第25話 リアルをかけた魂の戦い

【前回のあらすじ】

突如現れた、目が幹に大量についたクリスマスツリー。

彼は警察官たちを〝リア充〟と称し、罵り、暴言を浴びせた。

どうやら彼はリア充が嫌いらしい。

そして、石上という警察官が、鋭い根っこで腹を刺されてしまった!

警察とクリスマスツリーの戦いが、始まる!!!






日が暮れてきて、辺りが暗くなってきた。


「さらばだリアル充実者共!」


ツリーはリボンをぶん回して、パトカーなどを薙ぎ払う!

……どころか、切断した!


「(パトカーが切断された⁉︎

あのリボンは切れ味が良いらしい)」


石上はリボンに当たらないよう、姿勢を低くしてやり過ごす。

ツリーは怒鳴った。


「やり過ごそうだなんて、そんな甘ったれた考えが通用すっと思うか!」


「?………⁉︎」


石上は突然バク転する!周りの警察官は困惑した。


「え?……どうした急に……?」


「そこから逃げろ!」

「⁉︎」


ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



突然石上がいた所から、根っこが10本生えてきた!


「危ない!」


もし避ける事ができなければ、串刺しにされていただろう。


石上たちは、それぞれパトカーや瓦礫の後ろに隠れて、様子を窺う。

ツリーは言った。


「隠れてねぇで出てこいや!卑怯な集団だな!!!」


警察官たちは、全く攻撃せずに、じっとチャンスを待つ。

ツリーはまた怒鳴った。まるで子供のようだ。


「出てこいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」


ズキューーーーーーーーン!!!!!!



彼の大量の目から、大量の針が発射されたッ!


「⁉︎」


針は一瞬でパトカーに大量にザクザク刺さる!

窓も割れて、なかには刺された人もいた。


石上はパトカーの後ろで考える。


「(まずい、このままだと街に被害が出る。

どうにかしてあの木を止めなければ)」


「おい出てこいよ警察!お前らの企みなんてわかるからなぁ!

俺らを、捕まえに来たんだろぉ?

ふん、人間に捕まるほど弱くてバカじゃぁ、ないぜ」


ツリーは挑発した。根っこやリボンを常に振り回しているので、間合いを詰める事ができない。

しかし、間合いを詰める事さえできれば、なんとかなるかもしれない。

もっと良ければ、家の中へ入れる。

石上は考えた計画を他の警察官に知らせた。


「あいつの気を逸らしてほしい。

その間に、俺が木の間合いを詰める。

大丈夫か?」


「あぁ、大丈夫だ、問題無い」


警察官はOKしてくれた。石上は早速実行に移る。

自転車を用意し、バレないように、パトカーの陰を通って、ツリーに1番近い位置まで来た。



ツリーは石上に気づいてないようだ。

別の方向に向けて、針を目から飛ばし続けている。

























「(今だッ!!!!)」



ガチャン!


警察官は銃をツリーに向けて撃った!

ツリーは根っこで銃弾を弾き飛ばす。

その一瞬、全ての根っことリボンが動きを止めた!


「(今!!)」



石上は自転車を漕ぐ!!!!




石や土を蹴り飛ばし、数秒でツリーの目の前に来た!

以外とツリーは大きく、軽く3mはありそうだ。


「たぁ!」


バァァァァァン!!


ツリーの目の前で、目に向けて銃を撃つ石上!


「……⁉︎」








……少し遅かった。



ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



突然自転車を破壊して、石上の足下から太い巨大な木が生えてきた!


「ハァ⁉︎⁉︎デカい木が生えてきた⁉︎」


石上は振り落とされないよう、必死に木の幹に掴まる!

木は上昇しながらまるで蛇のように動き、石上を振り落とそうとしていた。

いつのまにか、地上が離れていき、30mほど高い位置まで来てしまった。


「くっ……………ん?なんだあれは⁉︎」


石上は空を見ると、竜の頭をした木があった。

今掴まっている木と同じほど太く、また口内は鋭く尖った木が生えていた。


「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


木は雄叫びを上げる!

風が一瞬で吹き飛ばされ、近くのビルの窓にヒビが入る!


「!!!!!!」


石上は必死に堪えるが、思わず手を離してしまった!



「⁉︎」




ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……







30mの高さから落ちる石上!


「(まずい!落ちたら間違いなく○ぬ!)」




石上は受け身の体勢を取り、構える!









ズドカァァァァァァァァァァァァァァン



地面を砕いて落ちた石上。



なんとか一命を取り留めたようだ。



「ゔっ……。

(手足が骨折して動かせない………。

呼吸をしろ……血液を動かすんだ)」



「チッ」



クリスマスツリーは全ての目を石上に向けて、睨む!


「まだお前生きてたのか。

チッ、良いなぁ。運にも恵まれていて。

お前らリア充は、滅ぶべき悪しき文化。地球人の敵!

この世は全て顔、性格、金、名誉、学歴で勝ちか負けが決まる。

お前は、全てにおいて完璧そうだな。

良いなぁ、滅んでほしいなぁ。

それはもう、残酷に……なぁ?」




「………………チッ」



石上はゆっくり顔を上げて、両方の目で、ツリーを睨む!

ツリーは呟く。


「なんだ?逆恨みか?」


石上が口を開いた。


「……俺がそんな価値のある人間に見えるか?

俺が勝ち組に……金持ちに見えるか?

顔が良い?性格が良い?頭が良い?声が良い?

俺が有名人に見えるのかよ。

こんな俺で、そんなに羨ましがるだなんて、お前は相当…世間知らずだな」



石上は、不敵な笑みを浮かべていた。

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