第36話、神との決戦

「よもや、我が天軍てんぐんを掌握していたとはな。だがその程度ていどで俺を超えたとは思っていないだろうな?」

「……思っていないさ。それでもお前をたおそうと思っている」

「やれるならばやってみるが良い!矮小わいしょうなる者どもよ!」

 神が全能ぜんのうたる力の全てを解放かいほうした。瞬間、神域全土が大きく揺れ動くほどの強大な圧が働き僕達へとし掛かった。それは、まさしく途方もなく巨大な掌によって押さえつけられるような圧倒的な力だった。

 だが、僕が黙ってそれにやられるほど無策むさくではない。その圧倒的な力に対し、僕は天使達に全力で壁を張って貰った。天使達による霊的れいてきな防御で、僕達には一切の圧力が届かない。

 けど、そう上手うまくはいかないだろう。神が次の手を打ってきた。

「なら、これならばどうだ?」

 遥か彼方かなたから、地響きと共に何かがるのを感じた。神は既に空高くへと飛翔して避難しているのが理解出来る。

 これは―――

大波おおなみが来る!空をべる人は全員を空へ!」

「「かりましたっ‼」」

 金髪の女の子とジャージ姿の女の子の二人が前に出た。そして、二人はそれぞれの異能を駆使して僕達を空へ飛ばす。

 見た所、金髪の女の子は重力操作の。そしてジャージ姿の女の子は電磁力操作により空を飛んでいるようだ。身体が空にく感覚には慣れないけど、二人がきちんと異能を制御せいぎょしてくれているのは知っているので安心してまかせる。

 それよりも、次が来る。

「では、これならどうだ?」

 神が手をぐるりと回す。すると、風が渦巻き巨大な竜巻たつまきが発生する。それだけではもちろんない。幾千幾万と落雷らくらいが発生して僕達へ一斉に襲い来る。

 もちろん、僕も次の手を打つ。

「天候操作のたぐいだ!中和出来る異能者いのうしゃは前へ!」

「はいっ‼」

 一人の少年が前に出た。少年が手を前にかざすと、風がゆるやかに霧散むさんしていき落雷が落ち着いていく。少年も天候てんこうに干渉する異能を持っているようだ。

 だが、まだだ。まだわっていない。

 天気が晴れた後には、空から次々と硫黄いおうと火が降り注いでくる。神話に語られる退廃した街をほろぼした神の怒り。

 だが、それも僕の仲間達が居れば何とかなる。

「硫黄と火の雨だ!全力でかべを!」

「はいは~いっ」

「うすっ」

 少女と少年、二人の異能により見えない壁が上空に展開てんかいされる。これは、真空と風による多重積層型の壁か。

 風と真空による多重にほどこされた壁により、硫黄と火のあめは完全に防がれる。

 雨が止んだ後、其処には泰然たいぜんと空に立つ神と僕達異能者の連合軍の姿が。どちらも未だに無傷むきずのままだ。

 だが、それでも僕達異能者が常に全力ぜんりょくで対処に当たっているのに対して神はまだ余裕を見せている。

「どうした?もうおしまいか?」

「まだまだ、これからさ」

「なら、せてみろ。でなければ絶望ぜつぼうをくれてやる」

 そう言って、神は泰然とかまえる。

 そろそろだ。僕達もそろそろ行動を開始かいししよう。

 反撃はんげきの開始だ。

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