第20話 恒星とともに

「恒星を連れていけないかな」


とある星系の私は、ある時こう思った。

恒星とは太陽と同じく、光り輝き惑星に熱を与える存在。

地球の100倍ほどの大きさのガス惑星で、自分の質量から物凄い圧力で核融合反応を起こしてエネルギーを捲きちらすお星さまたちである。


「なんでまた、そんな事を思いついたのだ?私」

 そういう私に私は一冊の本を見せた。

 故、吉岡平氏が書いた『宇宙戦艦タイラー』の外伝4巻あたりである。


 植木等の無責任男シリーズという映画をモデルにしたスペースオペラというか、スペースJPOPとでも言うような作品で、主人公のジャスティ=ウエキ=タイラーが大出世し大元帥となって採取的には銀河を救う英雄となるお話である。

 しかも娘篇、孫篇とシリーズは続く一大作品でアニメ化もされたそうだが、個人的には小説版が好きである。

 そんな主人公が若いとき、銀河で太陽風を利用したソーラーヨットを乗っていた話というものがあった。

 おそらく映画、若大将シリーズでヨットに乗った話があったためと思われる。

 植木等が主人公の名前の元ネタだが、ネタとしては同年代の話が多いので勘違いではないと思う。


 最初は、太陽風を常時利用して移動すれば燃料が節約できるのではないか?と思い、効率の悪さにすぐ諦めたが、考えを改めた。

『恒星を引力でけん引すれば、太陽系ごと移動できるのではないか?』と


「小説の内容、ほとんど関係ないじゃん。私」

「まあ、そうだけど、発想の起点はこれだったから。で、恒星を引っ張る方法ってないかなぁ?」


 確かに私たちは恒星の中の惑星をあらかた回収した。

 木星のような大きなガスの星には大きめの隕石をぶつけて一度コアにあたる部分を割ればちょうど良い大きさになるし、分散したガスを100基のタイプE(全長100km、直径10km厚さ1kmのストロー型宇宙船)で内部に吸い込めば液状化なり固体化させて保管できる。


 今の私たちなら木星だって資源に変える事ができるだろう。

「もちろん、そんなことはしませんが(『ぼのぼの』のシマリス風)」

「あたりまえだ。私」


 今まで他の隕石を引力で制御していた星がなくなると、他の星の軌道が狂ったり、アステロイドベルトで隕石同士の衝突が始まり惑星ができ始めたり、それこそ異常気象など目ではない太陽系規模の異常現象が起こってしまう。

 なので『目につくものは全て魔改造』というコンセプトはやめ『大型ガス惑星を採取するときは、小隕石群を先に採取し、次に他の惑星と公転軌道が離れた時を狙って期待を採取。というマニュアルができあがった。


 その公転軌道を待つために空いた時間に、地球型惑星を作ってみたり、生物を作れないか試してみる実験用惑星の作成をする私が多く見られた。


 ただ、せっかく作った地球型惑星も恒星がなければその場に置いておくしかない。

 それはそれで中継基地として使えるのだが、基地が足りている場合、放置して先にすすまないといけなくなる。

「それってもったいないから、恒星を引っ張れるような方法ってないのかな?と思ったんだよ」

「簡単に言ってくれるなぁ…」

 某猫型ロボットのようなしかめ面で目の前の私は言った。


 恒星というのは核融合を起こして熱と光をまき散らすマグマのような物である。

 いくら珍しいからって溶岩をそのままお土産に持って帰ろうなんて奴はいない。

 熱くて持てないからだ。

「え?でも宇宙なら引力があるし、できなくもないんじゃないの?」


 ここにいたよ。もって帰ろうとする奴が。と目の前の私は疲れたような声で言った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「いけません」

 私たちの集まり、私会議で提案したら、一瞬で却下された。

「恒星というのは有害な放射線とか、鉄でも簡単に溶かすようなエネルギーの固まりなんだから、ゲ●ター線よりも扱いが難しい存在なのだよ。私」

 との事である。

「だいたい、恒星を引っ張れるような大質量、大体積の物体を作ったら、それが恒星になってしまうじゃないか」

「それに恒星の熱で、表面の温度はとんでもないことになるぞ。私」

 と言われた。

 すると別の私が

「だったら、胃壁とか汗の原理を利用すればいいんじゃないか?私」

 と提案する。

 胃は食べ物も溶かすし胃壁も溶かす。

 そのため、胃液を保護する保護液を常時作り出しているのだ。

「それとおんなじで、常に氷を出して蒸発させ、溶けるのを前提で、熱から保護する機能を作ればいいんじゃないかな」

「では恒星を引き寄せる重量や体積の問題についてはどうする?SF小説みたいに人口惑星を作っても、内部の圧力でマグマが出来るか、荷重に耐えきれず、崩壊するのがオチだぞ。私」

 と、私の一人が言う。


 ただ、みんな『太陽をけん引出来たら面白いだろうなあ』とは思ったので、むげには否定しない。

 何とかして物理学の裏をかく方法はないか考えだした。

 恒星ごとき何とかできなければ、宇宙の果てにいくのなぞ難しいだろう。という意思の表れにも見えた。


 しばしの沈黙の後、私の一人はこう言った

「だったら、最初から中身を無くせばいいんじゃないか?私」

「は?」


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 本日、日曜日なので大友宗麟の話を主に書いたため、時間不足でここで一度切ります。デススターとかイゼルローン要塞みたいなもの以外で人口惑星を作るにはどうするか?筆者の荒唐無稽な案を明日披露出来たらよいなと思います。

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