第27話 サトシ

【前回のあらすじ】

クリスマスツリーに、全身を冷やせと言った石上。

ツリーはその発言によって、思い出したくもない過去を思い出してしまい、ガチキレしてしまう!

ある少年と、今は無い頂上のスターを………。





ツリーは大量の根っこを勢いよく石上に向けて伸ばした!


石上はバク転で、縦横無尽に動く根っこ全て回避する!


「チッ、ちょこまかと動く虫め」


ツリーが喋ると、石上が喋る。



「お前はそこから動かないねぇ。

それとも動けないのかなぁ?

どっちにしろ、的が狙いやすいよ」


バァァァァァン

ブシャァァァァァァァ


「ぐふぁぁ⁉︎」


石上は迫り来る根っこを避けながら、銃を撃ち、見事ツリーの目に命中させたッ!

周りの警察官も、銃を撃つ!



「チッ、なんでなんだよ!」



シュルルルルルルルルルルル!


ツリーから伸びたリボンが、1本につき、3本に分裂した!


「⁉︎」


「さらばだ!八重帯斬やえおびぎりでなぁ!」



上空でリボンが重なり合って、菱形の模様を大量に作ると、それらが全て、一直線に真下に向かって落とされた!


「⁉︎」



石上は上を見る!


「(避けられるか⁉︎)」


もう彼は根っことリボンの攻撃で、体力が無くなっていた。

必死に目を瞑る!














「ふう、危なかった」


次の瞬間には、石上はパトカーの中にいた。


「え⁉︎」


「大丈夫か⁉︎お前!」


運転席には、同僚がいた。

目の前にはクリスマスツリーが、目を赤くして、こちらを睨んでいる。


「もしかして、助けてくれたのか?」


「正解だ。石上」


「ありがとう、平山ひらやま


どくやら平山と呼ばれた警察官は、リボンに斬られる前に、パトカーで石上を救出したようだ。


平山はアクセルを踏んで、ツリーに向かって突撃する!

ツリーは木の竜を操って、パトカーを妨害したが、華麗な運転捌きにより、見事抜け出した!



あとツリーとの距離が1mほどしかない!


「「終わりだァァァァァァァァァ!」」



「終わってたまるか!」


ドンガラガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン



ツリーの根っこが、ツリーを持ち上げて、彼は遥か上空へ行ってしまった!


「お前らは所詮、地上でしか活躍できんのだ!」

↑ツリー


「は⁉︎」


石上はもっとキレる。平山が言った。


「いや、上手く根っこを操って、上に登れるかもしれない」


「ならo」


言い終わる前に、上から何か落ちてきた!



ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ



「「?」」




外には、大量のベルが転がっていた。


「ちょ待て逃げるぞ!」

「え⁉︎⁉︎」


2人はアクセルを踏んで、後ろへ下がる!


次の瞬間!





ズドカァァァァァァァァァァァァァァン


大量のベルが大爆発を起こした!


塵や砂、埃が飛び散り、辺りは何も見えない状態に……。


平山が言った。


「ビルを破壊するほどの威力だな、これは」


「マジか。

っておい、後ろから竜が!」


「⁉︎」



竜が口を開けて、車を後ろからかぶりつこうとしてきた!

平山は車を急発進させ、竜の攻撃を避ける!

石上は顎をぶつけた!


ズドォォォォォォォォォン


「痛い!痛いよぉ〜〜」


「我慢しろよ!」


「ってか、この竜や根っこを使って、ツリーがいる所まで登れないか?」

「確かに……やってみる価値はある」


車は頭が地面に埋まってしまった竜の背中を登って、根っこを道路のように通る!

ツリーはその車に気づいた。



「あいつらッ、もうあんな所まで。

まさか根っこを使われるとは思わなかった!

あんなリアル充実の塊にやられてたまるか!

○ね!ゴミ共!虫けらが、俺を倒せるとでも思ってんのか!!」


彼は叫びながら、全ての目から針やボールを発射する!


針やボールは窓ガラスを破り、車のボンネットを凹ました!


「(針よりも速度が速いボール……)

危ない!運転荒いなお前!」


「いや しゃあねぇだろ!

お、ツリーとあと10mほどだ!」


平山が叫ぶ!石上は針を振り払って、前を見た!



なんと、ツリーの目から、電気のアームが伸びていたのだ!

ツリーは怒鳴る。


「俺と戦った事を後悔しろ!」



「おい避けるから掴まれ!」


平山が叫ぶが、石上は銃を構え、呟く。


「いや、そのまま直進しろ!」


「は⁉︎⁉︎正気か⁉︎」


「アームを撃ち抜く!だから直進しろ!」



バァァァァァン!バァァァァァン!


彼は2発撃った!


ズバァァァァァァァァァァァァン



電気のアームは銃弾で引き千切れて、一瞬、クリスマスツリーに隙ができた。



「(なんで電気が銃弾で千切れたんだ⁉︎)」


ツリーは一瞬驚くが、すぐさま体勢を変える。


上手く、迫り来る車を回避した!



「あ!避けられた!」

「いや、まだ行ける!」


石上は銃を撃つ!


バァァァァァン


ブシャァァァァァァァ



根っこで、ぐるぐる回りながら避けるツリーの目を、銃で撃ち抜いた!


「痛てぇぇぇぇぇ!!!!」


「今だ行け!」「おう!」


平山の車が発進する!

ツリーは頂上の星を伸ばして、こう言った。



「しつこい!」


その星から、車に向けて熱波が放たれる!


「「ゔっっ⁉︎⁉︎」」


車の一部が溶け、タイヤが凹んできた!

2人の顔には汗が滝のように流れていた。

しかし車は前に走る事をやめない!


石上が銃を向けて怒鳴る!



のはどっちだ!

お前の方がしつこいだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


銃を撃った!熱波を放つ星が砕ける!


「⁉︎」






ズバズドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン


クリスマスツリーの胴体に車が突進し、砕け散った!



バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン………





ボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロボロ……


リボンや飾りが落ちていき、木は煙や塵のように消えていく。




ドォォォォォォォン



車は地面に落下した。

中のものが散乱し、石上は割れた窓ガラスから出てくる。

平山も凹んだドアを外してでてきた。


ツリーの頭は、物騒要塞の中央にボトッと落ちる。

赤い血を垂らして、目はガン開いていた。


「………⁉︎

や、やられただと?俺が?リア充にやられた……だと?

ま、まさか…………」


彼は要塞内に散らばった飾りや木屑を見る。



「……………本当にやられたのか。

マジか、ここまで頑張ってきたのに。

リア充殲滅に、血や汗、涙、そして人生を捧げてきたというのに!

俺は、ずっと頑張ってきたのに!」


彼の体の幹が煙のように消えていった。


「………チッ、崩壊していく……体の崩壊が止まらない。

一時的な消滅とはいえ、復活までにかなりの時間が必要なんだぞ。


俺は結局、何がしたかったんだよ。

何のためにアルビノの生物兵器に入った?

何のためにここまで、リアル充実に対して憎んできた?

せっかく頑張ったのに、最後はこれかよ」


彼は少し呆れて、面倒な素振りを見せた。


「サトシ、お前の手伝いをしたのに、なんでお前だけが幸せになるんだ。

スターも、そうだ。なんで……なんで一部の人だけが幸せになるのだ!

お前の幸せは、俺の幸せだったんたよ。

だから、少しくらい分けてくれても良いじゃねぇかよぉ……」


彼は体と声を震わせ、全ての目から涙を流しながら、消滅していった。

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