第7話 フグの煎餅
【前回のあらすじ】
冷し抹茶をペンギンに渡した事で、なんとか助かった高橋。
そのペンギンが、どうやらアルビノの生物兵器そのものらしい。
そして、高橋は、ペンギンに連れられて、箱人間メイド2人がいる部屋に入ったのだった!
「箱人間メイド!」
高橋の目の前で、ペンギンが叫ぶ!!!
メイド2人の動きが止まり、こちらを向いた。
「ハァ、ハァ……ど、どうされました?
………ハァ、ハァ、エリザベス様」
メイド長は息切れしながらも、ペンギンに聞いた。
どうやらこのペンギンこそが、社長が言っていたエリザベスらしい。
「………この人間の侵入を許す」
エリザベスが静かに言う。メイド2人は驚愕した。
「「え?」」
「聞こえなかったか?この人間の侵入を許す!
メイド長は応接室でこの人間の用件を聞くから、コップと……フグの
スネ毛の方は、アルビノの生物兵器に所属している奴ら全員にこの事を報告しろ」
「……しょ、承知しました」
メイド長はナイフをしまうと、服についた埃を払って、高橋に近づいてきた。
「え⁉︎」
「この度は、大変申し訳ございませんでした。
応接室へご案内いたします」
「あはいわかりました……いえいえ………」
「人間、このメイドについて行け。俺はちょっと顔を洗ってくる」
「えあはいわかりました…お構いなく………」
高橋は、去っていくエリザベスの背中を見ながら、メイド長について行った。
応接室は、さきほど箱人間メイドに案内された部屋だったようだ。
玄関近くなので、太陽光が室内に差す。明るさからして、もう3時過ぎぐらいだろうか。
「しばらくお待ちください」
メイド長は応接室を出ると、廊下を走っていった。コップとフグの煎餅を取りに行くのだろう。
「(フグの煎餅って、なんだよ……)」
高橋はそう考えていた。まぁ無理もない。
フグの煎餅だなんて、売っている所を見た事が無い。
あったとしても、高くてとてもじゃないが買える品ではないだろう。
高橋は少し、その煎餅を食べるのを楽しみにしていた。
そして、しばらくして、箱人間メイドは戻ってきた。
「今主人が戻って来ますので、しばらくお待ちください。
あ、フグの煎餅はあまり食べない方が良いですよ。
主人は
「え、あぁ、はい。
(マジかよ……食べたかった……フグの煎餅)
……あ、す、すいません……」
「はい?」
高橋は箱人間メイドに、フグの煎餅はどこで売っていたのか聞いた。
箱人間メイドは答える。
「いえ、売っておりません。
これはここで作られたお菓子でございます」
「え?……マジすか」
「はい」
「フグを煎餅にする……。
すごい技術とメンタルですね」
「メンタル?」
高橋は、高級魚のフグを煎餅にするという発想力と、技術力、そしてそのメンタルを褒めたつもりだった。
しかし箱人間メイドは、解釈を間違えて答えた。
「いえいえ、昔から魚系は
「魚系?」
「はい。この煎餅の材料のフグは、うちの手下でございます」
「は?」
「はい?……ですから……手下のフグですよ………?」
「え?」
彼の思考は停止してしまった。
そこへ、エリザベスが入ってきた。高橋は我に帰る!
「で、用件は?何?」
エリザベスは箱人間メイドを退けて、イスに座った。
そして、目の前のフグの煎餅を頬張った。
「あ、はいすいません。用件はですね…………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます