第5話 第5章

 四十五歳になった今、直子と和代のことを同じ感情の中で一緒に思い出すなど、久しくなかったことだ。深夜のファミレスという環境のせいか、それとも目の前にいる康子に、和代の面影を感じたからなのか、不思議な気分になっていた。

「信義さんは、年齢的にはおじさんだけど、見ている限りおじさんには感じないのよね」

 と康子は話してくれた。

 嬉しい限りではあるが、やはり康子の口から「おじさん」という言葉を聞くとドキッとする。確かにおじさんと言われても仕方がない年齢だが、面と向かって言われると、ドキッとさせられてしまう。

 それは年齢的なものより、深夜のファミレスに一人でいるような女の子からおじさんと言われるのは、援助交際の匂いがしてきても仕方がない。それはもちろん犯罪ではあるし、そんなことにお金を使いたくもない。ただ、匂いには悪いものは感じない。むしろ、匂いだけでも味わっていたいと思うほどの甘美なものだ。

 信義は、康子の中に和代を感じた。しかし、雰囲気的にはまったく似ていない。活気なところは似ているような気がするが、もし、康子と喧嘩になったら、敵わないような気がしてきた。

――年齢的な差が、邪魔をするかも知れない――

 と思ったからだ。

 どうしても、父親が娘に説教をするような口調になることだろう。そうなってしまえば、親でもないのに、親のような顔をしてしまうと、完全に相手から見限られてしまうに違いない。

 娘のいない信義に、説教などできるはずもなく、喧嘩にもならないかも知れない。康子はそんな信義をどんな目で見るだろう? 上から目線になってしまうのだろうか?

 康子を見ていれば、彼女がそんな女の子ではないことは分かっているように思うのだが、それは喧嘩にならなかったというとしても、上から目線で見られるだろうか。康子の中に和代を見たとすれば、活気なところではなく、もっと他の雰囲気を感じたに違いない。

 それは、他の人では感じることのないものであろう。もしも、和代も康子も二人とも知っている人がいたとしても、その人の目と、信義の目ではまったく違った角度から二人を見ているようだ。

 その人に比べて信義の視線はずっと低い。二人を見上げるような視線になっているのではないだろうか。

 和代と康子の違いは、そこにある。下から見上げる相手に対し、上から目線で見るのが和代であり、康子には上から目線で相手を見ることができない性格に思えたが、違うだろうか?

 かといって、康子が従順な性格なのかどうかまでは、判断できないでいた。今日、初めて会ったはずなのに、康子に見つめられると、

――前から知り合いだったような気がする――

 と感じる。

 実は、この感覚は和代にも最初に感じたことだった。和代に一目惚れをした原因の大きな部分を、前から知り合いだったような安心感に包まれることで、生まれたのかも知れないと言っても過言ではない。

 しかし、康子に対して和代にしたような「一目惚れ」を、自分が若い時であればしたかどうか分からない。

 和代には影があった。里山という男と、自分と出会う少し前まで付き合っていて、結婚を考えていたというだけでも、ショッキングだったのに、里山が他のオンナと付き合っていたということ、そしてそんな里山が死んでしまっていたこと、和代にとっては忘れてしまいたいはずの相手の数々のショッキングなことを聞かされて、感覚がマヒしていたのかも知れないと思ったほどだった。和代にあった影が「不安」だったことは分からなくもない。

 康子も雰囲気的に、何かを背負っているように思えた。それが不安という影のあった和代と雰囲気が似ていた。和代に感じた一目惚れと同じような感覚を康子に持ったわけではない。康子に感じた思いは、次第に膨らんでくる者になることを予感している自分を感じるのだった。

 康子は、きっと不安は大人しい女の子で、集団の中にいる時は、絶えず端の方にいるようなタイプに見えた。ただ、仲のいい友達は二、三人はいるのではないかと思えた。それは、康子の中に、ただ大人しいというだけではなく、しっかりしたものが感じられたからだ。

