第21話 イカロスの私

 広げた風呂敷の代償はデカかったで…


 毎日投稿の最終日が、此の体たらくというのもさえないですが、けじめだけはつけておこうと思います。


 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「蜂の巣みたいにハニカム構造の惑星を作れば、中はスカスカで重たい星とか作れないかな?」

 その言葉に、場の空気が凍った。あれ?

「私、そこの私に恒星の大体の質量を教えてさしあげてくれ」


「太陽は地球の30万倍の質量だから、地球が30万個、私が手に入れた資源全てを集めても足りないだろうな」

「うそん」

 まだ出来立ての私なのだろう。太陽は地球の100倍の大きさだが、それ以上に重さが半端ないのである。

 おそらく太陽は水素で構成されているし、質量は大したことがない。もっと言えば30万倍ではなく30倍と読み間違えたのだろう。

 私がおかしやすい間違いである。

「それに、蜂の巣みたいな構造にしても地球とは環境が異なるから、太陽並みの大きさになると、多分内部の圧力で中身がマグマ状態になると思うぞ。」

 だったらリング状の星とか、中身空洞の星とかどうだろうと考えたが、強度が足りなくて中心部へ、へこみそうな気がする。

「さらにいえば、太陽と同等の重さの物質は、内部の圧力が凄いことになって、太陽のような恒星になるので、制御は不可能だろう。私」


「じゃ、じゃあ、物理的に押せないかな」

 子供でも無理とわかる提案をしてみる私。まあ無理と分かっていても念のため調べてみると…

「太陽の温度は表面で4000度。で、融点がもっとも高いタングステンでも3200度で液状化するみたいだな。私」

 仮に中心部の1万度にも耐えられる物質があったとしても、それを押すエネルギーはどうするのか?

 某ウルトラマンに登場する1兆度の炎とか、多分撃った瞬間に自分も蒸発して死ぬと思う。


「だったら、分子結合みたいにたくさんの惑星を互いに壊さない程度に近づけて、一つの群体として太陽に近づけたら…」

「多分それ、太陽を中心に惑星が公転を開始して、小さな惑星は大きな惑星に壊されてリングになるパターンや。私」

 

 人間が線香の火を触ってもちょっと火傷する程度だが、小さな虫が触れば焼け死ぬようなもので、小さくか弱い私たちの機械では、太陽の力に対抗できる手札はない。


 太陽の熱でも平気な丈夫で耐熱性に優れた物質や、重力を操れるような装置でも開発できれば話は別だが、イナゴや蟻が文明を築けないように、ただ増えるしか能のない私たちでは太陽をどうこうするのは『今のところ』不可能なのである。


 ゲームに出て来る隕石召喚とか、太陽の力を集める技とか、科学的に見ればオーバーテクノロジー過ぎるし、それで死なない敵さんサイドもたいがいである。

 


 というわけで、初めて力押しの効かない相手の前に私たちは敗北した。

 たくさんいる私の中に、技術的な革新を思いつくような私がいれば何とか出来るかも知れないが、いきなりノイマン型パソコンから量子コンピュータにまで眞あKできないように、技術にはいろいろな蓄積が必要だ。

「ま、思考実験としてはいい感じの発想がうかんだけど、実現は難しいだろうな」


 と、皆で席を立とうとすると

「じゃあ、私はそれを可能にする方法がないか考えてみよう」

 と、最初の私が言った。

「素材とか、合金とかの研究は地球の科学者にお任せだったけど、今の私たちには未知の物質まで手に入れているというアドバンテージがあるのだから、さっきの問題をクリアできるような方法がないか。それを考えてみるよ」

 

 こうして、私の中の一人は新しい技術の研究を始める事にした。

 まあポ底んで2MBのフロッピーディスクが登場した時に、4GBとか1TBなんて大容量の記憶媒体が登場するなんて予想も出来なかったように、今は無理だと思っていても、ちょっとした思い付きで実現できる技術があるかもしれない。

 諦め半分、期待半分。

 私たちは一風変わった私の挑戦を応援する事にした。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 30度の下で荷物運びをしながら、いろいろ検討した結果、太陽をけんいんする方法がやっぱり思いつきませんでした。

 ファンタジー世界なら魔法の力で操れそうですが、現実だと大洪水とか火山の力を人間の手で操ろうという無謀すぎる存在だとことごとく思い知りました。

 もう少し技術を進めてからどうにかできないか考えてみる事にします。

 期待してくださった方がいらっしゃいましたら、誠に申し訳ありませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る