第9話 本屋にて
その後、二人は手を繋いだまま二階に上がり本屋のエリアの入口へ辿り着いた。そして、
「それで悠斗くん、最初はどのコーナーを見て周る? 悠斗くんの事だからやっぱりライトノベルのコーナーにする?」
美羽は悠斗に対してそんな事を聞いて来たので。
「まあ確かに、俺はラノベの棚を見て周りたいけど、ただ、美羽」
「ん?なに悠斗くん?」
美羽がそう聞き返して来たので。
「えっと、俺たちはいつまで手を繋いでるんだ? さすがに本屋のコーナーではぐれる心配は無いと思うんだけど」
悠斗が遠慮がちにそう言うと。
「えっ、あっ、うん、そうだよね」
美羽は名残惜しそうにしつつも、そう言って手を放した。そして、
「それじゃあ悠斗くん、早速だけど本を見て周ろう」
美羽がそう言ったので。
「ああ、そうだな」
悠斗はそう返事をして、二人はライトノベルのコーナーへと向かった。
そして、二人はライトノベルのコーナーへ辿り着くと、悠斗がラノベの表紙を見て周り、美羽はそんな悠斗の後を黙ってついて来た。
そして、悠斗が一通りラノベのタイトルを見終えると。
「それで悠斗くん、何か買いたい本はあったの?」
隣に居る悠斗の事を見上げながらそんな事を聞いて来たので。
「うーん、そうだな、今集めているラノベの新刊はまだ出てないし、特に新しく手を出したいタイトルも無かったから、今日は何も買わなくていいかもな」
悠斗はそう答えると。
「そっか、折角来たのに残念だね」
美羽はそう言ったので。
「ああ、そうだな……何ならお前に何かお勧めのラノベでも教えてやろうか?」
少し考えて悠斗は美羽に向けてそんな事を言ったが。
「うーん、それは別に良いよ、悠斗くんが色々なアニメを教えてくれたお陰でライトノベルの作品も結構好きになれたけど、小説を読み切る自信は私にはないから……あっ、そうだ」
そう言うと、美羽は一度言葉を切って、
「それなら悠斗くん、代わりに私にお勧めのアニメを教えて欲しいな」
悠斗の方を見てそんな事を言ったので。
「それは別に良いけど、前にお勧めしたアニメは観たのか?」
悠斗がそう質問をすると。
「うん、大体見終えたよ、悠斗くんがお勧めするだけあってどれも面白かったよ」
美羽は笑顔を浮かべてそう言ったので。
「そうか、そう言って貰えるとお勧めして良かったと思えるよ、でも、そうだな、今お勧めのアニメを教えてくれと言われても直ぐには思いつかないな……よし!!」
そう言うと、悠斗は美羽の方を見て、
「なあ美羽、もし何も予定が無かったら明日俺の部屋に来いよ」
「ふえっ!?」
いきなり悠斗にそんな事を言われ、美羽はそんな情けない声を出した。
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