 その理由は、大人しい雰囲気ではあるが、暗さを前面に感じることはないからだ。友達が本当にいない人で、大人しい雰囲気を醸し出しているとすれば、必ず「暗さ」がイメージとして表に出てくるものだと思っていたのだ。

 康子は相変わらず文庫本を読んでいる。

「眠くないのかい?」

 本を読み始めると、すぐに睡魔に襲われてしまう信義は、じっと本に集中している康子の目が、眠そうには見えてこなかったので、思わず聞いてみた。

「大丈夫です。今日は、なぜか、眠たいって思わないんですよ」

 その言葉を聞いて、信義は聞き返した。

「時々そんな日があるんですか?」

「そうですね。何度かに一度は眠くならないことが多いですね。読んでいる本がクライマックスに差し掛かっている時など特にそうなんですが、今日は、一人じゃないからかな?」

 信義の胸が一瞬、ドキッとした。康子の表情はさりげなく、出てきた言葉も、信義を見つめながら話しているわけではない。それだけに、信義は康子の言葉が照れ隠しのように思えてきた。

「木を隠すなら森の中」

 という言葉があるが、照れ隠しをさりげなさの中に交えるというのは、そんなに稀というわけではない。

――彼女も普通の女の子なんだな――

 と、ある意味安心した。

 確かに、他の人にはない独特な雰囲気を持っていた。一人深夜のファミレスで、文庫本を読みながらコーヒーを飲んでいるというのも独特な雰囲気を演出しているようで、思わず声を掛けたくなった自分の心境を裏付けているかのようだった。

 信義が正面にいるにも関わらず、康子は話をしようとせずに、文庫本に目を落とし、自分の世界に入っている。それを見つめている自分が、どこか娘を見ているような目をしているのではないかと思えてきて、自分に対して、微笑ましく感じられるのだった。

――話しかけたい気持ちもあるが、読書の邪魔をするような無粋な真似ができるわけもない――

 と思い、康子は一段落するのを待っていた。

 視線は次第に強くなって行ったのかも知れない。

 ゆっくり見つめていたが、凝視しているうちに、信義は自分が過去の思い出に浸っているのを感じていた。

 それが、和代との思い出であり、和代を思い出したことで、直子を思い出し、

――同じ時に思い出したことのなかった和代と直子を一緒に感じるなんて、やっぱり不思議な時間と空間を今、過ごしているのかも知れないな――

 と感じた。

 康子を見ているようで、目は過去を見つめていた。視線は間違いなく康子を捉えている。それは分かっているのだが、過去を思い出から我に返った時、見つめていたはずの康子の表情を、一切覚えていないのだ。

――まるで夢から覚める時のようだな――

 夢から覚めるにしたがって、見ていた夢を次第に忘れて行くという感覚は、今に始まったことではなく、夢を意識するようになってから感じたことだった。だが、この思いを他の人誰もがしたことがあるとは思えない。夢について何も感じずに過ごしている人もいるかも知れない。

――まさか、夢を見たことないなんて人いないよな――

 これも突飛な発想だったが、そこまで考える自分が、どれほど夢に対していろいろな角度から感じているかということの裏返しではないかと思うのだった。

 また、信義は夢とまでは行かないまでも、絶えず何かを考えている。それは一人でボーっとしている時はもちろんのこと、それ以外でも、例えば人と話をしている時でも、感じることさえあるくらいだ。

――俺は聖徳太子でもないのに――

 と、子供の頃に聞いた、一度に十人以上の人の話を聞いて理解できたという聖徳太子の話を思い出した。

――そんな人間いるはずないよな――

 と思いながら、

「人の話を聞いているのか?」

 と、人から言われて、ハッとすることがあった。

 さすがに、一度にいろいろなことができるはずもない。そう言われてハッとしたということは、

――また、人の話を聞きながら、いろいろ考えていたんだろうな――

 と思うのだ。

 しかし、考え事の内容は、あながち話の内容とかけ離れたものではない。話を聞いていて、自分の中にある記憶や想像力が何かを考えさせる。

――先を見よう――

 という発想があるからなのか、話を聞いて、自分の中での記憶が意識を持つからなのか、意識を持ってしまうと、聞きながらであっても、持った意識に自分が支配される結果になっているのだ。

