第28話 プラモデル

【前回のあらすじ】

無事、クリスマスツリーを撃破した石上と平山。

こうして物騒要塞の警備は全滅してしまった!




今回の件で、なんと物騒空間に、救助隊が派遣された!

アルビノの生物兵器による被害が尋常じゃないため、日本の政府が危険視したからだ。

警察と救助隊が、空き家の中へ入っていく!



「……玄関に突入しました!アルビノの生物兵器のメンバーと思わしき生物は今のところ確認できません」


救助隊の隊長が、トランシーバーで言う。

その様子を、小さな羽が生えた、ボールのカメラが見ていた。


タブレットの使い魔である。

このカメラを通して、物騒空間内の情報を収集しているようだ。



「ホウ、警察ト救助隊ガ来マシタカ。

エリザベス様ニ報告シナケレバ、ナリマセン」


タブレットはそう言うと、エリザベスを探して、辺りを彷徨き始めた。

案外すぐに彼は、エリザベスを見つけた。



「ア、エリザベス様!クリスマスツリー様ガ、ヤラレテシマイマシタ!!

ドーシマショー⁉︎物騒要塞ノ警備ガ疎カデス!

警察ト救助隊モヤッテキマシタ」


エリザベスは静かに答える。


「ならば、救助隊を田中のいる場所へ誘導しろ。田中に全滅させれば良い。

どうせあいつ、暇だろ」


「了解!!」


タブレットはフワフワと飛んでいった。

エリザベスは振り向く。



背後には、アメリカ人が大勢いた。

全員銃を構えているが、どこか怯えている顔をしている。


エリザベスは言った。


「わざわざ餌になるために来てくれて、感謝するぞ」




ブシャァァァァァァァ


アメリカ人たちが銃を撃つ前に、彼らは真っ二つに切られてしまった!

血や肉片が床に飛び散る。


エリザベスはそのうちの1つを掴むと、頬張った。


「回復するためには、食料が必要なのだ。だから恨むな。

本当はすしが食いたかったが、仕方ない」


実は彼、雑食である。


「ふう、警察と救助隊か。何人いても無駄だ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


その頃タブレットは、救助隊がいる空き家のリビングのすぐ隣の部屋にいた。

様子を窺っているようである。


窓の外はすでに夜になっており、時計を見ると、7時半になっていた。


「(……ドウヤッテ誘導シマショーカ?)」


タブレットはしばらくそこで待機する事にした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


一際目立つ警察官は、空き家の廊下を走っていた。

ピンクのカップケーキに、緑の一つ目がついた奴や、白い毛玉などを銃で倒しながら。



「(昇格のためのかてだ、恨むなよ)」


そんな彼は、廊下でとある扉を見つけた。

周りに何かあるわけでもない、ぽつんと一軒家のような印象である。


警察官は恐る恐る、扉を開ける。




ギギギギギギギギ……


扉と壁が擦れる音が響く。かなり錆びているらしい。



扉の先は、蓮の葉が浮いている部屋だった。

橋が大量にかかっており、部屋の中央には、向こう側を向いて、白い人が胡座あぐらをかいて座っていた。


猫背になって、何か作業しているようだ。

カチャカチャと聞こえてくる。


警察官はほくそ笑んだ。


「(手頃な奴を見つけた!

あいつを倒せば昇格間違い無し!

しかも今、背後を取っている!

こんなん、負ける理由がわからんわ!)」


彼は白い人の後頭部に向かって、銃を構えると、こう言った。



「お前は完全に包囲されているッ!

撃たれたくなければ、今すぐ降伏して、俺に撃たれるんだな!」


矛盾な発言にも気づかないほど、白い人は、その作業に熱中していた。

警察官はチッとわざと聞こえるように鳴らすと、また言った。


「おいそこの白い人、撃つと動くぞ!

…………間違いた、動くと撃つぞ?」


「………………」←白い人


「黙ってるって事は、降伏したという事だな。

じゃあ、とっとと○ね!!!」


バァァァァァン!



銃が撃たれた!














ブシャァァァァァァァ



警察官の胸から、血が噴き出す!


彼の後ろには、猫背の状態でまだ作業している白い人がいた。


そして手には、包丁を持っていた。


「⁉︎………(いつ切られた⁉︎)」


「うるさいなぁ」



白い人は猫背の状態で口を開く。


「俺今、プラモ作ってんだよ。うるさいから、邪魔しないでくれる?

なんてったって、俺の名前は、田中だからなぁ!」



警察官は、血を流しながら、その場で ばたりと倒れた。

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