第24話、星海船アメノトリフネ

 時刻は夕方の17:30———

 僕達は秀の案内あんないでアメノトリフネ中央の建物たてものから地下へと入っていった。其処は地下へ地下へと階段が続いている。どうやら此処ここからアメノトリフネの中枢へと向かうようだ。

 そして、階段を下りた先には更に迷路めいろのように複雑に入り組んだ通路が。僕達は秀の案内で通路をけてゆく。

星海船せいかいせん、アメノトリフネ———」

「?」

「アメノトリフネは元々、剛三さんが神との決戦けっせんの為に造った最終兵器だ。現行の人類が保有する最新鋭さいしんえいの科学技術やオカルト技術、そして人類外じんるいがいの技術すら利用して造られたものだ。その技術力テクノロジーは俺が知る範囲内でも数百年先は行くだろう」

 その言葉に、僕は納得すると同時に驚愕きょうがくした。かなりの技術力があるとは理解していた。けど、流石に其処ここまでだとは思っていなかった。

 もし、それが本当ならばこの人工島アメノトリフネそのものが現代の地球上において他を圧倒するオーバーテクノロジーの結晶けっしょうだろう。

 恐るべき超技術だ。

 だけど、恐らくはそれだけではないだろう。そう、僕はふと思った。これだけの超常の船だ。まだ何か隠された技術や機能があるにちがいない。

 そう考えていると、僕達はある部屋へやの前に着いた。その部屋の扉には、管制制御室と札が掛けられている。どうやらこの部屋がアメノトリフネの中枢部ちゅうすうぶらしい。僕達は覚悟を決めて部屋へと入っていった。

 愕然、僕達は思わず目を見張った。其処は壁面に並んだ無数のモニターと、操作パネルが並んだ部屋だった。そして、その部屋の中央には培養液ばいようえきに巨大な翡翠色の結晶体が浮かんだ円柱状の水槽すいそうがあった。

 そして―――

「ようこそ、アメノトリフネ管制制御室へ―――私は貴方達を歓迎かんげいしましょう」

 其処に突然現れるように半透明な女性が現れた。彼女は、何処かアキの面影おもかげを感じさせる顔立ちをしておりとてもおだやかな笑顔をしていた。

 というより、この女性はもしかして……

「久しぶりですね、フユさん」

「おい、秀。フユさんって確か既にくなっている筈じゃ?」

 そう、支上フユ。亡くなったアキの母親だ。それがどうしてこんな場所に?

 しかも、半透明な姿で居るんだ?これじゃあどう見ても……

はじめまして、ユウキ君。私がアキのおかあさんです。まあ、とは言っても科学技術とオカルト技術によりこの船に留められた幽霊ゆうれいのようなものだけどね?」

「……………………」

 呆然、流石に僕達はおどろいた。まさか、此処でアキの亡くなった筈の母親にうとは思っていなかったからだ。

 そんな僕達を他所よそに、アキの母親である筈のフユさんはにこにこと僕をじっと見ていた。えっと?

「アキの事を今後ともよろしくね?アキの彼氏かれしさん?」

「え?あ、はい……」

 何ともつかめないヒトだった?ヒトというより、幽霊か?

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