 信義にとって、何かを考えるのは、考えようと意識する時以外にも、無意識のうちに考えていることがあるのは分かっていたが、それが記憶や想像力による意識の芽生えが関わっているなどということを感じ始めたのは、本当に最近だったような気がする。

――四十歳を過ぎると、今まで分かっていなかったことが、いろいろ分かってきたような気がする――

 そのほとんどが自分のことである。

 人のことやまわりのことは、そんなに簡単に分かるものではない。特に、

――分かりたい――

 という強い意識がなければ、まわりや他人のことを理解などできるはずもない。だが、自分のことはどうだろう?

 分かりたいという気持ちを持たなくても、視線をうちに向ければいいだけのことである。

 だが、自分のことほど分かりにくいことはないというではないか。自分の顔だって、鏡などの媒体がなければ見ることはできない。そして、自分が発している声というのは、人が聞いている声とは二オクターブくらい違って聞こえるという話を聞いたこともあった。分かりにくいというよりも、

――理解できないようにできている――

 と言えるのではないかとも思っていた。

 康子を見ていて、昔のことを思い出したのも、意識が芽生えたからなのかも知れない。康子の中に、和代を見たのは確かだったが、ここまでリアルに和代とのことを思い出したのも久しぶりだ。

 和代と別れたのは、視線消滅だったので、思い出といっても、自分の記憶の中で完全に繋がっていたわけではない。それを別れてから初めてと言っていいほど結びつけられたのは実に不思議なことだった。

――直子のことを一緒に思い出したからなのかも知れないな――

 本当はタブーではないかと思っていた、二人のことを同時に思い出すということ、できるはずもないことを、無意識に感じたのだ。それは、過去を思い出しながらでも、現在自分が康子の前に鎮座しているという意識を想っていたよりも薄れさせていないからではないだろうか。

 康子は一生懸命に本を読んでいた。きっと本の世界に康子も入り込んでいたに違いない。だが、康子は本の世界に入り込みながら、目の前にいる信義のことを意識していたのではないだろうか。

 そう思うと、今日の信義のように、康子も普段と違った感覚に戸惑っているのかも知れない。

 ただ、目の前にいる康子に戸惑いは感じられない。それは、普段と違った感覚ではありながら、普段から一定した意識をいつも持ち続けているわけではないと言えるのではないか。

――若さゆえなのかな?

 信義は、自分が康子くらいの年齢の頃を思い出していた。

――確かに不安定な時期だった。不安もあれば期待もある。ただ、ちょっとだけ期待の方が大きいと、あの頃は思っていたな――

 だが、今は逆だった。あの頃の自分を客観的に思い出してみると、期待よりも不安の方が強かったように思う。

 それは、やはり自分のことを表から見ることができないからであろう。後になって思い出す分には、鏡を使わずとも、自分を見ることができる。そう思うと、昔の自分は、自分ではないということになるのかも知れない。

 そんなことはないのだろうが、そう思っているからこそ、客観的に見ることができ、

――過去より現在、現在よりも未来――

 と、時系列で見つめていくことができるのだと思っている。

 今の康子も昔の自分のように、不安よりも期待の方が大きいのだろう、過去を振り返るよりも未来を見つめる感覚。確かに昔の信義にもあった。

 そういう意味では確かに昔の自分が「他人」だ。不安に苛まれている今から思えば、羨ましさを感じる「他人」なのである。

 信義も康子くらいの頃、よく本を読んだものだった。ほとんどがミステリーだったが、奇妙な話も好んで読んだのを思い出していた。

――普通に暮らしている主人公が、ある日突然不思議な世界への扉を開いてしまって、それまでは自分の意志で動いていたはずなのに、その日から、不思議な世界に操られるようになった――

