第1章 2人で買い物

第6話 買い物の誘い

「カリカリカリカリ……」


 悠斗が美羽の相談に乗った次の日の朝、悠斗は昨日と同じく勉強机の前にある椅子に座り、夏休みの課題をしていたのだが。


「……何か集中できないな」


 シャーペンの手を止めて悠斗はそう呟いた。


 悠斗は学業の成績はかなりよく、勉強は好きという訳では無いが特に苦にも思わないタイプなので、一度勉強を始めたら悠斗は一時間くらいは目の前の課題に集中できるのだが。


 今日は妙に気が散って、悠斗は中々目の前の課題に集中できないでいた。ただ、悠斗はその原因には心当たりがあり。


「美羽が好きな奴って一体誰なんだ?」


 悠斗はそう呟いた、家が隣通しで幼稚園の頃から今までずっと美羽と同じ時間を過ごしていた悠斗にもその相手が誰なのかは全く分からずにいた。


 何故なら美羽は幼い頃からかなりの人見知りで、悠斗以外には仲のいい男友達は居なかったし。


 美羽が他の男子と仲良くしている姿はおろか、男子とちゃんと話をしている様子すら悠斗は観たことが無かったからだ。そして、


「もしかして、美羽は女の人が好きになったのか?」


 遂にはそんなとんでもない発想をしそうになりつつも、さすがにそれは無いだろうと思い、目の前の課題をそっちのけで頭を悩ませていると。


「……ピロリン」


「……ん?」


 ベッドの上に置いていた悠斗のスマホにチェインのメッセージが届いた音がしたので、悠斗は席から立ち上がるとベッドの方へ歩いて行きスマホの画面を見た。すると、


(おはよう悠斗くん、今家に居るの?)


 美羽からそんなチェインのメッセージが来ていたので、


(ああ、居るぞ)


 悠斗はそう答えた。そして、美羽がこんな事を聞いて来るという事は美羽からはまた恋愛相談に乗って欲しいと頼まれるかもしれないと、悠斗がそう思っていると。


(それなら悠斗くん、もし良かったら今日私と一緒に買い物に行かない?)


「……え?」


 そんなメッセージが送られてくるとは思っておらず、悠斗は思わずそう呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る