第15話 アルビノの生物兵器、渡米する
【前回のあらすじ】
黒スーツの男たちに、イスが攫われた事を知ったエリザベス。
顔色も表情も態度もほぼ一切変えずに冷静な判断を下すその姿は恐怖の塊そのもの!
そして、彼はイス奪還作戦を結構!
箱人間、本の虫、ムムムさんをアメリカへ派遣するのだった。
晴れた日、ヨーワーインの貿易船に乗って、潮風を感じる2人。
カモメが鳴きながら空を飛んでいた。
箱人間は船の甲板に寝転がる。
「ああ気持ち良い。至福の時間だ」
しかしその時間はムムムさんに見られた事で崩れる。
箱人間は気まずそうに起き上がった。
「(良いところなのに来るなよ……)」
「ムムム(何してんだこいつ)」
そして、その下の部屋で、本の虫は本を読んでいた。
が、突然怒鳴り始めた。
「おいうるせーな!静かにしろ!
ってかテメェらも本読めタコ!」
「え⁉︎」「ム⁉︎」
「箱!ムムムの奴!
お前ら、読書しろ!早く!読書しないなら○す」
「(やっぱだるいわこいつ)」
「ムムムームムーム!(アメリカが見えてきたよ!)」
前方を見ると、アメリカの港が見えて来た。
3人はこっそりと船を抜け出して、アメリカの街へ出る。
すぐそこが太平洋で、ビルが立ち並ぶ港街だ。
木々がちょうど良く並んでいて、美しい街だ。
箱人間は本の虫に聞いた。
「すげぇビルあるな」
「そうだな」
本の虫は興味無さそうに歩き読みする。
ルールもマナーもなってない奴だ。
「ムームームー(こいつらふざけすぎだろ)」
ムムムさんは2人に言葉が通じないのを良い事に、嫌味を言った。
本の虫はちょうど通りかかった人に尋ねる。
「Did you see the wood-carved chair? It's a small chair, and he's an important guy. I mean, are you reading a book?
(木彫りのイスを見ませんでしたか?小さいイスで、大切な奴なんです。ってかお前本読んでる?)」
「No, I haven't seen it. I mean, are you reading a book............, I haven't read it recently. I'm sorry I couldn't help you.
(いや、見てないよ。ってかなんだよ、本読んでるかって…………、最近は読んでないね。ごめんね役に立てなくて)」
通行人は愛想笑いしながら、少し小走りで通ろうとした時!
「It's really useless, you. Why is that? It's because you're not reading. What do you think reading is? What's fun? What's fun without reading a book?
(本当に役に立たねぇな、お前。それはなぜかって?お前が読書してないからだよ。読書をなんだと思っている。何が楽しい?本を読まないで何が楽しい?)」
本の虫は拳を握り締め、頭につけている本が紫から赤く染まった。
通行人は一瞬怯える。
「Oh, it's a discolored costume! That's amazing! Ahahaha
(へ、変色する着ぐるみだね!すごいね!あはははは)」
ズドォォォォォォォォォン
本の虫は地面を殴った。
ものすごい音が響いた。通行人全員が、彼の方を向く。
「Oh, I'm sorry! I'll read a book! I'm going to buy it now! Anyway, will you come too?
(え、ご、ごめん!本読むよ!これから買いに行くよ!ど、どうせなら君も来る?)」
ブシャァァァァァァァ
本の虫は目の前の通行人を、青く染まる拳で殴った!
「
本の虫は静かに呟いた。
その通り、通行人は3冊の本になってしまい、ボトボトと地面に落ちた。
周りの通行人が絶叫する!
「貴様らもこうなりたくなければ、今すぐ本を読め!!」
本の虫は民衆に向かって叫んだ!箱人間が彼の顔をぶん殴る!
「何してんだよっ!お前ぇ!」
「何を…って、読書の素晴らしさを布教しているのだよ」
「いやダメだろこんなん!」
「お前、地味に人間臭いところあるな。我々はアルビノの生物兵器だぞ」
「もうちょっと平和に布教しろ!」
「なんだよ……友達だと思ってたのに」
「…………………」
「ムムム!(イスは!どうするの!)」
ムムムさんと箱人間は必死に呼びかける!
しかし本の虫の怒りは一向に治らない!
昔からこんな性格だったが、さすがに異国の地でやるのは問題がある。
その時、危険を察知したのか、陰に隠れていた黒い車がアクセルを踏んで逃走した!
「おい待て外道野郎!!!」
500mほど離れていた車に一瞬で追いつき、また青い拳で殴る本の虫。
車は一部が本に変わりながら吹っ飛び、うまくバランスが合わずに転倒してしまった。
ズドォン
「おい待て本の虫!」
その車の中から出て来たのは、イスだった。
「「え?」」「ム?」
「……え?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます