第120話 ウルデスとのバトル開始
「俺は続けて煙幕の中に、たくさんかんしゃく玉花火をばらまく。
時間差で破裂するやつだ。
それで暫くの間、前の奴の動きは封じられる筈だ。
その間に、後ろのを先にやっつけよう」
そこまで具体的な戦法を口にしながらも、実はそこまでうまく行くのだろうかという、不安が残っていたが、そんなことはおくびにも出さず、俺は確信ありとキャシーに思わせてしまったのだ。
「うん、分かった。
合図は任せる」
キャシーは勢いに押されたのか、俺の作戦をすんなりと受け入れた。
次は、後方だ。
「沙織、しのぶ、俺たちは
「わかったわ」と、沙織が返事する。
「了解です」
しのぶからも即座にOKが返って来た。
「前側の奴は俺の手で完全に足止めするから、全員で後ろのを倒してくれ」
あっという間に、沙織の姿が消えた。
続いて、しのぶも。
そして俺も。
後ろのヤツの様子は分からないが、前のウルデスは、俺が視界から消えた途端に、固まったように動きを止め、目をキョロキョロとさせ始めた。
「キャシー、今だ!」
「任せて」
たじろいでいるウルデスに向けて、キャシーは鉄製弾を5発ほど
複数の鉄製弾は散弾銃の銃弾よりもずっと広がって飛ぶ。
その内の一発を避けそこなったウルデスは、その威力の弱さに平然として、威嚇の吠え声を発した。
瞬間的に身体が硬直したが、俺はそれを予想していたし、マイスーツが音を
爆音と共に、急速に煙幕が広がる。
俺は続けて、数秒間隔で破裂するかんしゃく玉花火を、煙幕の中、左右に広くばら撒いた。
少し離れた前方で、巨体が
その後は左右で破裂するかんしゃく玉に
「前方のやつの動きは一時的に封じた、その後もヤツを牽制するから、キャシーも後ろのファイトに加わってくれ。
沙織としのぶは見えにくいだろうが、心配するな、あいつらからキャシーはよく見えている。
しのぶとロクシーは、キャシーを支援する筈だから、自分のタイミングで攻撃に参加してくれ」
自分で言った言葉に、俺自身が乗せられてしまった感じがした。
「あいよ、コウタ」
キャシーは、後方へ向かった。
俺は、熱感知赤外線サーマルスコープ機能を利用して、こちらからは丸見えのウルデスに、普通銃弾を数発撃ち込んだ。
『キャン!』
当たったらしい。
致命傷には程遠いと思うが、俺は続けて、
超強力麻酔ニードル弾を数発連続発射。
『キュ、キュン、キュッ』
普通弾と違って、当たった痛みは小さかったようだ。
あの巨体でも数分すれば、効き目が出て、動きが
奴がさらに遠退いたのが、赤外線スコープで分かった。
どうやら、完全に戦意喪失してるようだなw
俺は続けてブラックウィドウ本来の、強力粘糸弾を撃ち込んだ。
弾着した箇所から、
これも続けざまに数発、命中。
俺は、不可視モードのまま近づいていく。
足元の草の動きと足音で、動きを読まれないように、マイスーツの補助力を使って、左右に跳びながら、不規則な動きを使って接近を図る。
念の為、距離が縮まった所で、煙幕弾を追加して、時間差かんしゃく玉もばらまく。
そろそろと動き始めたヤツが、すぐ隣で破裂したかんしゃく玉に驚き、大きく飛び退いた瞬間、ドサッと倒れたのが分かった。
視界の効かない所で、大きく跳ねたので大木にでも強くぶつかったのだろう。
俺はヤツの巨体をスコープで捉え続けている。
さらに粘糸弾を続けざまに発砲。
ヤツが動く度に、糸だるまになって行く筈だ。
俺が2Mの距離に迫った時には、もう肉眼でもヤツの姿が捉えられた。
身動き取れない糸だるまになって、ヤツは転がっていた。
しかもどうやら、
敵は完全に動きを停止した、そう判断して、俺も後方支援に向かう。
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