第5話 バリアとお得な大学受験
「ボクが君と込み入った話をする時には、タイムコントロールバリアの中で行うってことさ」
「なにそれ」
「その中では地球時間で測ると殆ど時間が進まないんだ。
つまり短時間で長話が可能になるお得なシステムで、一日を48時間にすることさえできるんだ」
「それじゃ、過労死しちゃうよ」
げっそりとやつれゆく自分を想像してしまった。
「大丈夫、バリアの中では脳を高速化させるだけだから、甘いものを多めに食べておけば脳が疲労することはないさ」
「それって、絶対に脳の酷使だろ」
「コウタは知らないのか、人の脳は普段はごく一部しか使われてないんだ。
車で言えばアクセルを踏まずに動く、クリープ現象みたいなものだ。
全体を効率的に使えば高速化しても問題はない。
少し甘いものが必要になる程度さ」
「だったら、それで受験対策できるかな」
「今はまだ高2だろ、受験勉強なら高3からで十分じゃないか」
フライはあきれた表現のつもりなのか、前足を開いて上げて見せた。
「もう秋なんだよ。高3まで半年も無いし、普通の受験生は高2から大学受験対策始めているんだ。
だからフライに付き合ってる
少し余裕を取り戻した俺は、フライに帰ってもらう交渉を始めたが、次のフライの言葉で考えを変えた。
「コウタ、君の進学志望先はどこなんだ。それが決まったら、受験勉強にバリアを使わせてやっても良いし、脳の高速化に関するコツを伝授してやってもいいよ。
東大に行きたいというなら、それも楽勝さ」
「それは本当ですか、フライ様」
「突然様付けとは気持ち悪いな、フライで良いって言ったろ。タメ口で行こうよ」
「脳の高速化ってヤツを受験勉強に使わせてもらえるなら、地球や日本を裏切らない範囲で、できるだけの事は協力させていただきます。いや、協力するよ」
「じゃあ、交渉成立ってことで、明日からよろしくね」
「今日はこれでお帰りですか、いや、今日はもう帰るのかい、フライ」
「コウタはおもしろいな、やっぱ」
フライが大きな
「お
「このまま
俺は
「邪魔はしないさ。小さなバリアを張って存在の気配も消しておくから気楽にしてくれ」
「気楽にって、もともと僕の部屋なんだけどな」
「こまきに」
「なんやそれ」
「こないだ、ラノベの中に出てきた言葉だけど、細かいことは気にしないとか、気にするなって意味らしいよ」
「ラノベまで読むんかい、だったら俺なんか全く必要ないだろ」
「コマキニ」
「気にするし、気になるよ」
そう俺は答えたが、既に何の気配も感じられない。
短い白昼夢だったのだろうか、だったら良いのに思いながら、ストレス
細かいことは気にしない、気にしない…
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