第22話、ルーシェ先生の弟子?

 車にられる事、十数分。第三星海高等学校校門前に着いた。今日は平日だからまだ学校は授業中じゅぎょうちゅうの筈だ。そんな中、校門前には一人のジャージ姿の体育教師(?)が一人の金髪の男子生徒と一緒にっていた。

 男子生徒の方はからない。けど、教師きょうしの方は先程話題に上がっていたのでもちろんっている。彼がルーシェ先生だ。

 車をりた僕達に、ルーシェ先生は薄くみを浮かべながら近づいてくる。

「……エルの奴から話はいている。お前が神田ユウキだな?」

「あ、はい。僕が神田ユウキです、ルーシェ先生」

「俺の事はルーシーとでもぶが良い。割とにいっているのだよ、この名前」

「は、はぁ……」

 ルーシェ先生。もといルーシー先生はどうやら生徒せいとからつけられたあだ名を大層気に入っている様子ようすだった。けど、それにしてもやっぱり改めて見てもジャージ姿が似合わないよな?どう見ても。

 見た目は金髪に青いの好青年だ。だけど、ふたを開けて見てみれば実際はかなりの熱血漢で体育会系なノリの教師きょうしなのである。

「ふむ、その様子ではかみにずいぶんとこってりやられたみたいだな?ははは、だが気にする事はないさ!一敗地にまみれたから何だと言うのだ!我らにはまだ諦めぬ不屈の闘志とうしが残っているではないか!そう、我らはまだ生きているのだ!故にまだ機は幾らでもある筈だ!ちがうかっ‼」

「は、はぁ……」

 何か、滅茶苦茶熱く語り出した。物凄く熱い。いや、暑苦あつくるしい。

 その様子には秋山さんも秀も、そしてだまって見ていた金髪の男子生徒も頭をかかえて見ていた。

 そして、え切れなくなったのか金髪の男子生徒が何処どこから取り出したのかハリセンを手に持ちりかぶった。そして―――

 すぱあんっ‼ととても良い音がり響きルーシー先生の頭がはたかれた。

「ルーシー先生、そんな話をするために此処ここに来た訳ではないでしょう?」

「ん?おお、そうだったな!はは、すまんすまん。でだ、肝心かんじんのコイツだが俺の弟子であるアーリカ君だ。君達のやくに立つと思うかられていくが良い」

「よろしくおねがいします、アーリカです。一応言っておくと、僕も異能者で物体を手元に引き寄せたり遠くに送りつけたりする転移系てんいけいの異能を保持しています」

「えっと、よろしくお願いします?」

「はい、よろしくです。ユウキ君」

 そして、僕とアーリカ君は固く握手あくしゅを交わした。それを何処か満足まんぞくそうな笑みで頷きながら見ていたルーシー先生は唐突にきびすを返して僕達に背を向けた。

「では、俺も此処で失礼しつれいするよ!」

「はい?ルーシー先生も一緒にないんですか?」

「うむ、俺も一応は在住体育教師なものでな。色々といそがしい身なのだよ!では!」

 そう言って、ルーシー先生はっていった。何処までも暑苦しいヒトだった。

 結局何だったんだろうか?このヒトは?

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