第2話 謎の空き家
【前回のあらすじ】
アルビノの生物兵器と呼ばれる謎の集団を探す事になってしまった会社員の高橋。
マックの誘いに釣られたという子供のような理由で浅草の捜索を開始したのだった。
彼、高橋が浅草に来るのは、中学生の校外学習の時以来だ。
今年でもう37歳の独身。長い間、浅草に来てないものだ。
「……
平日なのにも関わらず、観光客でいっぱいの雷門も、中学ぶりに見た。
高橋はボトルの蓋を開けて、水を飲む。
「暑い……今日の気温は32℃か。全く、社長も無理言うよ。
マックに誘われてしまったが、引き受けたからには仕方ない」
彼は一応、スマホでアルビノの生物兵器と調べた。
やはり検索しても出なかった。
「(本当にいんのかよ、アルビノの生物兵器)」
どうやら社長が言うには、アルビノの生物兵器は浅草駅の近くにある空き家に住んでいるようだ。
特に空き家らしきものは無い。
「(そこまで大きい駅ではないが、観光地だからか、人が多いな)」
タオルで汗を拭きながら、高橋は探す。
内心ではあるわけないと思いながらも、受け入れてしまった事に後悔しながらも、彼は探す。
やはり空き家はなかった。そもそもこんな観光地周辺に空き家なんてものがあるとは思えない。
「チッ……俺がこんだけ苦労してる間も、社長はクーラーがついた部屋で休んでいるんだろうな」
時計を見ると、すっかり正午になっていた。昼飯を食べていない、と考えた高橋は、店を探す。
食べ歩きも良いが、疲れたので、どこかで座りたいのだ。
そもそも観光に来たわけでもないから、食べ歩きというのもあれだろう。
「
辺りを見渡してみると、[並木藪蕎麦]という店を見つけた。
高橋は迷う事なくその店に入る。そして天ざるそばを注文した。
クーラーが効いていて涼しい。居心地がとても良い。
しばらく経過して、天ざるそばが運ばれてきた。
高橋はつゆに蕎麦をつけて食べる。
「(……少ししょっぱい。醤油の香りが強いな。しかし美味い。
……天ぷらも美味しい。1800円もするが、買った
あまりの美味しさのあまり、すぐに完食した彼は、店を出て、再びアルビノの生物兵器捜索に戻る。
しかしやはり無い。どこにも空き家なんてものは無い。
高橋の額は汗でびしょ濡れだった。
社長が言ったことだし、元からあまり信用してなかったが、ここまで自分でも粘るとは思ってなかつた。
だが、さすがにそろそろ疲れてきた。
「………帰るか」
高橋は浅草に来る時に使用した車の元へ戻るため、有料駐車場へ向かう。
ボトルの蓋を開けて、水を飲みながら、スマホを見てみる。
もうすでに1時間も経過していた。
「早く帰ろう」
高橋がそう思った直後、何やら視界に違和感を覚えた。
すし?………マグロのすしが歩いている?
ネタとシャリが重なった姿はいかにもすしだ。
なぜ?…とゆうか、すしはまず歩く事が可能なのか?
短いバッグをネタにかけ、目のついたすしは、人混みの中を、何1つ嫌な顔せず進む。
……………なんとなく、探しているものな気がした。
ついて行ってみようか?
「(社長が言ってた……アルビノの生物兵器には、白い鳥の他にも、すしやミミズがいるようだが……もしや、あいつか?)」
すしの後をこっそり追いかける事にした高橋は、とうとう人気のない路地裏へ来てしまった。
誰もいない、もうすでに閉店してそうな店や、怪しい店が立ち並ぶこの路地裏は、居心地が悪い。
「(どこまで行くんだあのすしは)」
スマホを見ると、社長から通知がきていた。
すしの後を追いながら、高橋は返信する。
「今、怪しい、奴を、追って、います」
ピコン
「そうか、もしかするとアルビノの生物兵器かもネ!😄よろしく頼んだ!✌️」
相変わらずのおじさん構文である。別に悪いわけではないのだが。
かく言う高橋も、無意識におじさん構文になっているかもしれないと思い、冷や汗をかいた。
そしてそのうちに、すしは全く待たずに、どんどん進む。
高橋が追いかけた先に、ビルとビルに挟まれた、謎の家があった。
かなり古そうだ。木造建築の
すしは、何の躊躇いもなく家に入ると、突然姿を消した。
「⁉︎……」
高橋はスマホを見る。
……午後1時28分。いつもなら仕事している時間だ。
目の前でとんでもない事が起きて、少し困惑しているところに、さらに困惑するようなものを見つけた。
この家の近くに空き地のようなものがあるのだが、
そこに紫の球体に、目?が飛び出て、さらに腕の部分?がハエ叩きのようなものがついたロボットを見つけた。
下の部分にタイヤがついている。
「(どう言い表せば良いかわからない。国語の勉強をしなければ……)」
その球体は寝ているようだ。
アルビノの生物兵器とは、こいつの事か?
いやいや、白くないだろう。アルビノと言うくらいなら、白いはずだ。
とにかく、謎の空き家を見つける事は成功した。
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