第31話、異能バトルロイヤルの終幕

 僕が衣服を着替きがえ終わると、フユさんが部屋の中にあらわれた。それにしても自由だなこの幽霊は?いや、人工島のシステムにみ込まれている幽霊を自由と表現するのもどうかとは思うけれど。それにしても、かなり自由度じゆうどが高いのは事実だろう。

 それも、剛三さんがフユさんのためにシステムを組んだからだろうけど。

 まあ、いか……

 それはまた別の話だろうし。それに、どうやらフユさんは何か僕に用事ようじがあるみたいだし。

わったかしら?そろそろ始めるわよ」

「始める?」

「ええ、異能いのうバトルロイヤルの終了宣言と勝利者宣言よ」

 そう言った瞬間、僕達は突如途轍もなく広い空間に転送てんそうされた。これは、空間転移の技術だろうか?ともかく、とんでもなく広い空間だ。

 まさか、人工島内にこんな空間があったとは……

 よく見れば、其処には大勢の人達が所狭ところせましと立っている。どうやらこの人達全てが異能者のようだ。全員、それぞれ特異とくいな能力を宿やどしているのだろう。

 全員がこの異能バトルロイヤルに参戦さんせんしていた人物だったのだろうと思う。きっとそれぞれにそれぞれの想いがあって参戦していたのだろう。

 けど、僕はった。異能バトルロイヤルを終わらせたんだ。

 僕のとなりにはアキの姿が。どうやら一緒に転移てんいしてきたらしい。

 これから、異能バトルロイヤルの終了宣言と勝利者宣言が始まるのだろう。

『えー、これから異能いのうバトルロイヤルの終了と勝利者の宣言せんげんをいたします。では、勝利者の御二人は壇上だんじょうへおあがり下さい』

 言われて、僕とアキは壇上へとがってゆく。広場に居る異能者達のざわめきが聞こえてくる。驚愕半分興味半分といった所か。ともかく、僕達は異能バトルロイヤルを終わらせたのだろう。

 当初の目的もくてきは達せた。だけど、まだわりではない。これはむしろ始まりだ。全てが此処から始まるのだろう。

 異能バトルロイヤルはすべてこのためにあった。剛三さんとフユさんの想いを、無念を必ず晴らすとちかった。

 そして、アキの想いを玩弄がんろうした神には必ず報いをけさせると誓った。

 そう、まだ終わりじゃない。全ての想いを知った僕には、まだ終わらせる訳にはいかないから。だから、これから始まるんだ。全てを終わらせる為に……

 だから、此処ここで全てを―――

『では、勝利者である神田ユウキさん。勝利者として宣言を』

「ご紹介にあずかりました。神田ユウキです。非常に突然とつぜんではありますが、この異能バトルロイヤルの全貌と詳細をこれからかたらせて貰いたいと思います。どうか聞いていただければ幸いと思います―――」

 そうして、僕は語り始めた。異能バトルロイヤルの全貌を。その真実しんじつを。

 そして、何故異能者がまれたのか。異能の正体しょうたい。そして、これから戦うべき全ての元凶たる神の存在を……

 すべて―――

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