの続きを始めた。

一方黒い彼は、包丁をぶん回して、斬撃を長野に飛ばす!



「(岩波さんはまだ助けられるかもしれない……。

早く近づいて、倒さなければ!)」


長野は斬撃を避けながら、そんな事を考えていた。

そして、チャンスと思って、黒い田中に近づく!



「おりゃっ!」

「……」


黒い田中が斜めの包丁の太刀筋に一閃し、地を這うように前方のあらゆる方向へ、ビル10階ほどの大きさを誇る斬撃が放たれた!

更に、地を這う斬撃の合間を埋める様に三日月状のうねる斬撃が伴っている。


「は⁉︎⁉︎」


速度も速く、車なんかじゃ出せないスピード!


「(終わったのか?……俺)」


はっとした長野は、水の中に潜った!



幸い斬撃は水の中に入ってはこなかったため、なんとかやり過ごす事ができたようだ。

水の中から腕だけを出し、銃を撃つ!


ズバァァァァァァァァァァァァン


銃弾は黒い田中に命中したッ!


しかし、なんと弾はすり抜けてしまったのだ!


「(攻撃が、当たらない⁉︎)」



黒い田中は、弧を描くように包丁を振るう!

包丁の先から伸びた青い斬撃を纏う紫の斬撃が、ものすごい速度で、長野へ向かった!

そしてこの広範囲。サッカーコート4個分はありそうだ。


ブウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥンン!!



長野は床が削れるほど体勢を低くして、またなんとかやり過ごした。

斬撃が頭上を通る瞬間、風が切れる音がした。



しかし体勢を低くした事により、彼はすぐに動けなくなってしまった………。

その隙を黒い田中は狙っていたようだ。


包丁を振り上げると、円を描く太刀筋に無数の回転するノコギリの歯のような斬撃を纏った、まぁまぁ大きな斬撃が、なんと2本も放たれた!


「⁉︎」


斬撃は破片を吹き飛ばすように地面を削り、長野へ迫る!

音だけでわかる。これは他のとは違う!



顔を見上げて、どうして良いのかもわからず、途方に暮れている長野へ、何かがとんでもないスピードでぶつかってきた!

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