お風呂場で ×2

怖い話は嫌いだ。


なのにお風呂場で思い出してしまった。


”お風呂場で怖い話のことを考えていたら、


目を開けた途端に血だらけの女の人がいる”ってやつ。


しかも頭を洗っている最中に。


考えるな…考えるな…


そう唱えるほど恐怖が増す。


なんの役にも立たない魔法の言葉だ。


ああ、どうしよう。


いっそ声に出してしまおうか。


スゥ〜…


「ヨシ!大丈夫!」


思った以上に声が反響し、


思わずシャワーヘッドを落としそうになった。


そうか、ここはお風呂場だった。


ずっと喋らずにいたからか、


イヤホンの音量を突然MAXにされた気分だった。


ジャァァァ〜〜〜


今日はやけに音の響きがいい。


私は歌を歌い始め、


怖さも忘れて目を開けた。                       ×2

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