 そんな話のバリエーションだったような気がする。

 そういう小説は、最後の数行が命であった。長編であっても、短編であっても、最後の数行にそれまで書いてきた内容を凝縮するようなホラーが隠されている。それを恐怖と感じるか、それとも妄想として考えるかによって、読者の性格と、作者の意図が絡み合うことで、一つの世界が生まれる。

 つまり、そういう小説は、本の数だけ世界があるのだ。そして、それこそが作者の意図であり、読者が本の世界に入り込んで最後に自分が掴む、

――その人独自の世界――

 なのである。

 信義は、今また、そんな作品の一つを思い出していた。それは信義が大学時代、先輩に連れていってもらったスナックで、カウンターの中にいた女の子が紹介してくれた小説だった。

 ちょうどその時、失恋したばかりで、ショックが残っている時期だった。恋愛と言っても、二度ほどデートしただけで、和代との間での交際ほど親密ではなかった。お約束の自然消滅を迎えたわけだが、残ったのは、

――何をしていいのか分からない――

 という虚脱感だけだった。

 前の日までは、有頂天だった自分が急に虚脱感だけに見舞われる。気持ちの上で、天と地の開きのある状態に、精神が耐えきれなかったのだ。

 他の人から見れば、違った意味でのショックを感じていたかも知れない。話を聞いて慰めてくれる友達がいたくらいだ。

――ただ、話を聞いてもらえればそれでいい――

 と感じていた信義は、一人になるのが嫌だったのだ。

 その友達が連れていってくれたスナック、失恋した時にスナックに来るというのは、少し惨めな感じもしたが、まわりの人が慰めてくれるのを感じていると、

――甘えるのもいいかも知れない――

 と、その場の雰囲気に埋もれていた自分がいたのだ。

 その時教えてくれた小説は、信義にある意味のショックを与えた。

――こんな小説があるんだ――

 一度目に読んだ時は、気が付いたら終わっていた。

――どこに楽しさがあるのか――

 というところだけを見て読んでいたからである。だが、二度目に読むと、今度は、

――最初とイメージが違う――

 と感じた。

 三度目に読むと、初めてそこで、小説の面白さが分かった。

――これこそ、大人の小説なんだ――

 と感じさせた。

――玄人好みのブラックユーモア――

 が、小説のコンセプトではないだろうか。今までに感じたことのない感覚がどこから来るのだろうと思っていると、最後の数行に、内容が凝縮されていることに気付いたからだ。その途中はすべて、ラストへの伏線であった。

――事実は小説よりも奇なり――

 という言葉があるが、この小説は、小説ではなく、「事実」が書かれているような気がした。

――こんな奇妙な世界。誰も見たことあるはずないじゃないか――

 だからこそ、自由に書ける。だが、自由なのだからこそ、読者も自由に発想できる。それを分かっていて、自由に発想する読者すべてを満足させることなど不可能だ。そう思うから、一度読んだだけでは内容が分かるはずもなく、二度目には違ったイメージを植え付けられる。そして、やっと三度目で輪郭が浮かび上がってくることで、そこまで来ると読者の発想と、作者の意図とが本の世界の中で、「共有」するのである。

――本を読むのっていいよな――

 と、感じたのは、その時が初めてだったのだ。

 小説を読んでいると、康子の目が少しトロンとしてきたのを感じた。

 それは睡魔に襲われた目ではないようだった。何か妄想した後の目に感じられた。

――俺が康子くらいの頃も、あんな目をしていたのかな?

