第12話 箱人間とムムムさん

【前回のあらすじ】

いつのまにか社長の大切なものがライバル社[ツーヨーイン]に盗まれてしまった!

それを取り戻すために、高橋はムムムさんを派遣するのだった!




「ほう、ムムムさんを派遣する?」


「はい。大丈夫ですかね……?」


高橋はエリザベスに電話していた。

エリザベスは5秒ほど考え続け、ついに言葉を発した。

ちょうどその時、高橋はコーヒーを飲んでリラックスしていたため、聞いていなかった。


「すいませんもう一度……」


「ハァ?」

「本当にっ、大変申し訳ございませんっ!」


「チッ、で、ムムムさん1人だけじゃ不安すぎる。

箱人間を使うか。奴ならなんとかなんだろ」


「ありがとうございます。

………え、箱人間って、あのメイドの?」


「いや、四つん這いの箱から人間の手足が生えたような奴だ。

顔はAmaz○nで、表情筋が退化してるからずっとその表情だし。

めちゃくちゃ気持ち悪いぞ?」


「いえいえ、ありがたく思います!ではこれで失礼します!」


ガチャッ!


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




次の日の夜、ムムムさんと箱人間は、新宿区のどこかにある、[ツーヨーイン]のビルの前にいた。

そこまで大きくもないビルで、更にもう終業時間は過ぎているため、人がいない。

盗まれたものを取り返すには、絶好のチャンスだ。

しかも、周辺は人通りが少なく、店もほとんど閉まっているので、人間に見つかる危険は無い。

残念ながら、ドアは自動ドアなので、簡単に入れそうもない。


「(箱人間とあんま関わった事無いから気まずっ)」


ムムムさんは心の中でそう思っていた。箱人間も……。


「(ムムムさんと話した事ねぇから気まずっ。

何百年も一緒にいたのに、なんかな)」


箱人間が思い切って言った。


「あ、あのさっ、入るにはどうすりゃ良いと思う?」


「ムムム!ムムム!ムムッ!」


「ハァ?

(あそうだこいつ、喋れねぇんだった)」


「ムムムムムム!」

「(ダメだ、わからねぇ!)」


ムムムさんはピューーーっとアニメのような音を出しながらビルの入り口に飛んで行き、口から彼と同じ大きさの球を吐き出した。


「え」


ジャキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン


その球は入り口の自動ドアを粉砕したっ!


「ハァァァァァァァァァ⁉︎⁉︎」


「ムムムッ!(これで入れるね!)」


「おっめ!何してんだぁぁぁァァァァァァァァァ!

自動ドアってもんはなぁ、だいたい壊された時、本部に連絡されんだよっ!

俺らの存在がバレっだろーがボケぇ!」


「ムムーム?(そんな怒らなくても……君なら大丈夫でしょ?)」


「(なんて言ってんだこいつ……)」


仕方なく、2人はビルの中へ入る事にした。



中は中小企業らしく(偏見)、机の上にパソコンや紙、更には紙や紙、なんと紙まで置いてあった。


「(紙だらけだな)」


箱人間は懐中電灯を片手に、机の上や中を探していたが、やがて気づいた。


「俺らは、社長の大切なものを取り戻すために来たが、その大切なものってなんだよ」


「ムムームー!!(友情!!)」


「すまん何言ってっかわからん」


そもそもなんで盗んだんだろうか……?この会社の人は。


「(なんか話した事無いから緊張したが、なんかもうどうでも良くなってきた)」


結局何しに来たのか2人ともわからないまま、帰る事になった。













その様子を、監視カメラが捉えていた。

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