第24話 クリスマスツリー
【前回のあらすじ】
警察が空き家の前に到着し、兵器たちに翻弄されながらも1人、一際目立つ警察官が銃を持って、空き家の中へ突入して行った。
兵器たちは警察官たちを見下ろす。
中には、吹っ飛んだ瓦礫やパトカーの下敷きになって、耐えている警察官もいたが、ほぼ壊滅的である。
兵器たちが周囲を彷徨いていると、どこからか、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
どうやら応援らしい。
「おい、何してんだよ」
空き家の玄関から、クリスマスツリーが、根っこを足のように扱って、タコが動くように這いずりながら出てきた。
兵器たちが彼を見る。クリスマスツリーは若干怒っていた。
「お前ら、止めくらい刺せよ。
お前らの良い所なんて、リアル充実してない所ぐらいだろうなぁ?
おい
警察官たちは、ドキッとする。
クリスマスツリーは言った。
「お前ら、リアル充実してそうだなぁ。
さぞ、毎日忙しいだろうなぁ。家族もいるんだろうなぁ。恋人もいるんだろうなぁ?
良いなぁ…顔、肉体、指の1本1本まで筋が通っている。
特にそこのお前ぇ」
彼は根っこを、目の前で、鋭い目つきで銃を構えている男性警察官に向けて指した。
幹についた大量の目が、警察官を睨む。
「え、俺?」
「そうだ、お前だ。
お前、きっとモテるんだろうなぁ?
リアル充実してんだろぉ?恋人もいて、幸せだろぉ?
友もいるなぁ?家族もいるなぁ?
良いなぁ、羨ましいなぁ。
ぶっ壊したいなぁ!!!
俺はリア充が大嫌いなんだよぉ」
クリスマスツリーは勝手に因縁でもつけて話す。
その様子は狂人そのもの。
しかしどこか威圧感があり、警察官たちは何も言い返せないどころか、瞬きすらできない。
「い、いや、べ、別に……」
「ハァ?お前、本気でそんな事思ってんのかぁ?
お前…友も、恋人も、家族も、そして金、名誉、仕事もあんだろぉ?
俺は冬以外出番が無く、ずっと暇なんだよぉ。
それでいて、冬になり、仕事に出てみれば、リア充共がキャッキャキャッキャ騒いでいて、鬱陶しいんだよぉ。
なんで、リアル充実してる奴らは、残酷で、鬱陶しくて、バカで、狂ってて、クズばっかなんだよぉ。
妬ましいなぁ、良いなぁ。
俺も、残酷に人を嘲笑いたいぜぇ」
ツリーは震えながら言った。警察官たちは困惑と恐怖心で、銃が上手く持てない。
ポトッ
ツリーの目の前にいた警察官が、銃を地面に落とした!
「あ」
ツリーは無言で、彼に向かって先端が尖った根っこを伸ばす!!!
速度が尋常じゃない。視認できない!
ブシャァァァァァァァ
「………⁉︎」
気づいた頃には、根っこに警察官は腹を貫かれていた。
「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
スタッ!
血がポタポタと垂れる。彼は地面に倒れた。
「
女性警察官が彼に駆け寄ってきた!
「ァァァァァァァァァ、痛い、痛い、痛い!」
「大丈夫⁉︎石上さん⁉︎」
「おいお前ぇ!お前の恋人か!○ね!」
ツリーは次々と根っこを伸ばし、彼らを攻撃した!
そして、そのうちの1本が、女性警察官の目の前へ!
ズバァァァァァァァァァァァァン
「はっ⁉︎⁉︎⁉︎」
キャッチ!
「⁉︎」
石上が、その根っこを手を伸ばして、女性警察官の目の前で掴んだ!
「え、い、石g」
「早く!」
「えあはい!」
彼女は銃を撃って、ツリーの目に命中させた!
ブシャァァァァァァァ
「ぐわっ⁉︎⁉︎」
ツリーは根っこを目に当てて、項垂れる。
相当痛いらしい。
「大丈夫か石上!」
「石上!!」
「おい石上大丈夫か!!!」
石上の近くには、たくさんの警察官が駆け寄る。
ツリーは1人、呆然とする兵器たちの方へ行った。
そしてこう呟く。
「なぜ俺を助けなかった?なぜ庇わなかった?おい。
お前らはあくまでもボディガード。俺を守るために動け。
じゃないとお前らなんぞ、存在意義の無いただの虫だ。
いい加減、仕事をしろ」
ツリーは自身にかかっているリボンを伸ばすと、一瞬で兵器を切り刻んだ!
ズバァァァァァァァァァァァァン
ズドォォォォォォォォォン
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………
兵器たちの残骸が、要塞内に転がる。
陰から見守ってた雪だるまが怯えた。
ツリーは後ろを振り向き、警察官たちにこう言った。
「これが
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