 と思うと、少し怖い気がしてきた。自分が何かを妄想していた時間は、本当の自分ではないと思うようになった信義が一番知りたくない自分の一面だったのだ。

 トロンとした目の中に、薄らと青白い光りのようなものを感じる。

――まるで猫の目のようだ――

 と感じたが、その目は闇の中でしか見ることができないと思っていただけに、明るいところで見ると、気持ち悪さから、背筋に寒気を感じた。

――他の人が見れば、きっと眠たくなったと思うんだろうな――

 と感じた。

 睡魔が襲ってきたことを感じるのは、

――本を読んでいると眠くなる――

 という言葉を信じて疑わない意識があるからで、少しでも疑いを持つと、猫の目を感じることになるだろう。

 信義は、半分信じていたが、半分は信じていない。自分のこと以外で、すべてで信じられることはないと思っている。

 ただ、自分のことが本当は一番信じられないのであって、

――もしすべてを信じられることがあるとすれば、それは自分のこと以外にはありえないんだろうな――

 という気持ちを、漠然としてだが感じていたのだった。

 康子がトロンとした目になったのは、少しの間だけだった。それもじっと見ていて感じたことだったので、それがまわりから見れば長いのか短いのかは、想像もつかなかった。

「ちょっと、一休み」

 と、康子は本にしおりを挟み、バタンとわざと大きな音を立てるようにして、本を閉じた。それは眠気を覚ますための行動なのか、それとも、気合を入れなおすための行動なのか分からなかった。だが、本を目の前に置いた康子が信義の顔を見た時、それまで康子が本当に正面から自分と向き合っていたわけではないということに初めて気づいた信義だった。

 バタンという音とともに、静かだと思っていた店内に、ざわめきが戻ってきた。

 それは今まで自分が集中していたからなのか、耳の奥で音が籠っていて、まわりのざわつきに気付いていなかったのだ。

 大きな音は、まるで耳の近くで風船でも爆発したかのようで、本当なら、そこから耳鳴りがして、音が籠ってくるものなのだろうが、今回は逆であった。大きな音とともに、今までしていた耳鳴りから、現実に引き戻されたのだ。

 耳鳴りに陥る前に、大きな音を感じたわけでもなかった。いつの間に耳鳴りが響くようになったのか分からずに、しかも、耳鳴りであることすら意識することもなかった。そんな状態に気付かなかったのは、会話が一つもなかったからである。

 もし会話があったなら、自分の発する声を感じた時に、初めて耳鳴りがしていることに気付いたかも知れない。会話がないことが、こんなところに影響してくるとは、まったく考えてもいなかった。

 康子は、手にコーヒーカップを持つと、もう一杯のおかわりを注ぎに行ったのだ。その間、彼女が帰ってくるのをじっと待っていたが、自分がこの店に入ってから、すでに一時間以上経っていた。さすがに店内は落ち着いていて、明るさだけが目立っていた。

 さっき食べたハンバーグだが、やはり全部食べなくてよかった。一時間も経てばお腹が膨れてきて、あれ以上食べていたら、胃が持たれていただろうと思う。コーヒーも二杯飲んだので、これ以上飲む気もしなかった。

 康子が戻ってきて、カップの中を見ると、半分ほどしか入っていなかった。

 文庫本を開くことなく、コーヒーを少しずつ飲んでいたが、その様子を見て信義は、

「バーにでも行きませんが? 朝までやっているバーを知っているので」

 と、ダメ元で誘ってみた。

 康子は少し考えていたが、

「いいですね。ワインでも飲みたい気がしていたんですよ」

 と言って、ニッコリと笑った。

 その時にはもうすでに信義の頭の中からビジネスホテルの選択肢はなくなっていた。

「康子さんはいいんですか? 明日、いや、もう今日ですね。お仕事は大丈夫なんですか?」

「ええ、お仕事はお休みです」

「僕も休みなので、ゆっくりとできますね」

「ええ、お互いに英気を養えるというものですよ」

 と、やっと砕けた表情を見せた康子の表情にあるものは、笑顔と言えるかどうか、見ていて複雑な感覚だった。


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