2章

第16話 宇宙の果てはどっちにある?

と、太陽系の外に飛び出す計画はたてたものの、ひとつ気になった事が有る。


「宇宙の果てってどっちにあるんだ?私」

 宇宙には地球の磁石のような東西南北がない。

 なので一等星とか目標を決める必要があるのだろうけど、宇宙の果てはどちらにあるのだろう?

「さあ?」

「さあ!?」

 ここにきてとんでもない問題にぶち当たった気がする。のだが私は落ち着いた感じで言った。

「宇宙の中心で爆発が起こり、宇宙の果てが膨張しているというビッグバン説をとるなら、太陽や他の銀河系が進んでいる方向が外側だと思うぞ。私」

 あ、そうか。

 宇宙の天体は決まった方向に向かって動いているんだから、そちらの方向が中心の反対側になるわけか。

「でも、違った時のために、アステロイドベルトの回転を利用して、反対側、宇宙の中心側に向かっている隊とか、真横に飛んでいる隊もあるんだぞ。私」

「え?何で?」

明後日の方角へ行って何の役に立つのだろうか?


「理由は3つあるらしい」

 オリジナルの話だと、1つは宇宙が爆発から出来たならば中心の方が先に太陽系のような惑星群が固まって出来ている可能性がある。

「藤子不二雄先生の作品で、文明の高い惑星を探していたが、原始時代レベルなので別の惑星に行く話があったけど、宇宙の中心の方が今の人類よりも高い文明を持った星があるかも知れないということ」

 外側宇宙では、同じように未熟な文明の惑星しか存在しないかもしれないとのことらしい。

「2つ目は、ビッグバン説が間違っていた時の可能性を考えてだな」

 銀河は広いので太陽とかが進んでいるのは限られた範囲の宇宙で壮大な距離を公転しているだけかもしれないということ。

 明確な目的地の場所が不明な以上、一つの方向に目標をしぼるのは危険だという判断らしい。

 言われてみれば、人間が観測できる範囲は限られているのだから大間違いの可能性もある。流石は私。よく思い至ったものだ。

「なるほど、では3つ目は?」

「単純にビッグバンの爆心地はどんなところなのか見てみたいそうだ」

「は?」


 宇宙は膨張していると考えられている。

 その速度は分からないがかなり早いスピードなのは確かだろう。

 だが、中心点は動かない。

 どこがビッグバンの中心かは分からないが、銀河系の移動速度から逆算すれば、おおよその位置は分かるし、中心点は移動しないので、果てを見つけるよりも先に到達できるかもしれない。

 公共事業とかなら怒られそうな行動理念だが、これは『私』の趣味で始めた事である。

「ま、せっかくだから宇宙全部にひろがって隅から隅まで調べてみようよ。ってことらしい」

 それこそ地球上に広がったバクテリアとか細菌のように、小さいけどどこにでもいるような感じで広がろうという。

 

 …どちらかというと、通った後の惑星を食い荒らす軍隊蟻かイナゴの群れの間違いではないだろうか?


 私はそう思ったが、確かに趣味でやっているんだから、効率も大事だが楽しんでやったほうがおもしろい。


 そう、これは趣味なのだ。


 なので、手当たり次第に調べる作戦も悪くないだろう。

「ちなみに、冥王星の公転周期が250年なので約200年かけて飛ばしていく予定だそうだ。私」


 気が長いな。

 無限コンテニューで死を克服したとしても、太陽系の資源は足りるのだろうか?

 そんな事を考えながら、外宇宙へ飛んでいく私たちの姿を眺めながら、私はどこに向かおうか?と考えるのであった。


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 宇宙の果ては光速に近いスピードで進んでいるとか書かれた本がありましたが、減衰とかしないのかな?とか、そこまで早くはないだろう。と思うのですが果ての映像見えない以上、否定も肯定も出来ないので一応保険をかけておくことにしました。

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