第4話 恋愛相談

 その後、美羽と一緒に床に座った悠斗は彼女が持って来てくれたクッキーを一つ食べてから冷たい麦茶を飲んだ。


 そして、悠斗は一息つくと。


「それで美羽、大切な話というのは一体なんなんだ?」


 悠斗が美羽に対してそう質問をすると。


「えっ、あっ、えっと、それはね……」


 美羽はそう言うと、何故か顔を赤らめて下を向いた。


 そして、そんな様子を見て悠斗は、


(えっ、なんだ、この雰囲気は……もしかして本当に俺に告白する気なのか?)


 悠斗はそう思うと、急に心臓がドクドクと早く鼓動しているのを感じた。


 でも、それは仕方が無い事で悠斗は昔から美羽の事をとても可愛いと思っていたし、もし美羽の彼氏になれたらこれ以上無いくらい幸せだと悠斗はずっとそう思っていたのだが。


 自分なんかは美羽には釣り合わないなと思っていたので、こんな事はあり得ないとずっと思っていたのだが、いざ告白されるかもしれないと思うと悠斗は内心とても落ち着かないでいた。そして、


「えっと、私が悠斗くんに伝えたい事は……」


「……伝えない事は、なんだ?」


 悠斗が改めてそう聞くと、美羽は真っ赤になっていた顔を上げて、しっかりとした眼差しで悠斗の事を見て来た。そして、


「実は、悠斗くんには私の恋愛相談に乗って欲しいの!!」


「……恋愛相談?」


 唐突にそんな予想外の事を言われて、悠斗は一瞬美羽が何を言っているのか分からなかったが。


 数秒経って、美羽が言った言葉の意味を悠斗が正しく理解すると。


(……そうか、美羽はもう高校生だからな、好きな人くらい居てもおかしくないか)


 悠斗は心の中でそう呟くと、その瞬間ズキリと自分の心臓が痛むのを感じた。そして、悠斗が数秒間、その場で黙っていると。


「えっと悠斗くん、大丈夫?」


「えっ? なにがだ?」


 美羽にそう声を掛けられて、悠斗がそう返事をすると。


「えっと、私の話を聞いてから悠斗くんの体調が悪そうだったから」


 美羽は心配そうな様子で悠斗に向けてそう言ったので。


「いや、大丈夫だ、気にするな、それよりも話の続きを聞かせてくれ」


 自分の胸の痛みには気付かない振りをして悠斗はそう言った。すると、


「えっと、悠斗くんがそう言うのならそうするね」


 美羽はそう言うと、彼女は一呼吸入れてから。


「実は私には昔から好きな人が居るの、でも、その人はとても鈍感で私の気持ちには全然気付いてくれなくて私は少し困っているの」


 美羽は何故か少し怒ったようにそう言ったので。


「……そうなのか、それはなんというか色々と大変だな」


 悠斗がそう言うと。


「……うん、本当に大変なの」


 美羽はそう言った。そして、


「でも、いつまでもこのままだと私たちの間にはこの先もずっと進展が無いと思ったから、私からその人にもっとアピールをして私の気持ちに気付いて貰おうと思ったんだ」


 美羽はそんな事を言ったので。


「……そうか、それはまあ頑張れよ、お前は可愛いから相手がどんな奴でもきっと大丈夫だと思うぞ」


 悠斗が美羽を勇気付けるようにそう言うと。


「……悠斗くん、ありがとう、悠斗くんにそう言われたら大丈夫だと思えるよ」


 美羽は少し照れ臭そうに微笑みながらそう言った。しかし、


「でも、その人は物凄く鈍感だから、多分私が普通にアピールをしても私の気持ちには気付いてくれないと思うんだ、だから悠斗くん」


 そこまで言うと、美羽は一度言葉を切ってから。


「どんな事をすればその人が私の気持ちに気付いてくれると思うか、悠斗くんなりの意見を聞かせて欲しいの」


 美羽は悠斗に向けてそんな事を聞いて来た。

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