第4話 私は止めましたよ お嬢様

煌びやかなドレスコードに身を包み、名家の子息令嬢方は優雅にパーティーを楽しまれる。因みにお嬢様はというと…やはりお顔立ちが宜しいので数多の御子息様達に囲われていた



「今晩はレディ。はじめまして、アランと申します」


「なんと…グレイス家の御令嬢でしたか」


「ドレスがとてもお似合いですよ」


「お褒めに預かり光栄ですわ」


然し…このお嬢様といったら、数多の御子息方の言葉をどうやら右から左へと流しているらしく、本当に婚約者を見付けるつもりは無いようだ。他の御令嬢達は、皆会話を弾ませているというのに




「執事、白ワインを下さる?」



「どうぞ」




酒を強請られるのはこれで12回目。お嬢様、流石に飲み過ぎです



「……って、これリンゴジュースじゃないの!」


「えぇそうですよ。飲むまで気付かない程酔っていらっしゃるのですから、これ以上のアルコールは御控えください」



私が言えば、お嬢様はグラスを持ち上げ文句を垂れる。赤みのさした頬を膨らませる彼女は視線で訴え始めたが気にせず料理を皿に運び「どうぞ」とお嬢様に差し出した


「座ってお食べ下さい」


「イヤ!お酒!」


「料理もお楽しみください」


「料理とお酒はセットなの。白ワインをちょうだい」


「お嬢様、声を上げるのははしたないですよ」


「ならお酒をちょうだい。そしたら静かになるわ」


「………」



本当にこのお嬢様は……ああ言えばこう言う…




「…どうしても、白ワインが欲しいのですか?」




席に座ったお嬢様の前にコトンと皿を置き問いかければ、彼女は期待した瞳を此方に向けた。どうやら何がなんでも飲みたいらしい、であれば此方もまた何がなんでも飲ませる訳にはいかない



「どうしても飲みたいわ」



最後の確認も込めて言えば、何回も言わせないでと怒り始めたお嬢様。こうなっては仕方ない……諦めた私は小さく溜息を零し、ウエイターから白ワインの入ったグラスを1杯頂きお嬢様へと渡す




「ありがとう執事」




ニコリと笑った彼女に頭を1つ下げ、私は他の料理を取るために少しばかり彼女の傍を離れた















































































「どうやら貴女は怖い目に合わなければ分からない様ですね」

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