第12話 明かされる事実

 お詫び:今回のタイトルは『犯人は私』にしようかと思いましたが、さすがにタイトルでネタバレは不味いだろうし、最初からバレバレだから破壊力に欠ける。と言う配慮の元、急遽差し替える事にしました。

 まあ『知ってた』案件とは思いますが、前書きでネタバレした事をお詫びいたします。では解決編をお楽しみください。


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 突如消えていたアステロイドの小惑星たち;

 いろいろ考えても犯人は私しか思い浮かばないのだが一応通信機を動かしてみる。

「私、私。聞こえますか?」

「やあ、私。聞こえますよ」

 やっと来たね。と前置きしてアステロイドベルトだった場所に残っていた私から返信が届く。


 何でも『火星に届かなかった私』や『その他の私たち』がそのまま速度を上げてアステロイドベルトに到着し、偶然、氷型準惑星に到着したらしい。

 人体の5~6割を占める水を大量に手に入れた私は、私の複製を最終的に100万人ほど増やして鉄を含む隕石を改造しながら船団の規模を増やしていったのだという。

 …増やしすぎだろ。私。

「あー、最初は100人程度増やしたんだけど、その100人が他の惑星を採掘したり作業船を造ると人手に余裕が出来たのでね。さらに1人が100人複製して1万人になって隕石を回収しだしたんだ」

 ほうほう

「で、もう一度1人あたり100人増やしたら、周囲の隕石がかなり減っていた。というわけさ」

 何が、というわけさ。なのか。

 ネズミ算でももう少し数を自重すると思うぞ。私。


「私オリジナルが『人間が下等な鼠ごときに増殖力で負けるわけにはいかない』と変な対抗心を燃やしていたから、その影響かもしれないな。私」

 いや、生物は複雑で巨大化するほど一体あたりの繁殖力は低下すると思うのだが…

 ま、広大な宇宙を探索するにはそれくらいの数がいた方が良いのか。

 地球への迷惑に目さえつぶれば。であるが。

「まあ、アステロイドベルトなんていわれても、不規則な軌道で地球にぶつかりそうな隕石もあるし、そんな危険そうなものを率先して使ったから、ある意味、地球を助けたと言えるかもしれないぞ。私」

 どう考えても詭弁です。本当にありがとうございます。

 ま、冥王星とか公転周期が248年もあるそうなので、360度に1度ずつ一機宇宙船を飛ばさないと一生たどり着けないかも知れないから仕方がないか。

 ある意味『冥王星到着』は達成困難な第一目標と言ったところだろう。

 そういうと、モニターに映った私が「あー、そのことなんだが」と、言いにくそうな表情で私を見る。

 はて?何か問題でもあるんだろうか?


「数日前に、鉄砲玉型先発隊はもう天王星に着いたと連絡があったから、時間差を考えると


 ………は?



 …………………は?


「鉄砲玉型先発隊が多分すでに冥王星に到着しているぞ。私」

 困難な第一目標がすでに達成されていた。何を言っているか分からないと思うが私も分からない。

 『鉄砲玉型先発隊』?なにそれ。私知らない。

 寝耳に水どころか爆竹がデスメタルでもかけられた気分である。

 

「私も知らないけど月から秒速30kmでかっとんだ精鋭部隊とか言ってたな。別の私が」

 …それは私の体というか人間の体で耐えられる速度なのだろうか?

「耐えられてなかったら、幽霊が通信を送ってきた事になるな」

 マジすか?

 私の表情から、嘘や冗談で言っているわけではないらしい。


 全体に情報を伝えてない私も私だが、この情報化社会に一斉メールも送らないとか、私は私にどんな教育をしているのだろう?

 ちょっと問い詰めるためにも、私は速度を速めて冥王星迄たしかめに行くことにした。


 するとモニターの前の私は『あ、そういえば先に木星に向かった私たちから伝言があるんだったよ。私』という。

 伝言?いったい何だろう?

「えーとね『追伸。巨大な作業機を持っていると思われるので、木星に寄れたらちょうど良い大きさの衛星を中身をくり貫いて持ってきてください。土星の輪の氷を回収するのに使いたいんで』だってさ。私」


 お使い感覚で衛星強奪を頼まないでくれるかな。私。

 たしか木星の衛星って水星くらいの大きさがあったと思うのだが…


 どうやら土星の輪は貴重な水分である氷が散らばっているようだが、広範囲に飛び散っているようなので、星の一つをバケツ代わりに使おうとしているらしい。

 なんてやつだ。同じ私。


 そうぼやく私に、モニターの前の私は


「あ、あと木星はマジでヤバいから近寄るの止めた方がいいそうだぞ。私」

 と、おまけのように大事な伝言を伝えてきた。


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 本当は、冥王星に着いたらすでに別動隊が到着してテラフォーム完了していた。というのを第一部のオチにしようかと思ったのですが、太陽系で時間をかけすぎてダレるのもつまらないので、先出しで情報を投下しておきます。

 知らない内に太陽系脱出していますが、しばらくは太陽系でお付き合いください。

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