第28話、試されるアイ
薄っすらと、アキの口元が
「ぐ、ぶっ!?」
僕が
アキの両肩を手で
だが、それでも
そのまま、僕はアキを引き寄せて抱き締める。アキが
そうして、僕は自身の
そのまま、僕の意識は急速にアキの中へと……
・・・ ・・・ ・・・
真っ暗だった。何処までも真っ暗な、死に
その世界の中央に、アキは一人うずくまっていた。
僕は、一歩彼女へ
「アキ」
「……やだ、これ以上私を見ないで。こんな、
ぎゅっと膝を
そんな彼女を、ぎゅっと抱き締めて放さない。
「醜くなんてないよ。アキは、ずっと
「…………けど、でも」
「大丈夫。僕は
僕がそう言うと、少しだけ落ち着いたのかアキの震えが
けど、相変わらずアキの心は
「……貴方にだけは、この
「ああ、確かにこんな世界をずっと見ていたら
一面真っ暗な、死に
木々はやせ細り、
何処もかしこも
きっと、アキはこんな世界をずっと見て生きてきたんだろう。けど―――
けど、それでも―――
「ユウキには、こんな世界を見られたくなかった。貴方にだけは……」
「けど、それでも世界は
そう言って、僕は周囲に視線を向けた。瞬間、景色は一変した。
木々は青々と生い
そう、世界はこんなにも美しい。アキが、呆然とその景色に
「……………………」
「世界はこんなにも綺麗だ。世界には確かに死で
アキは首を横に振る。アキの目は、涙で
色とりどりの、輝く世界に目を輝かせている。
「帰ろう、アキ。世界はこんなにも
「……うん」
アキが、抱き締める僕の腕にそっと
・・・ ・・・ ・・・
意識が現実世界へと引き戻された。その瞬間、僕はその場に
……ああ、そう言えば僕はさっき重傷を負ったんだっけ?
そう思い、僕はそのまま意識を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます